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連続ドラマ小説「なつぞら」の主人公のモデルが誰かを小田部羊一さんに直接聞いた話

昨年末のころだっただろうか。自治会長の奥さまに「失恋した。もうダメだ~」とのび太みたいに泣きついたことがあった。

「もう、それは時が解決するから。それより藤沢支所に小田部なんとかさんが来るらしいよ。『アルプスの少女ハイジ』を作った人。うちのおじさんが言っていたわ。いま、電話を代わるね」と奥さま

自治会長「佐藤くん、家でうじうじしていないで藤沢支所に来てみないよ」
僕「はあ……」

ハイジが有名なことはわかるけれど、僕のパッションが沸くほどでもない。とりあえず、小田部なんとかさんを検索してみるか。

すごい人だわ! フルネームは、小田部羊一さんという。代表作としては以下のものがあげられる。

「アルプスの少女」(キャラデザイン・作画監督)
「母をたずねて三千里」(キャラデザイン・作画監督)
「風の谷のナウシカ」(原画)
「『スーパーマリオ』シリーズ」(キャラデザイン)
「火垂るの墓」(原画)
「ポケットモンスターシリーズ」(アニメ監修)
「ゼルダの伝説シリーズ」(イラスト)……etc

少しパッションが高まったけれど、僕の失恋はそんなものでは立ち直らない。一応、友人(元声優)さんにLINEを送ってみた。ちなみに彼女は「ひきポス5号」で僕の記事の挿絵を描いてくれた。

「えっ、アニメーションの巨匠が来るの!? チケットが必要なの?」と友人は興奮気味にメッセージを返してくる。
「いや、自治会のからみだから一般に広報していない。でも、先着100名だったかな」
「早めにいく! まなぶんも来なよ」
「うーん、じゃあ行くわ」

小田部羊一さんは、この近くに住んでいるらしい。地域のためにということで今回のことを引き受けてくれたようだ。宮崎駿さんもたしか所沢に住んでいると思った。ジブリの人はそうなのかもしれない。

小田部さんは、最初は東映で働いていた。それからフリーになり、任天堂に誘われた。当時、マリオを作ろうとしていたチームの部長がむかし東映で働いていたという。


任天堂で2年くらい働くつもりが21年も働いたと振りかえっていた。ポケモンをアニメ化するときもアニメーションに関わった人が自分しかいなかったから携わることになったという。

宮崎駿さんとの逸話も話してくれた。中でも印象的なのは、宮崎駿さんに「ピカチュウのほっぺの赤いところなんてまるでハイジそっくりじゃないか」と言われることだった。

ピカチュウ自体、小田部さんのデザインではないが、「ハイジなどの影響があったとしたら嬉しいですねえ」とおっしゃっていた。

「なつぞら」のモデルは、小田部羊一の奥さまである奥山玲子

今日(4月1日)からNHKの朝ドラで「なつぞら」がはじまった。朝ドラの記念すべき100作目。主演が広瀬すず。小田部さんは、「主演が広瀬すずでよかった。自分も好きな女優さん」と言っていた。

この朝ドラは一応オリジナルなんだけれど、主人公のモデルとして小田部羊一の奥さまである故奥山玲子だと推測されていた。でも、小田部さんがこの場で自分の奥さまがモデルと言っていたので本当なのだろう。

ただ、小田部さんは、「ドラマ自体はオリジナルだから、主人公の結婚相手は、僕みたいなアニメーターじゃないんじゃないかな(笑)」と言っていた。

質疑応答の時間があったので思いきって手を挙げた。

「いま、自分は雑誌作りに関わっていまして、ひきこもり当事者の専門誌です。そこで作り手としての先輩に質問なのですが、キャラクターをつくるときにそれを誰に見せるか想像しながらつくるのでしょうか。たとえば、これは日本人だとかあるいは世界の人々まで範囲を含めるとか」

なんて答えてもらったか忘れちゃった。

ただ、小田部さんがアルプスの少女ハイジを作ったとき、意外だったのはヨーロッパの人たちがそれを自然と受け入れてくれたことだという。

外国人が日本人を描くとき、どこかしら違和感をおぼえる。でも、その逆は少ない。当たり前のように日本のアニメが世界中で観られている。これってすごく不思議だ。

最後、小田部さんとのツーショット写真を撮ってもらった。ここに集まっている人のほとんどが、アニメやゲームにまったく関心がないから助かった。地域の重鎮のじいちゃんやばあちゃんばかりだから(笑)。なんかもったいない。世界のアニメやゲームのキャラデザインの巨匠がここにいるんだよ。ディズニーと双璧をなすくらいのすごい人が。

「これは僕がかかわっている雑誌です。ひきこもりの専門誌です」とひきポスをお渡しした。
「うちの子ども(孫だったかな?)も登校拒否をしていてねえ」と小田部さんは穏やかに答えてくれた。

宮崎駿とか高畑勲はクリエイターらしい気むずかしさを持っているけど、小田部さんはそれがない。面白いもんだなあと思った。

友人の元声優さんにはめちゃくちゃ感謝された。アニメに関わっている、関わっていた人からすれば神さまみたいな人なんだろう。あるいは、ゲーム好きにとってもそうかもしれない。


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