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アンジー。fiche a naoi

朝ごはんの席にビーノがいなくても誰も気にしてない。
テーブルに出てるものでショーンは手慣れた様子でサンドイッチを作っている。
ビーノは?
あー、ま、昼にでも腹が減ったら戻って来るんじゃないかな。あんまり気にしなくていいよ。
いつものこと?
まあね。部屋に引きこもってるよりいいし。今日はまあ、俺に付き合ってよ。
ショーンから渡されたサンドイッチの包みを持って外に出た。風は冷たいけどよく晴れていて気持ちがいい。外で過ごすのもいいかもしれない。
群れの形を変えるようにゆっくりと動いていく羊たちと、それを追う犬。子犬が必死に走っている。
子犬はビーノと一緒じゃなくていいの?
にーちゃんといると遊んじゃうから、今日からはお仕事モードでいくことに会議で決定しまして。
会議?
そ、うちのファミリーミーティング。にーちゃんを迎え入れるにあたって発足しました。
迎え入れるって、ビーノはいつからここで暮らすようになったの?
ええーっと、
ショーンは指をおって考えていたがあきらめたように言った。
ま、十年ちょい?事故のあとなんとか歩けるようになってからだから、たぶんそんなもん。
もっと子供の頃からかと思ってた。
母さんはずっとそうしたかったんだろうけど、正直俺にはよくわからんのよ、そのへんの事情は。
ふうん、ショーンは、ビーノのこと、えーっとお兄ちゃんがいることは知ってたの?
あー、いつだったかなあ、うーん、じいちゃんとばあちゃんがたて続けに死んじゃって、そんときに来てた親戚からローラが聞いたみたいで、私達にお兄ちゃんがいるらしいわよ、って。事故の連絡くるまではおおっぴらに聞けないようなかんじあったから触れないようにしてたけど、にーちゃんがいるのは知ってたよ。







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