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「ボロ物件、立地が悪い物件でも10万円で買えるなら良い物件」不動産投資家・yuichi氏 3/3

不動産投資家のyuichi氏に、良い物件を見極めるためのコツについて伺いました。

yuichi氏 プロフィール

築古戸建を岡山県内に10戸、千葉県内に1戸保有。平均表面利回りは20%ほど。不動産投資を始めて5年弱、法人も運営。

取材実施日

2024年3月27日

今後は不動産投資をしつつ、40歳までに自分の事業で独立したい

ーー東京の大手コンサル会社に転職されたということですが、収入は上がりましたか。

年収では150万円アップしました。

前職は月の半分以上、出張で帰宅できませんでしたが、今の仕事では定時に終わるか、一日1〜2時間の残業で済むため、労働の負荷は減りました。

ーー今後、東京近郊の不動産投資を始めようと考えているyuichiさんにとって、最終的な目標はなんでしょうか。

現在、34歳なのであと五、六年で独立したいと考えています。

集団行動や上司の話を聞くことが好きではないため、40歳までに退職できるよう、今は目標に向かって頑張っている感じですね。

中学生ぐらいから、株や資産、お金に関する本を読んだり考えたりすることが好きだったため、将来はファイナンシャルプランナーとして独立したいと考えています。

お金のことが好きですし、現在のコンサルティング・ファームでの仕事でも人の相談に乗るのが楽しいので、好きと得意を掛け合わせた仕事で会社員のお金に関する悩みを一緒に解決し、人の役に立ちたいですね。

ーー現在の不動産収入を考慮すると実現性が高そうです。

今会社を辞めたとしても起業した会社が軌道に乗るまで安い家賃で暮らせば経済的には問題ないと思いますが、妻も子供が生まれる可能性もあるので、まだ難しいかなと思っています。

実際的にはあと5年で盤石な体制を作ってから独立したいと考えています。

ーー奥さんと不動産投資や独立については話をしていますか。

妻は不動産投資や独立については、ノータッチです。

知り合いの大家さんのなかには、嫁ブロックされる方もいるようですが、私の妻は特に反対することもなく、好きなようにやったらと言ってくれるので、ありがたいですね。

ボロ物件や立地が悪い物件でも10万円で買えるのであれば私にとっては良い物件

ーー不動産投資のスタイルは人それぞれですが、yuichiさんにとって良い物件を見極めるためのコツを教えてください。

狙っているエリアでできるだけ多く物件を見て、相場観を身に付けることです。

「良い物件」の定義は難しいですが、ボロ物件や立地が悪く誰も買わないような物件でも、10万円で買えるのであれば、私は良い物件だと思います。

物件のスペックと価格のバランスで、割安感があれば個人的には「良い物件」だと考えますね。

どんな物件が割安かは、できるだけ多くの物件を見て、エリアと物件のスペックでおおよその相場感を養うしかありません。

また、実際に買えなければ意味がありませんので、ポータルサイトで物件をできる限り見たあとは、気になった物件があれば直接見に行き、買い付けを入れていくことです。

「この金額だったら買います」と、しっかりと行動に移していくことで、良い物件が見極められるようになるでしょう。

ーー良い物件を見つけるためのアドバイスもお願いします。

SUUMOやアットホームなど、ポータルサイトで自分が買いたい物件の条件を入れて、ずっと見続けるしかないと思います。

私も保有物件を少しでも増やそうと考えていた頃は「1日1時間、時間がないときは朝と夜に30分ずつ必ず見る」と決めて物件を探していました。

そして実際に足を運び、物件を見に行ってください。

現地に行くことで、不動産屋が物件情報を詳しく教えてくれたり、駐車場がない物件でも近隣に月極3,000円の駐車場を見つけたりと、ネットには載っていない情報に出会えます。

購入する判断材料にもなるため、実際に内見するということも大事です。

不動産屋から良い物件を紹介してもらうためには一度購入していないと難しい

ーーこれまで不動産投資家の方に取材してきたなかで、ネットで物件を探す方と不動産屋の営業マンと仲良くなってその方から良い物件を紹介してもらう方と2パターンに分かれていたのですが、yuichiさんは後者のパターンについてどのような印象がありますか。

紹介された物件を買う方が楽なのでアリだと思いますが、初心者には使いづらい方法かと思います。

不動産屋から一度でも物件を購入し、営業マンから「この人はちゃんと買ってくれるし、文句もあまり言わないし、良い客だな」と思ってくれなければ、なかなか良い物件を紹介してくれないのではないでしょうか。

私も、同じ不動産屋から継続して紹介された物件を購入した経験があります。

しかし個人的には、ネットで割安物件を探す方が好きなので、狙いたいエリアがあれば都度ネットで探し、新しい業者から買う方が多かったですね。

ーー客付けのコツや注意点などがあれば教えてください。

賃貸の一戸建ては供給が少ないため、私自身は客付けに苦労したことはほぼありません。

一戸建ては需要も少ないのですが、それ以上に供給が少なく、入居者が決まりやすいんです。

人口が1万人の小さな町の物件でも、募集開始から2週間で入居者が決まったこともあります。

ただ、家賃が安い分、モラルがない方や外国人も多く、入居者対応に苦労するかもしれません。

家賃が安い物件を保有している場合は、その辺が注意点かと思います。

安い職人にリフォームを依頼することで自身は次の物件の購入に力を注げる

ーー購入物件をリフォームすることで、やはり客付けはスムーズになりますか。

たしかに客付けはしやすくなりますが、リフォームにお金をかけてしまうとその費用を回収するまでに時間がかかってしまいます。

自分でDIYをする方法もありますが、私自身は好きではないため、割安で腕の良い職人さんに依頼していますね。

ーー割安で腕のいい職人さんはどのようにして見つけたのでしょうか。

大家の会で紹介してもらいました。

その方にお願いすることで、リフォーム費用を抑えることができ、かつ私自身は次の物件の購入にお金と時間を注げたため、良いスパイラルを回せましたね。

東京では、そのような自分のチーム作りがまだできていないため、ゼロから構築していく予定ですが、私自身としてはそれも好きで楽しみながらやっています。

購入したいエリアを変えたら、その土地の相場観を一から学び直さなければならない

ーー不動産投資において、最も大事だと思うことがあれば教えてください。

相場を知るために、「この土地で、このスペックの物件はいくらが相場なのか」と、とにかく調べることです。

相場を知らないまま、適当に買い付けをする初心者もいますが、多くの場合、割高な物件を買って失敗しています。

また、慣れ親しんだエリアで相場観を持っていても、購入するエリアを変えた場合は、また一から調べて相場観をつかまなければなりません。

現在、首都圏の相場を身につけるため、私自身も多くの物件を調べていますが、この段階が不動産投資において難しいなと感じています。

ーー不動産投資に向いている人はどういう人だと思いますか。

夏休みの宿題を8月31日に一気に終わらせるのではなく、計画を立てコツコツできるタイプですね。

不動産投資は、毎日ポータルサイトを見て物件を探したり、何度も買い付けを入れたりと地味な作業の連続なので、その苦労をいとわず毎日努力を継続できる人であれば向いていると思います。

「買えるから買う」では思考停止している

ーー初心者が犯しがちな失敗はありますか。

不動産屋や銀行員から「あなたの勤務先と年収なら、この物件ぐらい買えますよ」と言われ、それを鵜呑みにして特に何も考えず「じゃあ、買えるなら買っちゃうかな」と、割高な物件や変な物件を購入してしまうケースですね。

そういう方は意外と多く、エリート会社員や医師でもよく物件を調べないまま購入してしまった話をよく聞きます。

「買えるから買う」では、思考停止というか、周囲のアドバイスを鵜呑みにしているだけなので、自分の頭でしっかり考え、きちんと調べなければ、不動産投資は失敗すると思いますね。

ーー一般的にエリートとされる会社員や医師などでも、不動産投資にコミットする量が足りなければ失敗してしまうということですね。

情報を持っている人と持っていない人で、大きく差が出るのが不動産投資だと思います。

逆を言えば、きちんと調べて知識を身につけていくだけでも、努力が報われる可能性は上げられます。

騙されるケースは知らないが、ただ知らなくて損をしてしまったケースはある

ーー漫画『難波金融伝・ミナミの帝王』の影響か、不動産の取引ではどうしても玄人に騙されてしまう印象が強いのですが、実際そのような事例はありますか。

だまされたという話は周囲から聞いたことはなく、私自身も経験していません。

ただ知らなくて、損をしてしまったケースはありますね。

例えば、購入した物件がシロアリでボロボロだったことがあとから判明した場合、契約不適合責任が適用され、不適合に気づいてから1年以内に通知をすれば、修繕費用は物件の売主に請求ができます。

しかしそのことを知らず、物件の買主が修繕費用を全額負担して、リフォームしてしまったという話を聞いたことがあります。

業者の中には知識のないことをいいことに黙っているケースもあり、知識を身につける必要があると思います。

参考:シロアリ被害に遭った家の不動産売買は契約不適合責任に要注意!|小田急不動産仲介サイト

ーーそういった不動産の知識を効率よく身につけるために、おすすめの勉強はありますか。

ファイナンシャルプランナー3級の勉強をすることです。

この資格は一般的に約五十時間の勉強で取得できると言われており、一日一時間勉強すれば二ヶ月ぐらいで取得できるでしょう。

不動産の資格ではありませんが、一部は不動産のことも扱っており、投資に関する基礎も身につけられるため、入門編として有益な資格です。

私も先輩大家から教えていただき、 取得しました。

ーー先ほどの契約不適合責任などの知識はどのように学んだらいいのでしょうか。

本格的な知識を学びたいのであれば、宅地建物取引士という不動産の資格を勉強するのが良いと思いますが、こちらの資格は内容も難しく、法律の知識も扱うため初心者にとってはハードルが高いかもしれません。

おすすめは、収益不動産の専門サイト「楽待」や「健美家」で掲載されているコラムを読むことです。

コラム記事には不動産投資家の体験談が多く載せられているため、それを読むだけでもある程度の情報は手に入ると思います。

他にも、不動産投資に関するYouTubeが多くあるため、動画を見て勉強していくのも良いと思いますね。

不動産投資は楽ではなく手間暇がかかるので覚悟して始めて欲しい

ーー今後、不動産投資を始めてみたいと考えている方に向けて、気をつけた方がよいことを教えてください。

不動産投資は意外と手間暇がかかります。

家賃収入で楽して儲けられるという発想で参入してくる人も一定数いますが、相場を調べるためには毎日ネットで検索したり、土日のどちらかを丸々潰して遠方に物件を見に行ったりと、きちんと働かなければ成功できません。

そのため、覚悟して参入してくださいと伝えたいですね。

ーーそういった苦労をある程度楽しめる人でないと難しいですね。

私自身は全然苦に感じていないので、確かに楽しめる方でないと難しいと思いますね。

私自身は価格の歪みを見つけたり、割安物件を見つけたり、売主に「300万円値引きしてくれたら買います」とダメ元で伝えたらそれが通ったり、そういう部分に面白さを感じています。

失敗することもありますが、思わぬ成功に出会えるのは不動産投資の魅力です。

ーー最後に読者へのメッセージをお願いします。

不動産投資は未経験の方が想像されているより、実際は大変です。

不労所得の印象が強いですが実際は買うまでの調査である程度働きますし、働かなければ良い物件に出会えず、失敗する確率が上がります。

ただ、その苦労の先に思わぬ利益が舞い込んできたり、発見があったり、大成功するときもあります。

そういう瞬間は、投資の面白さにドーパミンが出ます。

儲かる以上の価値を感じるため、その感覚を味わいたい方や私のように価格の歪みやバリュー物件を見つけたいと思っている方は、ぜひ参入してみてください。

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