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水を抱く。

水を抱く。

小説の題名にもあるし、自分の好きな小説の出だしにもある。

美しい言葉だと思った。


その表現は、みずみずしい身体をした、柔らかい肌の女性を抱く。
そんな風に、僕は意味を解釈していた。

どうやら違うみたいで、夜の相手をしないことを指すらしい。

これは、江國香織の「きらきらひかる」、に載っていた表現である。

早とちりをした僕はねじ曲げて捉えていたみたいだけれど、どちらにせよ、素敵な響きだと思う。

水に関する言葉が好きだからかもしれない。

それに川や海、湖、水辺の風景が好きだ。

きらめく水面、川のせせらぎ、波紋。

女性の肌は、みずみずしい。
これも、どうやら自分の思い込んでいた意味とは違った。

自分の浅学なのがバレた。

実際の言葉は、肌のハリや若さを指す言葉らしかった。

果実を食す時にもこの言葉を使われている。
英語のフレッシュ、という言葉が近いのだと感じた。


けれど、もし自分が女性の身体を指す時は、言葉をこう当て嵌める。

水水しい。

漢字をふたつ並べて、水水しい。

横にふたつ並べた水の字は、それぞれ違う意味の言葉を指す。

前者の水は、硬い。後者の水は、柔らかい。

女性の肌を水に例える。

水も柔らかさがあるように、
肌に例えたとしたら。

10代や20代の肌は、全身にハリがある。
だから硬水。

20代から30代半ばは、絶妙な柔らかさ。
子供を産んでいる、産んでいないでも、肌質は違った。

30代後半から、40代後半まで。
それ以上の年齢の女性とは身体を重ねたことがないのでどうかは知らない。

例えるなら、軟水。とても、やわいのだ。これぞ自分の思う水のイメージに近い。

ちなみに、僕はというと、どのやわらかさも好きだ。それぞれに良さがあって、選べない自分は欲張りだし、幸せなんだと思う。

水水しい。

人間の身体の、八割が水分なら、妥当な例えだ。

水を抱く。

なんて発想ができる、文才が欲しい。

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