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#5 映画感想文「ヒミズ」

おはこんばんちは。この頃文章を書くことが楽しくて仕方がないbutchiです。この前、イトーヨーカドーで豚肩ロースの塊肉を買ってローストポークにしました。クラシルでレシピ探してその通り作ったんですけど、レシピには味が濃いのでソースは作りませんと書いてありました。が、めちゃめちゃ味が薄かったんです。マジかよと思い、塩をかけました。ドバッと出ました。はぁ。
そう言えば、ゴータマ=ブッダという人が歴史上いましたが、その人の死因が豚肉を食べたことによるものなんですよね。チュンダという弟子が、ゴータマ=ブッダに差し出した豚肉料理、スーカラ・マッダヴァという料理を食べたところ食中毒により入滅するという逸話があります。(諸説あり)


だからなんだと思いますが死んでなくてよかったです。

聖人の最期って意外と人間らしくていいですよね。人間臭い話って割とありますし。今度、ナーガールジュナという大乗仏教の偉い人の出家譚についてお話ししようかと思います。
豚の話が出たので脱線しまくりますが、生き物の生態って結構面白いですよね。豚は、嗅覚が鋭くてトリュフを探すのに役立ったりするじゃないですか。マンボウは太陽光で死んだり、ちょっとぶつかるとその衝撃で死んだりする貧弱な生物ですし。面白かった動物といえばヒミズというもぐらですかね。日中は落ち葉の下の土を掘ってミミズとか食べてるんですが、夜になると這い出してくるという生き物で、漢字で書くと「日不見」で、日を見ないという名前です。絶対に成功しない人生みたいな名前ですよね。なんという数奇・・・。


ということで、今回は2011年公開、園子温監督の「ヒミズ」について喋ろうかと思います。


主演は染谷将太、二階堂ふみで、園組常連の神楽坂恵や渡辺哲、吹越満に黒沢あすかなどのメンバーで構成され、演技力が尋常じゃなかったです。しかも、この作品はヴェネチア国際映画祭に出品され、染谷翔太と二階堂ふみはマルチェロマストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞しました。さすがの演技力でした・・・。

古谷実の漫画原作で、原作とはオチが真逆なんですが個人的には映画版のオチが最高でした。なぜなら、映画の企画中に東日本大震災があったからです。あの震災によって脚本が書き換えられたという話があったそうです。見てみれば一目瞭然なんですが、震災で全てを失ったキャラクターが出るんです。そのキャラが美しい。坂口安吾『堕落論』にて、以前もお話ししたと思うんですが、「偉大なる破壊」の直後の人間の行動に美を感じるという文章がありましたが、まさにその通りで「義士も聖女も堕落する云々」というまさにその流れです。
園監督が「映画人として震災を描かずにはいられなかった」という話があって、社会問題無くして映画は作れないと言っているようで感服でした。かっこよすぎる。日本映画界にビンタしてる感じしますよね。

この映画、問題としているテーマが多くてめまいがしてきます。震災のこと、ネグレクト、親殺し、未成年者の犯罪、スキゾフレニア。目をそらしたくなる描写ばかりなんですが、一つだけ光が見えるんです。それは、二階堂ふみが演じる茶沢さん。可愛い。てか、二階堂ふみ可愛い。ゴータマ=ブッダにとってのスジャータであり、キリストにとってのマグダラのマリア。主人公の住田にとっての茶沢さん。暗黒世界の一筋の光。深海に差し込む太陽光。人生のうち、こんな出会いが一度あれば生きていけます。

園監督は、作品のうちに詩を使うことが多いです。「ヒミズ」ではヴィヨン。

「牛乳の中にいる蝿、その白黒はよくわかる。
どんな人かは、着ているものでわかる。
天気がいいか悪いかもわかる。
リンゴの木をみればどんなリンゴだかわかる。
樹脂をみれば木がわかる。
皆が皆同じであればよくわかる。
働き者か怠け者かもわかる。
なんだってわかる。自分のこと以外なら。」

住田は普通の人生を送ろうとした。夢とか目標とか、そんなものより普通になりたい。
普通って何?ネグレクトを受けるのは普通?親を殺すことは普通?学校に行かなくなることは?
それ自体はよくわかる。自分のことじゃなければ。
震災でたくさんのものを失ったことは普通?普通なわけないじゃないか。じゃあ当人にとってみれば普通?
自分が普通じゃないって思うことはおこがましい。普通だと思いたい。自分が不遇な人生を送っているだなんて思うことは恥ずかしいだろう。

そんなことを伝えたいのかなと。考えました。

若者よ、立ち上がれ。戦う時が、今、来たのだ。


それでは!

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