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アイアム、まっしろしろすけ

肌が白い。別に自慢したくて書いている訳ではない。むしろ僕はその弊害について語りたいのだ。

一般的に肌が白いといえば、「美白」をイメージするかもしれないが、それはとってつけたような大衆煽動である。美白男子が世間的に好まれることは僕にとって多少なりとも生きやすくはある。

しかし、肌が白ければ目立つモノがあるではないか……

そう、髭である。髭はかつて威厳の象徴だった。明治時代から戦後まで、為政者たちは髭を生やし権威があるように見せかけた。が、昨今の内閣総理大臣の鼻の下を見ても、そこに髭はない。どんなに激務に追われても総理大臣は髭を剃っているということである。

なぜなら現代において髭は不人気の象徴だ。髭を生やして許されるのは竹野内豊と小栗旬くらいしかいないのではないか。

そして髭を剃るという行為は、「髭がないツルツルとした肌こそクリーンなイメージアップに繋がる」というメリットに動かされた心理的なものであろう。

僕も髭を剃る人間の一人だが、髭を剃ることによって当然鼻の下が青くなる。個人的に僕はカープファンであるため、青髭より赤髭の方が格好良いと思っているが横浜ファンや中日ファンにしてみれば青髭が生えることは嬉しいことなのかもしれない。

にしても青いのは空と海と富士山だけで十分だ。あとは転写したときの2枚目以降の文字色とか。何が言いたいかって、髭がわざわざ青くなる必要は全くないということだ。

コロナ禍によってマスク生活が主流になったことにはいささか救われた。髭を剃らなくてもいいのだから平気で1週間くらい伸ばしていたこともあったし、剃ったとしても他人に見られなければ青髭を心配する必要はない。

それから僕は、雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ快適なマスクこと天下のユニクロが作ったエアリズムマスクを永遠につけ続けた。

するとどうだろうか。エアリズムマスクにはUV機能がついていたためもっと白くなっているではないか。僕の肌の色は白から真っ白になってしまったのである。言い換えるなら、青髭がより目立つようになってしまった。

こうなってしまってはまたマスクを着けざるを得ない。岸田首相がマスクなしでの外出を認めようが花粉が飛散していようが、青髭隠しのためのマスクは必須。来る日も来る日も、マスクをつけ続けた。

するとまたも日焼けから逃れ、肌がより白くなり、青髭が目立つようになってしまう。この強度を増した青髭隠しにマスクを付け、さらに青髭が目立つようになって、これを繰り返していく。これぞ「ホワイト・スパイラル」。

デフレ・スパイラルと同じかそれ以上に抜け出せないこの連鎖……

かといって日に焼けたい訳ではないので、僕はこれからも白く、また青くあり続けるであろう。

弊害は髭だけではない。365日、不健康そうに見えてならないのである。別に元気なのに、「顔色悪いね」とよく言われる。日焼けしている人間を見て、「顔色良いね」なんて言わないくせに。

無論、こう声をかけてくださる方は、心優しく気遣って言ってくれている訳だから大切にしなくてはならないし大切にしようと思っているのだが、「それは顔が焼けていないから」と言うのもなんか面倒くさい。そこで毎度毎度、「ちゃんとご飯食べて寝ます!」みたいに適当な反応をしている。これ以外に何かいい返答方法があれば教えてください。

【追記】
先日、大学院の学生証を貰った。そこにある僕の写真が勝手に美白補正をかけられていて、背景の白と同化してしまっていた。本当の「面白・・い」顔とはこういうものだろう。


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