【山をめぐる冒険】 Wi-Fi環境でお読みください
クリオネ語録
7月のある日、午前8時25分。それは完全な朝だった。もちろん朝に目を覚まして熱いコーヒーを淹れる人もいれば夜勤明けの重い目を擦りながらビールの缶を開ける人もいる。でもこの日の朝はそのどれよりも完全な朝であったと言える。
窓のそばのカーテンは涼しげにどこに出しても恥ずかしくない朝陽とともにあったし、外の道は乾いた砂埃の舞う前の穏やかさだった。
わたしはしばらく滞在していた実家の小さな花壇に日曜日に咲いた小さな花をみつけ、弱い水勢で、まだ何色にも染まっていな