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『十四歳日和』(著者:水野瑠見)は海城中、洗足学園中、学習院女子中、富士見中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容・あらすじを紹介します!

■『十四歳日和』(著者:水野瑠見)について

この本は
・ボーダレスガール(佐古葉子)
・夏色プール(新島たける)
・十四歳エスケープ(田端律)
・星光る(矢代大地)
の4つの連作短編集です。

中学2年生の男の子、女の子があるあるな日常を描いた作品なので、小学生にも共感しやすく読みやすいです。
『クラスメイツ』(著者:森絵都)以来の、中学受験のために書かれたのではないかと思うような作品です。

1つ1つの話は独立しているけれど、周りの登場人物は同じという形式ですので、どこか気になるところだけ1編読んでみるというのもいいでしょう。
1話だけでも、共感しながら何か感じとることができる素敵な作品です。

最後のあらすじは、読書感想文を書く際などに参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)


中学受験では、2020年第2回海城中学校2020年A入試学習院女子中等科2021年第1回富士見中学校2022年第1回洗足学園中学校の国語の入試問題で出題されました。

◆2020年第2回海城中学校の国語の入試問題

大問1番で「星光る 矢代大地」から出題されました。
最初に「学年でずっと成績2位の大地がトップの百井と仲良くなって、県内トップの高校を目指していたのに、百井から引っ越すことを聞く」という説明があり、百井が、小3の時の先生に勉強は平等だと言われてから勉強を頑張るようになったという話をし、終業式の後、最後思いっきり遊ぼうと大地が百井を誘うところまでが出題されました。

大問2番は論説文で大問2番まででした。
ただし、大問1番の方が文章量、設問量ともに多いです。

この大問1番の設問形式は、4択の記号選択問題が13問、60〜80字、80〜100字の記述問題が各1問で全部で15問です。

◆2020年A入試学習院女子中等科の国語の入試問題

大問1番で、「ボーダレスガール 佐古葉子」から出題され、大問2番は漢字の読み書きでした。文章題は、この「ボーダレスガール 佐古葉子」のみです。

応援旗が仕上がりに近づいてきた時に起きた事件によって、日向の中心グループにいた葉子が同じグループの朱里に反論し、小学校からの友達のしおりと再び仲良くなるシーンが出題され、クラスの中の日向と日陰、その境界線を越える意味についても問われていました。

大問1番の設問形式は、すべて自由記述問題です。
問8が2問あるので、問9までで全部で10問の自由記述問題でした。

◆2021年第1回富士見中学校の国語の入試問題

大問3番で、「ボーダレスガール 佐古葉子」から出題され、大問1番は漢字の書き取り、大問2番は論説文で大問3番まででした。

大問3番では、最初に「小学校の頃仲の良かった葉子しおりが中学の入学式前に待ち合わせるところから始まる」という説明があり、メガネをコンタクトにし、髪型も変えて来た葉子にしおりが戸惑いを感じ、葉子は日向の中心グループに入っていく反面、美術部は地味と言われて入れなくなってしまう場面が出題されました。

この大問3番の設問形式は、5択の記号選択問題が4問、語句の意味が1問、語句の挿入が1問、抜き出しが2つで1問、表現技法を問われる問題が1問、30字の記述問題が2つで1問で、全部で9問でした。

◆2022年第1回洗足学園中学校の国語の入試問題

大問2番で、「ボーダレスガール 佐古葉子」から出題され、大問1番は論説文で大問2番まででした。

大問2番では、最初に「小学校の頃日陰者どうしで親友だった葉子しおりが中学でしおりが日向のグループに入り疎遠になり、中2で同じクラスになって応援旗係になる」という説明があり、応援旗係の際に葉子としおりが仲良く話しているのを聞いた朱里が気に入らないという態度を示す場面が出題されました。

この大問3番の設問形式は、4択の記号選択問題が3問、植物に関する成句の意味が1問、3行の自由記述問題が2問、50字の記述問題が1問、語句の挿入が1問で、全部で8問でした。

■『十四歳日和』のあらすじ(ネタバレ)

●ボーダレスガール 佐古葉子

佐古葉子は小学校の頃、瀬川しおりと親友だった。お互いに寝グセにメガネでぴんとくるものがあり、2人とも絵を描くのが好きで画家になりたいと話していた。ところが、中学に入り、葉子は高校生のから手ほどきを受け、メガネをコンタクトに変え、寝グセも直すようになり、クラスでも日向となる中心グループへ入るようになる。そして、日陰にいるしおりとは話すこともなくなり、しおりは美術部へ入るが、葉子は地味な部と言われている美術部には入れなかった。体育祭前、応援旗係を決める際に、しおりが引き受けることになり、葉子も立候補するが、他が決まらず、葉子の仲良しグループの朱里も手伝うように決められてしまう。朱里は不満で真面目に参加せず、葉子がしおりと話をするのも気に入らない。応援旗もだいぶ仕上がりに近づいた頃、同じ応援旗係の松永さんが赤色の絵の具を誤って応援旗の上に散らしてしまうのを見た朱里が冷たい言い方をするのに対して、葉子は朱里に反論する。それから、朱里に避けられるようになり、葉子はまたしおりと仲良くなる。そして、入りたかった美術部に入部する。

●夏色プール 新島たける

新島たける牧野芙美は6歳の頃スイミングスクールで一緒だった頃からの幼なじみで、男勝りな芙美をたけるは男友達のように気の置けない親友と思っていた。しかし、最近芙美の様子がおかしい。数学の染谷先生に恋をしているらしいのだ。芙美は染谷先生に変な顔を見られたくないという思いで、水泳大会もわざと出れないように本気で泳がない。そんな芙美にイライラするたける。そんな時、親同士も仲がいいため、芙美の誕生日のランチに誘われてしまう。誕生日当日、集まったイタリアンカフェに数学の染谷先生と英語の豊田先生が来ているところを偶然見てしまう。傷心の芙美を励ますたけるだが、話が噛み合わずケンカわかれとなってしまっう。その後水泳大会で、芙美は出場できなくなった友達の代わりに出場する。芙美のあとを泳ぐたける。一位にはなれなかったが、二位でゴールし、泳ぎ切って気持ち良かった芙美は帰りにたけるを待っていた。たけるに謝る芙美。2人の間に何かが始まったのかも。

●十四歳エスケープ 田端律

朱里に、リトプリ(『リトル☆プリズム』ガールズ)の追加メンバーのオーディションを受けてみないかと誘われ、つまらない毎日から現実逃避したい思いで2人で一緒に履歴書を送る。律は第一次書類選考に合格するが、朱里は不合格だったらしい。律は朱里に自分が合格したことを言えず、SNSのアカウントを作成し、リトプリ志望で第1次審査に合格したことを書き、ケーキ屋さんのタルトやネイルなどの写真を投稿していくと、好意的なコメントがつき嬉しくなる。スマホばかりが気になるようになり、そして、ネタがつきない他のアカウントの子たちがうらやましくなる。何か投稿しなくてはと、朱里に教えてもらったパンケーキのお店に行きたいと考えるが、お小遣いが足りず、参考書を買いたいと親に嘘を言ってお金をもらい、パンケーキ屋へ行く。しかし、いざパンケーキを食べてみると、一人で来ているのは律だけで恥ずかしくなり、さらに写真を投稿する際に、前に朱里と撮った写真が楽しそうに見えてくる。無理しちゃってたことに気づいた律はアプリを削除し、エスケープを終わらせる。

●星光る 矢代大地

矢代大地は、中学に入り勉強できるようにと、部活が楽な弱小バスケ部へ入部し、みんなの前では勉強しているようには見せず、密かに努力していたが、テストでは万年2位だった。幻の1位は誰だろうと思っていたところ、先生との話を聞いてしまい、1位が百井祐樹であることを知る。百井は中学で同じ町に引っ越してきたため知られてなく、極貧という噂があり、クラスでも影の薄いクラスメイトだった。ある体育の授業でドッジボールをした際に、百井があまりにもトロいのに苛立ち、大地は百井を責めてしまう。大地はその後すぐ反省したが、それをきっかけにクラスの雰囲気が変わってしまう。みんなが百井に嫌がらせを始めたのだ。しかし、そんな中でも百井は1位を維持し、大地は2位のままだった。百井の嫌がらせの折に、大地が止めようと入ると百井が怪我をしてしまい、先生から追及されるが、百井は本当のことは言わなかった。それ以後、百井への嫌がらせはなくなり、大地は百井と仲良くなる。しかし、それも束の間、大地は終業式を最後に引っ越してしまう。最後に大地と百井は駆け回って遊び、別れる。

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