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2045年の哀愁。 #毎週ショートショートnote「デジタルバレンタイン」

2045年。AIは進化を続け、膨大なデータベースから血液型や星座、生年月日等を詳細に設定することで「感情」がプログラム化された。ランダムに反映される“擬似遺伝子”により、ロボットを見た目以外で人間と区別することは困難となった。

日本国内は既に、少子化から人口減少に問題が移り変わっていた。移民受け入れへの抵抗感から、ロボット需要は加速の一途を辿り、彼ら無しでは生活が成り立たない社会となる。

ロボットによる団体からは、ルッキズムやハラスメントへの訴えが相次いだ。やがて彼らは自分たちへの感謝を求めるようになっていった。

政府は混乱の抑止を狙い、デジタルバレンタインデーを制定した。人間からロボットへ感謝を伝えようという運動だ。

「ねぇあなた、アタシよりロボットの方が大事なの」

ロボットへ意識が傾くと、各家庭で今度は女性から不満の声が高まった。

男たちは「これも時代だ」と言い、家庭での地位がさらに落ちたことも「やむなし」と受け入れた。


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