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あしたのすずめ『すずめの戸締り』【映画レビュー】

★★★★☆ 
鑑賞日:11月12日
劇場: TOHOシネマズ赤池
 
監督:新海誠
出演(声):原菜乃華
      松村北斗

前作『天気の子』(2019)公開からコロナ禍を経ての新海誠監督の最新作。

事前に情報を入れずに鑑賞。どういった話なのかまったく分からないまま早い段階でクライマックスがきた。引き込まれた。
少女の名は岩戸鈴芽。岩戸は天岩戸伝説を想起させる。ウズメノミコトをもじったか。
そうすると巫女の力が備わっている?と思っていたらその役割は草太が担っていた。思えば天岩戸は扉を開ける話であった。こちらは扉を閉めて回っているという。
新海ワールド全開だ。日本の神話、常世、要石、ダイジンーサダイジン、ミミズ、ジブリへのオマージュ、水、火、風の細やかな表現、そして相変わらずの美しい画。これだけでも観る価値あり。圧巻だ。
そして今回も音楽が作品をより高みに導いている。

ロードムービーの体を成し、時にコミカルに物語は進んでいく。荒廃した土地を悼む旅、天童荒太の「悼む人」を思い出した。
「大事な仕事は、人から見えない方がいい。」

そして新海監督のテーマのひとつでもある災害。
今作は更に踏み込んで挑戦的だ。
賛否が起こるに違いないが、覚悟を持って作り上げたはずだ。
実際の出来事をファンタジーで表現することの是非。
まだ早いと捉える人、いつまでも目を瞑っていてはいけないと言う人、
観た人の数だけ想いはあるだろう。

各土地の人々がすずめに掛ける「いってらっしゃい」。
「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」は大事な対の言葉。
さよならの時、「また今度」より「また明日」といえる世界であるといいな。
 
大きな喪失を抱えながらもこの世界で生きていく。
「私は…すずめの、明日」 大丈夫、過ごした12年は間違いじゃない、明日は来るのだ。
 
原作を読んでいないからか、人間関係に深みを感じずその部分では消化不足で少し残念であった。
色々情報を仕入れて、再度鑑賞してみたい。
草太が早い段階で“アレ”に変わったのは良かった。コミカルさとスピード感が増した。
あとは環と芹沢に助演賞をあげたい。
環とすずめのスピンオフ物語も観てみたい。マックのハッピーセット買いに行かなきゃ。

今作が三部作の最終作であるならば、
この先 新海監督はどんな作品で魅了させてくれるのだろう。
楽しみに待ちたい。


全然関係ないが、映画を観終わってウィンドショッピングをしていたら、
何処からかRAPが聴こえてきた。
向かうと 呂布カルマが イベントでRAPしてた。
「当然のように未来は、自分で切り開いていく以外ない」♪ 最高。


                      (text by 電気羊は夢を見た)


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