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123 出張授業しました 〜他学年へ〜

ヨソの学年に授業をしに行くこと

中学校教諭時代から、通年で他学年の授業を経験したことがありません。いわゆる「わたり」をしたことがない。考えようによっては幸せなことで、自分の学年だけやっておけばいいのだから、中学なら準備は一つで済みます。

高校では科目数が多いので、一つの準備で回ることがほぼありません。しかもコマ数も多いので、論理国語やって古典探究をやって、また論国とか、行ったり来たりではじめのうちはこれに慣れるまでたいへんでした。

1年生の教室へ

今日は1つ下の学年(1年生)のグローバルコースの授業。同じ学校でも〈出張〉です。教室は去年、ウチのクラスの子たちが使っていた同じ教室です。

僕は国語ですが今は同じコースの一つ上の子たちの担任をしています。グローバルといったら英語のイメージがありますが、ウチは違います。ちなみに、一つ下の学年のこのクラスの担任の先生も英語じゃありません。

なぜ出張?


さて、なぜ出張したかというと、1年生たちが来年度にディベートに通年で取り組む科目があります。その際、英語でやるのですが、そもそも日本語のディベートを経験したことがない生徒がいます。去年、試みにウチのクラスの子たちに聞いてみたらやはり経験がないという子がいて、そりゃいかんということで日本語のディベートの授業をしました。今回も同様に、僕がその授業をやりに行ったということです。

小中の教科書では単元の合間にディスカッションやディベートの実践が載っています。じっくりやれるといいものの、実際はなかなか本腰入れて取り組めないものです。僕はディベートを積極的に取り入れ、社会科と合科で実施したこともありました。社会科のテーマでディベートを行うということです。

ディベート

話を戻します。今回は言ってみればディベート体験で、しかも一発モノの授業なので、マイクロ・ディベートを実施しました。

メソッドとしては堀裕嗣先生のこの本を参考にしています。

加えて、池田修先生のこれも大いに参考にしています。

手をあげてもらって確認すると、やはりディベートをやってことがないという生徒がいました。英語の前に日本語で。来た意味がありました。

大人でもディスカッションをディベートの違いをわかっていないことがあります。突き詰めてそんな細かい点まで求めていません。単に、ディスカッションもディベートも「話し合いを英語で言ったもの。ちょっとニュアンスが違うだけ」くらいの認識でいることも。違いますよね。

実践(実戦)

1回戦は「おにぎりの具のツナマヨは邪道だ」でやりました。

盛り上がりました(笑)

健康面、古き良き日本の伝統、手にとりやすさなど、様々な視点が出たように思います。でも、正直なところ、話の中身は重要ではありません。ここで大切にしたかったことは「フレームを捉えること」です。肯定、否定、審判がどのような動きをすればいいかを実感してほしいということです。

細かいルールを確認しながら、丁寧に進めました。よく聴いてくれていました。

2回戦は「自転車に運転免許を導入すべきだ」でした。先ほどみたいな丁寧な説明は省き、どんどん進行しました。要領を得ているのでスムースに進みます。

2回めはスピーディーに論をまとめるのが狙いです。加えて、視点の多角化。出来事に事実はありません。あるのは解釈だけ。立場や味方が違えば全ては違うものに見えてくるものです。

最後はちょっとシリアスなタッチで

1、2回戦まとめて振り返りました。論を強化するにはデータが重要です。いま流行りのエビデンスです。1分の持ち時間でも時間を持て余す生徒が散見します。話したいけど材料がない。今回は即興の授業なので準備がないのは当然です。でも、それでも日常の一場面であるものを、特化して論じることがやはりできないのです。

データに振り回されてもダメ。本当に強いのは体験に裏付けされた論です。やり方は盗めても、その人の人生の体験は盗めません。瀧本先生の本からの引用です。

はじめは嬉々として取り組み、終盤のまとめはとてもよく聴いてくれていたように思います。少し時間を余らせる予定でしたが、みんなの様子を見て広げたほうがいいところをピックアップして話すと、良い時間になりました。

君たちは4月からこれを英語でするんですよ。日本語でももどかしかったのに、英語じゃもっとそうなるよ。オーストラリアに行ってきた君たちの先輩は「文法も大事やけど、単語。そして何より伝えたいという気持ちが一番大切」と帰ってから言ってました。これから取り組んでいく中で、ぜひ言葉を磨いてください。

横におられた担任の先生もとても満足してくださいました。他学年の子たちはほぼ面識はありません。向こうも「違う学年の先生や」くらいの認識です。せっかくだから、気が向いたら声をかけてね、と言って、我がクラスに帰りました。飛び込み授業、おもしろいですね。たまにはいいかな。

クラスの子たちへ

最近、こういう「伝えたい」と思うことをクラスで話せていません。どこかで時期を見て、愛すべきクラスの子たちに思っていることを話そうと思います。

付き合いが長くなるとこういうのが雑になるんですよね。そういうものですよね。だからこそわざとらしく、話してみたいと思います。

スギモト