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コウモリを拾った日

あなたにとって、コウモリは益獣? 害獣?

10年ほど前、勤務先でコウモリを拾った。草刈り機で下草刈りをした後、熊手でざっと草の処理をしていた時に、ふとうごめく生き物に気がついた。それがコウモリだった。最初は、草刈り機で身体を傷つけてしまったネズミかと思って「申し訳ない〜」と思ったが、よく見ると皮膜の欠損したコウモリだった。

野生動物なので一応軍手必須

気の毒に思い、家に連れ帰り虫かごに保護。タイミング悪く祝日連休の続く日程だったため、頼れる場所がなく自力で世話をした。

たまたま、自宅で小型フクロウと生活していたため、ストックの冷凍マウスと冷凍コオロギが常備してあったので、コオロギをピンセットでやる。素直に食したので一安心。フクロウは、コオロギやネズミを丸呑みで飲み込んでくれるが、コウモリは、ムシャムシャとちょっとずつ齧るので結構グロいことを知る。

祝日連休が明けたのち、野生の傷病鳥獣対応が可能な動物病院に持ち込んだが、獣医師もレアケースなため終始困惑。診断としては、片側皮膜の壊死による欠損。血液が通っておらず、干からびている状態らしい。正直どうしようもない状態らしく、再度野生に戻すこともできないので、このまま保護してくれないかと言われ、仕方なく自宅に連れ帰り引き続き世話を続けた。

元気にコオロギを食し生活すること一週間程度。片側しか残っていない皮膜で飛ぼうとするがそれもままならず。壊死していると思われる方の皮膜を口でちぎろうとする姿に胸が痛む。

なんの因果かコウモリ保護から遡ること数年前に、山奥にある「東洋蝙蝠研究所」という謎の怪しげな施設をツーリングがてら通りかかって、立ち寄ったことがあった。山奥に突然現れる謎の施設で怪しかったが、実際立ち寄ると、職員のかたが丁寧に説明してくださり、予想外に楽しめた。「本研究所は、哺乳動物の研究の中で最も遅れているコウモリ類の調査研究の推進を図ると共に、その成果を一般の人たちと共有し、コウモリについての誤った知識を払拭し、コウモリと人がより良い関係で共生できるように、また、人々が享受できる豊かな自然環境が持続されるよう保全を図り、もって不特定かつ多くの人々に対する利益の増進に寄与する事を目的としています。(HP引用)」夜の生き物観察会というフィールドワークなども開催しているようで、ネーミングでちょっと怪しいと思ってしまったことを申し訳なく思うような施設だった。フィールドワークに出ておりしばらく職員不在だったが、ようやく電話がつながったので、保護したコウモリを持ち込んで適切に保護をしてもらえないかとお願いしたところ、快諾いただき、無事プロの手にバトンタッチすることができた。

山奥に突然現れる謎の施設

たった一週間程度のコウモリとの共同生活だったが、そのおかげで今まで調べなかったことを調べて、初めて知るきっかけになった。夕暮れ時になると、なんか田んぼの方でたくさんヒラヒラしているやつ というだけの印象が大きく変わった。

コウモリは「唯一空を自由を飛べる哺乳類」というとても魅力的な肩書きがある。さらには、蚊 ウンカ 甲虫 ゴキブリなどを大量に捕食する夜の掃除屋さんでもある。

あなたにとってコウモリはどんなイメージ?

ちなみに、今回私が記しているのは、日本で一番身近なコウモリであるアブラコウモリについてです。


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