BOOK&BAR Rayカドワキ 2/3 短編小説
「じゃあ、コイツの代わりに飲んで。来月出す新作」と道哉。
朝から試飲をしていたらしく、オーナーの門脇礼は酒を見るのもたくさんといった顔をしている。
おいしい…、と伊吹の口から素直な感想がこぼれ出た。
「だろ?なのに、いつまでも礼がOK出さないから。いっそ一般の人に決めてもらったほうが早いかもな。下戸が相手だと話進まなくて」
「だから下戸じゃないって。何杯飲んだと思ってんの」
バーの責任者で実質カドワキの店長だという名越道哉が、次々にグラスを運んでくる。
断りきれずに、伊吹は