雨降りと夜更かしを理由に、11時のチェックアウト間際に宿を出る。帰りの列車は18時。しとしと雨も止む気配はないので、コーヒーを飲みながら本の虫と化すことに決めた。木造校舎のような内装のカフェでカフェラテとケーキを注文し、ちびちび食みながら本を読むも、1時間ほどで長居がいたたまれなくなり、昨日も訪れた新刊書店 紙片に再び訪れる。細い路地の奥の、建物の隙間に作られたそこは、秘密基地のようにも、神聖な場所のようにも感じる。何周もした本棚でも、再び走り回ると気になる本がまた現れるのは、独立系書店の不思議である。店の入り口付近、テント地の屋根に雨粒が当たる音と、控えめに流れるBGMが混ざり合う。会計の時に天井を指差しながら、雨、最高ですね、と店主に伝えると、それをきっかけに雑和が始まり、店を始めた経緯などを聞かせてもらえた。弍拾dBもだけど、これしか無いと思った仕事（店）が続いているということは、とても素晴らしいことだと思う。そしてこれからも続きますようにと願う。この町にあるおすすめの自家焙煎カフェと、真鶴にあるという友人のカフェも紹介してもらう。趣味嗜好、リズムとボリュームが合う人との出会いに、昨日話し掛けなかったことを後悔し、今日の雨音に感謝した。