記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

ゼノブレDEを114時間かけてクリアしたのでゼノブレイド2をプレイしてみたら136時間かかったのでレビューしてみる

136時間かかってゼノブレイド2をクリアしたので、DEと2の話を書き連ねていこうと思います。
死ぬほどネタバレをしますので、これから遊ぼうと思っている方は今すぐにブラウザバックしてください。



ゼノブレイド2のスコア

プレイした感想を踏まえて、ゼノブレイド2の各要素のスコアを出してみよう。

ストーリー:135点
キャラクター:74599827点
フィールド探索:30000点
サブクエスト:88点
フィールドスキル:45点

合計:74630095点

このスコアに基づいて、作品を語っていこう。

ストーリーの良さ

シンプルな「巨神界VS機神界」という構図が根底にあったゼノブレイドDEとは異なり、ゼノブレイド2は「主人公の冒険」が根底にあるように思う。
敵対構造が難しいのだ。
①主人公一行「楽園に行きたい」
②イーラ「世界を滅ぼしたい。天の聖杯寄越せ」
③アーケディア「このクソみたいな世界め」
④人々「なんかイーラのせいで大変だし戦争起きそうだし巨神獣減ってるしもうやばい」
みたいな構図で実は敵対関係の矢印がキレイに向き合っていないように見える。

この冒険が軸にある構造のお話として真っ先に頭に浮かぶのがイ・ヨンド作「ドラゴンラージャ」である。この作品は主人公が「ドラゴンラージャという特殊技能持ちの人間を見つける」という旅のなかでそれはもうありとあらゆる出来事が次から次へと巻き起こる軽快痛快最高激オモロなコリアンファンタジーなのだが、この「主人公の主目的」と「敵の主目的」に対立構造がないことは非常に重要だと思う。
この構造は、敵を味方にできる可能性が常にあるため、ストーリーを見ていて敵サイドのキャラクターに必要以上のヘイトを持たずに済む。
それによって、後述する「キャラクターの魅力」というゼノブレイド2の大きな魅力を最大限に引き出している。

断片的に語られる500年前の出来事と、各キャラクターたちの過去、そして現在という3つの時間軸と、現在を生きる人々から発生するクエストによって、「アルスト」という広大な世界がどういうものかを次々浴びせられることで、ゼノブレイド2は没入感のあるゲームとなっている。

キャラクターの魅力

ゼノブレイド2には、なんといっても抜群のキャラクターの魅力がある。
主要キャラクターが全員主人公の素質がある。

レックスはそもそも主人公だからあれこれ言う必要はないと思うが、ニアだって亡国の姫感があるし、トラは親子三代におよぶドライバーへの夢を科学力で叶えて実際にドライバーとして戦っているし、メレフも「帝国最強のドライバー」という肩書がある上に皇帝継承のため男として育てられた過去もあるし、ジークは国を憂いて飛び出し流れのドライバーとしてあちこちをさまよい歩き「雷轟」の名を持つほどの戦闘力を持っている。
全員主人公においてもストーリーが成り立ってしまう。

「主人公」にはいろいろなタイプがあると思う。
「キノの旅」や「空の境界」、「涼宮ハルヒの憂鬱」のように(第一印象では)なるべくパーソナルな印象を薄めて視聴者やプレイヤーが作品に感情移入するのを邪魔しないような作品作りをすることもあれば、「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」のように明確な目的を持った主人公が物語を推進していく場合もある。

「ゼノブレイドDE」はエレン・イェーガーのような、復讐心を根底に持って物語を進めさせる主人公だった。実際、僕もフィオルンが死んだときに「機神兵許すまじ」の一心でプレイしていた。

一方、「ゼノブレイド2」のレックスはしばらくの間、キノや黒桐幹也、キョンのような、ストーリー進行のための主人公のように思えた。
それは相対的に周りのキャラクターが強烈だったからだと思う。

敵でさえ、非常に濃かった。
シンの持つバックボーンの重たさ、サタヒコやベンケイ、ヨシツネの悲しさ。マルベーニの憎しみ。そしてメツは顔が濃い
イーラのメンバーは悪としてというより、世界が生み出したひとつの答えとして描かれている。「人間とブレイド」という関係性が大きく関わってくるアルストのなかで、レックスたち「ドライバーとブレイドが共存する」ことを大切にした集団と、「ドライバーとブレイドは別個の存在であり、独自に存在するべきだ」ということを掲げたイーラ。それはどちらが正しいというわけでもなく、どちらも間違っているわけでもない。

そこに「マルベーニ」という存在が加わってくる。
世界や人間を激しく憎んでいるマルベーニだが、同時に難民を保護しジークを助けるという行動をとっていることもあり、彼単体で一貫性もないごちゃごちゃした人間になっている。そのうえ、ブレイドはコマでしかないというような思想まで持ち合わせている。
そのマルベーニの意志が大きく反映されているのがメツであり、「ブレイド大事にしたい」というイーラの中にそんなメツが存在してしまっていてもはやカオスである。

この混沌としたキャラクター達を、味方だけではなく敵の背景事情までを描くことで、ゼノブレイド2がシンプルな敵対関係ではないことがよくわかる。

そもそも、登場人物が非常に少ない。この少ない登場人物で100時間規模のRPGを作り出すことができるのは、完全にキャラクター1人に対する時間を多く取っているからだと思う(当然フィールドが広いのもあるが)。

それに比べるとレックス自身の過去は割とあっさり描かれている。出生も謎に包まれたまま終わったような印象。そういう意味では、キャラクターが持っている情報量は少ない。

しかし、このゲームには「レックスは子供である」という重要なファクターが存在している。

子供とは、非常に不安定ないきものだと思う。
昨日まで出来なかったことが突然できるようになるし、何気ないひとことをいつまでも引きずってしまったり、逆にひょんなことで急に立ち直ったり。
エネルギーをすべて使って成長することに全力な子供は、非常に不安定だ。
他のキャラクターは皆、確固たる自分があるまま作品に登場している。
ニアだけはレックスと年齢が近いこともあり、陣営を寝返っていることも相まって不安定な側面も見えるが、背負っている過去があるせいで振り幅が少ない。
「子供特有の不安定さ」を、レックスというキャラクターは持っていた。


レックスと同じ15歳のころ、「キミってお人好しだよね」とクラスメイトに言われた。「優しい」のではなく、お人好しなのだと。
お人好し。
言葉の意味としてはポジティブだが、ニュアンスとしては若干マイナスを含んでいる。僕はこのときの一言をいまだに引きずっている。この時どういうつもりでこの発言を僕に発したのか、答えはわからない。
子供のころに経験することは人生に少なからず影響していく。


不安定なレックスは、何人かの大人と出会う。
ヴァンダム、ジーク、メレフ。
彼らが寄り添ったり、アドバイスしてくれたり、一緒に歩んでくれることで、レックスには一種の安定が生まれていく。

それは、「ホムラ・ヒカリと一緒に楽園に行く」ということ。

初めから楽園に行くことは掲げていたが、本当の意味で「一緒に」という部分がハッキリ定まった時、レックスは物語を傍観していく主人公から、推進していく主人公になった。
ヴァンダムの死、ホムラ・ヒカリの喪失、世界を見て色々な部分を見たこと、500年前の出来事を知ること、ともに戦う仲間たち。

全部背負って、レックスが主人公となる。子供だったはずのレックスが誰よりも大きくなる。

レックスの精神性は割と崇高で、「困っている人がいたら助けたい」という気持ちがとても強い。ヒーロー殺しステインが殺せないような精神性を持っている。


ド広いフィールド

ゼノブレイドDEプレイ時の感動としてとても広大なフィールドがあるが、ゼノブレイド2も負けず劣らず超広い。そしてマップがレイヤー分けされておらず、画面を凝視して道を探さないといけない。本物の冒険がここにある。
画面の明るさをデフォルトでプレイしていたらモルスの断崖で詰んだが、試しに明るさマックスにした途端に目の前に道が開けて超快適に遊べた。
ゼノブレイド2は画面の明るさをマックスにするべきだ。

サブクエスト

本作でもっとも判断が難しかったのが、この「サブクエスト」という要素だ。
街の発展のためにも次々クリアしていきたいが、ひとつのクエストにかかる時間が異常に長い。
そもそもクエストを見つけるのでさえ大変なのだ。DEではクエスト受注ができる人間やクエストに関わるポイントは常にマップに表示されていたが、本作は仕様なのかバグなのか、対象のエリアに一度行かないとマップに表示されない。そのため、定期的に全地域を旅する必要がある(と思って巡回しまくっていたのだが、本来は必要なかったのかもしれない。事実を知ってしまうと僕ががっくり膝をついてしまうので、詳細を知る方は内緒にしておいてほしい)。
しかし、クエストの内容自体は非常に良かった。目の前で死ぬ老人、プレイヤーの選んだ選択肢によって死刑は免れない反逆者、フィールドに落ちている「死体」という文字のインパクト。アルストという世界を理解するためにサブクエストは大きな役割を担っている。
また、ブレイドのキズナクエストも非常に魅力があると思った。これに関してはほとんど手を付けられていないので、今後じっくりやっていこうと思う。
ヂカラオかわいいよヂカラオ

フィールドスキル

細分化されたそれぞれの国・エリアをそれぞれ探検することになるが、ゼノブレイドDEと比べてランドマークの数が非常に少ないため、ガチで進まないと非業の死を遂げたときにやり直しになる場合が時折ある。また、進んだ先でフィールドスキルが足りなかった場合、その道中で詰むことがありうるため、その点は非常に困った。
エルピス霊洞はガチでしんどかった。

まとめ

ゼノブレイド2という作品は、圧倒的なキャラクターの魅力を存分に発揮させるだけの要素が詰まっている。
ここに衣装チェンジ要素まで含まれていたら死人が出ていたことだろう。
キャラクター同士の関係値や、奥深い設定、様々な解釈ができる部分も含めて、いろいろ考察する楽しみもある。
シンプルにプレイするだけで100時間以上遊べるうえに、プレイ後にやり込みもでき、しかもゲーム外で考察もできる。
大変いい冒険をさせていただきました。
ありがとうモノリスソフト。もう少し人の心あってもいいぞ。


前作「ゼノブレイドDE」のプレイの感想↓


ここまでお読みいただきありがとうございました。

今後も僕が観てきた博物館や史跡、映画や漫画や本などのレポやエッセイ、その他をnoteで発信していきます。
いいなと思ったらスキボタンや感想のコメント、フォローお待ちしてます。

Twitter(X)
https://twitter.com/shiro_gooohan

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?