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アンジー。fiche a ceathair

ん?
気がつくとビーノが僕のすぐ横に座っていた。
セジュ。ちゃんと寝よ?
あ、ああ、うん。ごめん。寝てたね。
ぴこんって。
ビーノが僕の手元を見た。
あ、うん、母さんから。まとまった休みが取れたのに母さんとの予定入れなかったから、お小言が次々と来るんだ。
帰らなくてもいいの?
うん。ビーノに会ったばかりだし、まだ話したいと思ってたことなんにも話してないしね。
僕と?
そうだよ。
僕がもうアンジーじゃなくても?
うん。アンジーがアイルランドに帰っちゃったって聞いてから、アンジーを探す夢をよく見たんだ。あんな夢はもう見たくない。助けてってずっと思ってた。僕を助けることができるのはビーノだけじゃないかって思ったんだ。僕の顔なんて見たくないっていうなら、帰る。帰ったほうがいい?
やだ。
ビーノはぎゅっと僕のパジャマの袖をつかんだ。
僕、セジュに会いたいってずっと思ってたもん。来てくれてすごく嬉しかったもん。
ヤバイ。理性で抑えられないものが発動しそうになる。
さ、寝よう寝よう。夜ふかしして風邪ひいたら大変だしね。
ん。セジュ、こっち側でいい?
とビーノはぽんぽんとベッドを叩いた。
あ、そうだね。
じゃあ僕はこっち。
もぞもぞとビーノはベッドの端ににもぐりこんだ。
そんなはしっこじゃ落ちちゃうよ?もっとこっちに来ーい。
ふざけて感じを出してビーノを抱えるように引き寄せた。ここまできてベッドの端と端で寝るなんてバカみたくない?
わあー。
声をあげてジタバタと引き寄せられてきてビーノを僕の腕の中におさめた。よろしい。
今朝なんか僕の上に乗っかって寝てた。
重かった?
すんごく。
ごめんなさい。
嘘でーす。
明るく言ったのに反応がない。泣かしちゃったかと伺うと寝てる。そんな。落っこちるように寝ちゃうなんて。
ま、いいや。深く息を吸うとビーノの髪の匂いがした。
おやすみ。







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