見出し画像

ほくほくなおしゃべり

 珍しい人と会うことになった。好きな本を贈りあって、読み合って、本の話をするために待ち合わせる。

 私の人生に登場する頻度が少なかったから珍しい人。誰かに本を贈るだなんて、相手のことを知らなくちゃできないと思っていました。相手を知らなきゃ、相手を知ったかぶった選書になるか自己紹介みたいな選書になるでしょう?それはなんとなく恥ずかしいことだと思っていました。

 ひょんなことから本を届けるぞってなったとき、それなりに考えましたよ。結局私が好きな作家さんたちの中でその人が気になる人の本を2冊、大好きなエッセイを1冊チョイス。どう足掻いたって私らしさは出てしまう。

 感想が聞けるまでハラハラしました。だから、直接会って読書会を開こうと言われた時はほくほくしました。

 その日の私はいつも以上におしゃべりだったと思います。私の選んだ本を読んでもらったからには、私のことも知って欲しく思ったのかもしれません。割とありのまま喋りました。どうかあの日のことは共通の知り合いにペラペラと喋られていませんように。

 いくらだって口は動いて、たんまりと夜通し喋りましたね。もしかしたら私の口が止まらないから困らせたかもしれません。私ばかりが楽しかったらと不安でした。だからバイバイした後に立ち止まって電車を調べて、なんとなく振り返ってみたらまだその人がいて安心しました。

 あの、もし良かったらまたおしゃべりしましょうね。

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?