北極星に願う



白銀の世界。

それは、朝だけの話。


夜には月明かりを反射し

暗闇が隠してくれるものに形を与える。


隠したものを、無理矢理に暴く。

なんとも残酷な話だ。


「雪なんて嫌いだよ。」


呟いた言葉は

白に塗り潰された視界の中で溶けていった。


ふと、空を見上げる。

真上に耀くのは、北極星だろうか。


不動のその星が、青く燃えるように耀いている。

信仰の対象になったのも頷ける。


もし、俺の声を、願いを聞いてくれるのなら。


どうか、優しい嘘を暴くことをないように。

幸せであり続けられるのであれば。


目線を空から落とす。

広がる白に、溜め息を一つ。



愛おしい顔を思い浮かべた。

さあ、進もう。



家は、もうすぐだ。

       

             『北極星に願う』



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