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 分析・真琴を通して見えた女子プロレスの進化

【2021年11月5日のプロレス格闘技DXに書いた記事に加筆修正し、ここに再録してしまう。9/26 YMZ新木場大会でのvs真琴まで1週間と迫ったきょう「そういえばマコちゃんの試合を観て、過去と比較し成長度合いを分析した記事があったな……」と、先ほど目を通してみたらこれがむちゃくちゃ面白いというか、男のプロレスラーが女子プロレスを観てここまで分析し言語化したものなんてこの世にないのでは?と驚いてしまうほど色々なことを書いていたのだ。これを埋もれたままにしてくのはもったいなさ過ぎると、手前みそに判断した次第】

久しぶりに女子プロレスを生で観た。愛弟子・真琴のデビュー15周年記念興行(※2021年11月1日・後楽園ホール)。自分の試合を終え、その後の全試合を会場の片隅で観戦したのだ。

オレはこれまで、女子プロレスと非常に関わりの深いプロレス人生を送ってきている。そもそもデビューしたIWAジャパンは男女混合団体だったし、初期の大日本には一時期女子部が存在した。その後渡ったメキシコでも興行の中で女子の試合がおこなわれるのは当たり前。ECWやWWEといったアメリカの団体は普通に男女混合だし、帰国後所属したハッスルは性別無関係のムチャクチャな団体。その後立ちあげたSMASHやWNCでは女子がメインを飾ることも珍しくなく、さらにWNC時代はREINA女子プロレスのプロデューサーも兼任していた。その後、WRESTLE-1に移籍し女子プロレスとの縁が切れ、いまの全日本プロレスでは男子校のように硬派なプロレス人生を送っている。

なので、おそらくWNC以降ぶりなのだ。まともに女子プロレスを目にしたのは。それでもときどき参戦するインディー興行で女子の試合をチラリと観たこともあるはずだし、実はスターダムでの朱里ちゃんの試合は映像で何度か見た。しかし、プロレスはナマモノなので映像で観ただけでは実際の深層部分までは絶対に伝わらない。そこで、久しぶりに生で真剣に観てみた女子プロレス。凄まじい衝撃を受けてしまった。

衝撃を受けてしまったのは真琴興行のメインイベント。真琴&米山香織&春日萌花&朱崇花vs野崎渚&松本浩代&中島安里紗&中森華子。

真琴は愛弟子。野崎渚はSMASH&WNCの主要登場人物だった。米山選手と中島選手はそれぞれSMASH&WNCに何度か参戦していただいたことがあり、中森選手はREINA女子プロレスにレギュラーのように参戦してもらっていた。なのでオレは無意識に、当時の彼女たちと比較する見方をしていたはず。それだけに、かつてとの違いが良く分かった。ここでは特に、やはり最も中心に見てしまっていた真琴(以下、マコちゃん)を中心に書いていくが、その前に……

当時と比較して女子プロ自体の最も大きく変化したと感じた部分が、打撃の的確さ&破壊力である。当時の女子プロにおいて、打撃技は非常に『汚かった』。汚いというのはどういうことかというと、品格がなかったのである。メインクラスでも、蹴りやエルボーをケンカのようなフォームでしか用いれない選手ばかりだと常々感じていた。そのため愛弟子の朱里ちゃんには

「女子プロでほぼ唯一本物の蹴りを使えるんだから、それを宝物のように大切に使わなくてはならない。ストンピングも不用意に出して他の選手の足技と同化しないこと」

と常に助言していた。

マコちゃんは試合で動き始めると実寸以上のダイナミックさが生まれてくるタイプなのだが、そのことに本人はなかなか気が付けないでいた。特に1発でフィニッシュに成りえる可能性を秘めていた技が胸元への前蹴り。しかしムダ撃ちが目立っていたし、そのフォームにはケンカ臭が強く、プロの技としてはやや完成度が低いとオレは感じていた。

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