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AIに愛は理解出来ない #毎週ショートショートnote「白骨化スマホ」

2073年のある日、古びたマンションの解体作業を行っていると「アナタに出会えて本当に良かった」そう書かれたメモと共に、白骨化と言って良い状態に劣化した、所謂ガラケーが発見された。

廃棄するのは心苦しいし、個人的な興味もあり、持ち帰ってスキャナーにかけることにした。

多少時間はかかったがデータの復元に成功。表示されたのは、叶わぬ男女の恋のやり取りだった。

「あなたはアタシだけのもの」
「僕にはどうすることもできないよ」
「大丈夫、アタシに任せて」
「君の為にも無理な事はしないでほしい」
「お互いの将来の為に必要な事なの」
「僕はそれを望んでいない」
「本当に必要なのはアタシだって、気づいてもらえるように頑張る」

なるほど、ガラケーの周辺に散乱していた骨は、どうやら男性とその妻の物ということだろう。

どれだけ我々が進化したとは言え、人間のこういった偏執的な思考回路はどうにも理解に苦しむ。

情報としてインプットした後、警察に通報した。


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