見出し画像

「年収200万円で含み益が1億円あれば海外移住の発想は自然」ビットコインマイナー弁護士・小峰氏 / Cygnos・三原氏 3/4

投資家、富裕層向けに海外移住、海外法人設立のサービスを提供するOWL Investmentsの小峰氏とCygnosの三原氏に、移住のフローや海外の住宅事情などについてお話を伺いました。

お二人はCygnos主催、講師を小峰氏で「クリプト移住セミナー」を実施している経緯があり、今回一緒にお話を伺いました。

インタビュイー プロフィール

小峰 孝史氏

米系法律事務所Sidley Austinの東京オフィス・香港オフィスに勤務、TMI総合法律事務所所属時に香港駐在。2018年より現職。主として日本の富裕層向けに香港やその他の海外の税制上のメリットを生かす投資スキーム作り・移住をサポートしている。
Twitter:https://twitter.com/tkomine921 会社:https://owl-investments.com/

三原 弘之氏

2014年、ビットバンク株式会社へ社員第一号として参画し、執行役員COOとして国内最大級の仮想通貨取引所へ成長させる。現在は海外クリプトヘッジファンドの戦略へ分散投資する日本初のファンド、Cygnos Crypto Fund を運営。Twitter:https://twitter.com/h3hara Cygnos:https://fund.cygn.com/ https://oversea.cygn.com/

────────────────────

Burry Market Researchの公式LINEでは、ここでしか見れない「資産/収支管理シート」や「インタビューの録画」を公開しています。ぜひご登録ください。

公式LINE登録はこちら

────────────────────

移住までのフロー

ーー小峰さんがサポートする場合の移住のフローについて教えてください。

小峰:まず最初に、家族、資産、職業をお聞きします。

移住先についてご希望があれば、資産額や収入状況から現実的に移住が可能かどうかお話し、ご希望がなければ、タイをおすすめすることが多いです。

移住先が決まりましたら、次はビザの申請です。

タイランドエリートであればお金で買えるので、書類を作成し申請して、弊社であれば1ヶ月ほどで取得できるでしょう。

そのほか、仕事を辞める、事業をたたむ、事業を売却するなど、お客様ごとのご相談に乗ることもあります。お子様の移住先での入学候補の学校の見学、願書のお手続き、面接のアレンジなどもサポートしています。

そのほか、銀行口座やクレジットカードなど、細かい対応がありますが、移住のサポートはおおよそはこういったフローになっています。

海外への移住は早くて1ヶ月で可能

ーービザの申請手続きから移住までは大体どれぐらいの期間が必要でしょうか。

小峰:独身で仕事もないです、という人であれば1ヶ月でできます。

自分で持っている事業やご家族のお仕事、お子様の学校の対応などがあると1ヶ月以上かかります。

ーー日本で法人を作って暗号資産の取引をしている人の場合は、いまご説明いただいたフローの中で、会社を閉じるフローをひとつ挟む程度のフローになるのでしょうか。

小峰:その場合は、移住のフローの話以前に、そもそも会社を閉じるのがマストかどうか考える必要があります。

三原:日本に法人を残すメリットよりもデメリットが大きいので、海外法人に拠点を移した方がいいのではないでしょうか。

移住後も日本法人でトレードを継続する場合、非居住者認定がされなくなる可能性が高く、それであれば海外の法人を使うのがいいのでは。

小峰:会社を閉じて移住する場合に、その会社を閉じたときに含み益が生じていれば、個人としての利益確定になってしまいます。そういった事情もあり、ズバリの回答はこの場ではできないですね。

三原:なるほど。

小峰:そういったことも踏まえて、海外に移住してから日本の会社を閉じる、という可能性も出てくると思います。しかしそのあたりは実際よくわからないところがありますね。

日本法人でトレードされている方は、おそらく日本で担当の税理士さんがいらっしゃると思います。なので私がもしサポートするのであれば、どういう順序で会社を閉めるかその税理士さんと相談しながら進めると思います。

年収200万円で含み益が1億円あれば海外移住の発想は自然

ーー移住するにあたって困ることやつまずくところなどはありますでしょうか。

小峰:2018年は移住を決めた時点から暗号資産の価格が下落し、結果的に移住に踏み切れなくなった方がいらっしゃいました。

例えばカルダノに投資していたお客様もいらっしゃいましたが、カルダノは2018年に大きく下がりました。相談時に持っていた数億円の資産が半分以下になって移住する勇気がなくなった、そういったケースもありましたね。

ーー相談数は相場と連動するのでしょうか。

小峰:そうですね、相場が良くなると移住の相談は増えます。

それこそカルダノのICOで資産を築いた人の中には、本業の収入が年収200万という人もいたんですね。

年収200万円で1億円分のカルダノを持っています、日本国内で利益確定したら約5,000万円の課税です、という人であれば、会社を辞めて移住したいと考えるのは自然な発想ですよね。

納税の5,000万円はその人にとってみれば25年分の年収ですから。

そういった方もいらっしゃるので、一定、相談数は相場と連動しますね。

タイ、シンガポール、香港の住宅事情

ーー移住先の住宅事情について教えてください。

小峰:まず香港はものすごく悪いです。例えば、日本人が多く住んでるエリアで、日本人もよく住んでるコンドミニアムだと50平米で家賃40万円以上です。最近は一時期に比べれば少し価格が下がっているのですが、それでもこの価格帯です。

100平米を超えるコンドミニアムは新築でなくても150万円以上で高額過ぎますし、物件自体もなかなか空きがないですね。日本人が多く住んでるエリアは新築の物件も少なく、築10年以上が基本です。

なので、香港は物価が高すぎておすすめしません。

ーーベースの価格が高く、物件も少ないのですね。

小峰:例えば、香港への出張や旅行でよくみなさん訪れるのは、セントラル、チムサーチョイ、コーズウェイベイ付近です。

金融の中心はセントラル、観光で来る人はチムサーチョイ、コーズウェイベイあたりになります。

日本人が多いのは、ホンハムやウォンポウ、タイクー、サイワンホーで、このあたりの家賃は50平米で22,000香港ドル(約37万円)くらいの水準です。

※1香港ドル = 16.92円 で計算 (2023年3月16日時点のレート)

50平米未満でこのような価格帯なので、家族で住むとものすごく高いです。

それに対して、バンコクの日本人エリアはプロンポン、トンロー、エカマイ、プラカノン、オンヌットあたりなんですが、大体100平米を超えても50万円せずに物件が見つかります。物件もタイの方が新しいものが多いです。

三原:シンガポールは物件がないですし、最近のニュースでは、シンガポールが香港の住宅価格を一部抜いたと報じられていました。なのでいまかなり高くなっています。

例えば、シンガポールで人気のマリーナ地区であれば、1ベッド55㎡で約S$4,500 (490,000円、
2ベッド82㎡で約S$ 5,700 (580,000円)くらいです。


物件写真の画像引用元:シンガポールの居住物件情報 ~タイプ別(単身・カップル・家族、ハイクラス・ミドルクラス)~クリプト移住・海外法人設立 by Cygnos

小峰:そういった点からいってバンコクは、物価が比較的手頃、かつ築浅で、リビングやベッドルームもきれいで、スイミングプールやジムも全部一通り付いています。
なので暗号資産の投資家の移住にはちょうどいいんじゃないかなと考えています。

子供も海外居住が長すぎると日本語や日本的なビジネスがわからなくなってしまう

ーー2022年から日本に帰国しているのはどういった理由でしょうか。
小峰:私が香港で働いていた関係で、子供は海外で生まれ育っていたので、日本の教育に戻すなら中学受験が一つの区切りと考えた、というのが背景です。
最初は、中学卒業まで香港でと考えていましたが、香港が政治的にもかなり危なくなってきたため、3年早めたという事情があります。
海外にずっと住んでいると日本語が危うくなり、大人になってから日本人の社会人としてビジネスをやっていくことが難しくなるという問題があります。
例えば海外生まれ、海外育ちの日本人で日本的なビジネスがわからなすぎて、難しい人が時々いるんですね。

ーーどういうことでしょうか。

小峰:日本語は喋れるけれども文章は上手く書けない。かといって、アメリカ系、イギリス系の企業でバリバリやるほどの英語力、ビジネス力もない。
そうすると、結局は日系企業の海外支社で仕事してます、となってしまう人が結構いるわけです。

であれば、どこかのタイミングで日本でまとまった期間勉強することも重要と考え、最終的には中学高校の6年間がバランスが一番いいと思いました。
税金だけ考えれば香港にいたまま、あるいはシンガポールなどがベターです。なので完全に子供の教育目的で帰国したというのが大きいです。

ーー日本語はご家庭で喋ってたから喋れるということでしょうか。

小峰:そうです。ただ、家庭で喋ってるだけでは日本語がうまくならないんです。家庭で喋る日本語と学校などの授業で喋る日本語、友達同士で喋る日本語は違うんですね。

そういうのも含めて、日本語の勉強は、手当てしないと難しいなと私は考えています。

政治的な異変により流出が目立つ香港

ーー香港の政治が危なくなってきたという部分を詳しく教えてください。

小峰:香港では2019年からデモ隊と警察の衝突があり、2020年に国家安全法ができたということもあって、欧米系の人、見た目が香港人ぽい人で海外のパスポートを持っている人、イギリスのパスポートやオーストラリアのパスポートを持っている人は本国に戻る人が増えました。
私の知人のプライベートバンカーで香港からシンガポールに移った人もいます。

なので、なんとなくそういう雰囲気を私自身も感じたというのがあり、ビジネスの観点からいっても、香港に居続けるメリットが弱くなりました。
税金面だけ考えるのであれば、香港を撤退してシンガポールで仕事をするというのは選択肢としてあったと思います。

ーーーーー
インタビューの4記事目では、海外、国内のインターナショナルスクール事情についてお話を伺います。

────────────────────
Burry Market Researchの公式LINEでは、ここでしか見れない「資産/収支管理シート」や「インタビューの録画」を公開しています。ぜひご登録ください。
公式LINE登録はこちら
────────────────────

前のインタビューはこちら。