マガジンのカバー画像

マン管、管理業務主任者、宅建士の試験のための不動産登記法

23
マン管、管理業務主任者、宅建士の試験に必要な不動産登記法をまとめました。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

登-05 マン管、管理業務主任者、宅建士の試験のための不動産登記法

不動産登記法は馴染みがないため、不動産資格試験では理解が難しい分野です。 私も登記は勉強しました。 賃貸マンションの建設、分譲マンションの敷地問題など仕事上、必要なことでなぜか、測量士補の資格まで取得してしまいました。 特に分譲マンションの登記は戸建てとは異なる記載構成になるため理解するには時間が必要です。 それに過去問を解くだけでは登記法の本来取得すべき知識はなかなか身に付きません。 このマガジンでは、登記法の基本的な知識を身につけること、その上で試験の設問に特化した知

登22-規約共用部分の登記を理解する

区分所有法に定められている規約共用部分です。 皆さんも規約共用部分は知っていますよね。 しかし、規約共用部分の登記を調べても規約共用部分が登記されている例をあまり見かけることはありません。 規約共用部分の登記は登記簿ではどのように表示されているのでしょうか。 今回は次のような例について規約共用部分の登記を行う場合について説明します。 平面図で示すと次のようになります。 施行主である(株)せっかめ建築は分譲前に管理人室と駐車場を規約共用部分として登記登録をします。 1

登22-令和2年度、過去問(登記法)

問題文は長いですが抵当権設定の基本を問う問題です。 設問1の解説この問題のポイントは「従物」とは何かを知っているかどうかです。 民法では主物(マンション専有部分)に附属せしめられた物のことを「従物」という(民法第87条第1項)。 取り付けられたエアコン、造棚、トイレ、バス、キッチンは従物である。 判例に現れた従物の例としては、建物に対する畳・建具、宅地に対する石灯籠・取り外し可能な庭石などがあります。 これを知っていれば、抵当権は従物にも権利はおよぶため、当然に抵当権の

登21-平成30年度、過去問(登記法)

それでは各設問を解説します。 設問1の解説区分所有物件の登記は解説済みです。 忘れてませんか? 区分所有物件の一棟の建物表題部には各部屋と敷地権の目的を記した表題部がセットで記載されます。 と言う訳でこの設問は✖です。 設問2の解説共用部分に法定共用部分と規約共用部分があり、法定共用部分は建築物として当然に存在する構造体です。 これを登記登録することはありません。 と言う訳でこの設問は〇です。 設問3の解説規約共用部分は原始規約で定めることも出来ますが、管理組合が

登-20 区分所有物件の登記表を覚える(3)

2回にわたって登記表の見方を説明しました。 今回のテーマは権利部(甲)と(乙)です。 復習 分譲マンションの一棟の建物表題部の登記はデベロッパーが行うことは理解しましたね。 この時、土地の権利に関する表題部も同時に登記されます。 この登記が終わると建物表題部に登録された専有部分の表題部と敷地権の表題部が登記官によって作成されます。 これまでが前回までの説明内容です。 専有部分と一体化している権利部 権利部(甲区)と権利部(乙区)は専有部分の表題部の下に記載されているこ

登-19 区分所有物件の登記表を覚える(2)

登-18では、マンションの躯体の表題部の登記項目について説明しました。 今回は、専有部分の登記項目について説明します。 登記と建物建設の時系列関係皆さんが登記が苦手な理由として分譲マンションが完成するまでの登記の流れを理解していないことが理由にひとつにあります。 建物の建設と登記の時系列(建築確認も加えます) 1、土地の取得(土地の登記の所有権移転登録) 2、建築確認申請、許可 3、躯体の建設開始 4、原始規約の公正証書 5、建物の屋根の完成(建物の表題部登録) 6、各

登-18 区分所有物件の登記表を覚える(1)

マンション、所謂、区分所物権の登記表は戸建てと異なり独特の構成です。 宅建士を目指す人はもちろんですが、管理業務主任者、マンション管理士は管理費等の滞納が発生した時に見る機会があります。 是非、マンションの登記表を覚えてください。 登記表の構造マンションは敷地の上に建つ建物です。 元々、不動産登記は土地の表題部と建物の表題部は別々に存在します。 マンションでも同じで、土地の表題部、建物の表題部は別です。 これを頭にしっかりと叩き込んでください。 尚、土地の登記簿については過

登-17 法改正で諾成契約が増えたって知ってましたか。

不動産登記法にはあまり関係はありませんが、他の民法で役立つと思います。 諾成(だくせい)契約は契約する両者の意思が確認された段階で成立する契約のことです。 一部の要物契約が諾成契約に変更された 要物契約と諾成契約は試験にも出題されますが、要物契約は品物があって初めて成立する契約のことです。 例えば、質権設定契約、代物弁済契約、消費賃借契約などがありました。 これが民法の改定によって諾成契約に変更になりました。 代物弁済契約 代物弁済契約とは金銭の債務を物で支払うよう

登-16 質権と抵当権の違いって何?

物件は理解できましたか? 今回は質権と抵当権の違いについて理解しましょう。 担保物権を知る 質権も抵当権も担保物権です。 担保物権とは、お金を借りた人(債権者)に対して債権の担保として債務の弁済が済むまで担保として提供します。 債務の支払いが滞った時は、担保の処分により優先的に弁済を受ける物権です。 質権とは 質権と言えば「質屋さん」が有名ですけど、利用したことがありますか? 質種(しちぐさ)というお金を貸す価値があるものを質屋に持っていき現金を借りる方法です。 一定

登-15 物権がなくなることはあるの?

不動産の物権は登記登録をすることで第三者に対抗することを説明しました。また、登記をしなくても第三者に対抗できる場合についても説明しました。 では物権がなくなるとはどのようなことでしょうか。 物権のおさらい 物権は登記によりその権利を公にすることが出来る権利は4つでした。 新しい不動産の登記(表題登記) 新しい不動産の所有権登記(所有権の保存登記) 不動産の権利の変更登記(所有権の移転登記) 不動産の滅失の登記(滅失の登記) 新規に不動産を登録する表題登録、その

登-14 仮登記ってなぜするの?

登記の仮登記はたまに試験にでます。 仮登記って何をするための登記なのでしょうか。 仮登記をする理由 仮登記の主な目的は2つあります。 1、登記申請に必要な資料が揃っていないが優先順位は確保したい。 (1号仮登記) 2、将来発生する権利として優先順位は確保したい。 (2号仮登記) 仮登記は権利の順番についての優先順が重要なことがわかります。 具体的にはどのような場合なのか? 1、必要な資料が揃っていない(1号登記) 例えば、不動産売買契約で売買契約は終了した。 すでに売

登-13 中間省略登記って何?

登記の権利の登録(移転登記)は自由意志です。 登記義務は現在はありません。(令和6年以降相続登記は義務化されます) 中間省略登記って何? 中間省略登記は物件の所有権の移転登記で行われます。 こんな例が代表例です。 マンションの一室の所有するAがBに売買しました。 Bは転売目的で購入し、Cに売却しました。 Bは登記に必要な登録免許税の節約のため、登記をせずにCに売却しました。 本来登記は不動産の履歴の記録です。 不動産登記法では、A➡B➡Cに所有権が移転した場合、Bの登

登-12 先取特権を理解しよう

先取特権が理解できない人が多いことは知っています。 自分も試験勉強で「?」と何度も勉強しました。 先取特権は民法303条で次のように定めています。 「先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」 ???ですよね。 では順番に説明します。 先取特権の種類を理解しよう 先取特権には4つの種類があります。 1、共益の費用(多数の債権者の保護) 2、.雇用関係(倒産時の従業員の給与を保護)

登-11 登記って内容は真実なの?

不動産登記法は登記の手続き関する法律とお話ししました。 登記法は登記する権利は4つ定めています。 新しい不動産の登記(表題登記) 新しい不動産の所有権登記(所有権の保存登記) 不動産の権利の変更登記(所有権の移転登記) 不動産の滅失の登記(滅失の登記) この中で新たに土地・建物が生じた時や、土地・建物の物理的状況が変化(地目変更や建物増築等)が生じた時は、所有者に一ヶ月以内の変更登記申請する義務を課しています。 表題登記と滅失の登記については、登記申請の義務があり