文徒ジャーナル Vol.46

Index------------------------------------------------------
1)日テレ「午前0時の森」における深刻な人権感覚の欠如
2)五輪記録映画監督・河瀨直美はNHK字幕捏造問題の単なる被害者なのか?
3)日本を代表する映画監督のひとりであった青山真治が亡くなった
4)最近書店閉店事情
5)新聞社説が取り上げた「ドライブ・マイ・カー」のアカデミー賞受賞
6)今村翔吾が熱い!出版の伝道師だ!
7)ヤンヨンヒと深沢潮の告発ツイート!出版業界も他人事ではない!
8)「BE-PAL」の顔だった野田知佑が亡くなる
---------------------------------------2022.3.28-4.1 Shuppanjin

1)日テレ「午前0時の森」における深刻な人権感覚の欠如

「リアルライブ」は3月24日付で「日テレ『午前0時の森』、不適切発言を謝罪も再炎上?『問題点分かってない』の指摘、関ジャニ村上ファンが怒り」を公開している。
《21日深夜放送の生放送バラエティ番組『午前0時の森』(日本テレビ系)が、番組内の不適切発言を謝罪したものの、ネット上で再炎上している。
問題となっているのは、番組に特別MCとして登場した元プロレスラー・前田日明の発言。その中で、前田はここ最近のグラビア界について、「ケツがこんなに大きい女の子が流行ってきてるんですけど、ちょっと日本人的にはね……なんかもう、牛かカバみたいでね」とコメント。》
https://npn.co.jp/article/detail/200020327
加えて、アフリカの一部地域への差別表現もあったそうである。確かに番組の公式ホームページには、次のような「お詫び」が掲げられている。差別者に甘いと感じるのは私だけであろうか。
《3月21日に放送した『午前0時の森』(生放送)の番組内容において、女性の身体的特徴に関する発言、性的な発言などにより、視聴者の皆様に不快な思いをさせてしまったことを深くお詫び申し上げます。
その際に、出演者が『ホッテントット』というアフリカの一部の地域の方々への差別表現を使いました。関係者の皆様、視聴者の皆様に重ねてお詫び申し上げます。》
https://www.ntv.co.jp/mori/
次のようなツイートが投稿されている。
《謝罪文のトップ掲載は多少の溜飲が下がる気持ちもあるけど文字の小ささと内容の薄さ、謝罪文が出ているHPにその発言者である「出演者」を確認できるものが全く無く、発言していない4名の写真と名前のみが載っていることは誤解を招かねないと思うけど》
https://twitter.com/keepyudetamago/status/1506580392517996546
ツイッターのタイムラインを見ればわかるかと思うが、この「お詫び」の文章自体が炎上してしまっているのだ。
「J-CASTニュース」は3月24日付で「日テレ、出演者の差別発言で謝罪 アフリカ一部民族への蔑称使用、深夜の生放送番組で」を公開している。
《番組中に発言があった「ホッテントット」は、アフリカのコイコイ人への蔑称とされる。共同通信社が刊行する新聞用字用語集「記者ハンドブック」(14版)でも、「差別語・不快用語」にあたるとして、言い換えが指示されている。》
https://www.j-cast.com/2022/03/24433759.html?p=all
毎日新聞は3月24日付で「日テレ、生放送番組で差別表現 バラエティー『午前0時の森』」を掲載している。
《日テレは2021年3月にも情報番組「スッキリ」内でアイヌ民族に対する差別的な表現があったとして謝罪。再発防止策として全社員・スタッフを対象にした差別問題などの研修を実施し、複数のプロデューサーによるチェック体制を構築した、としていた。》
https://mainichi.jp/articles/20220324/k00/00m/040/284000c
番組スポンサーのひとつはP&Gであったようだ。
《午前0時の森めちゃくちゃ気持ち悪い番組だったけど、スポンサーにP&Gがいてさらに気持ち悪い。
ウィスパーとかオムツも出してる会社なのに、あの番組の内容で出資するとかP&Gが気持ち悪いわ。》
https://twitter.com/SPACE_KISS2018/status/1506660589023948800
「午前0時の森」の本放送は4月からで、今回はパイロット版ということのようだが、「生放送」での放送が無理なことが実証されたのではないだろうか。

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