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問題のあるレストラン

3話で千佳ちゃんが門司のポトフ食べるシーンをあまり重く受け止めてなかったんだけど、見返したら結構重要なシーンだったんだなと思った。門司が精魂込めて作った料理が3話のどん底状態の千佳ちゃんに響いたというのが千佳ちゃんの料理人生があのポトフによって肯定された感じがして良かった。いつ恋の音ちゃんの空の話もそうだけど、途方もない悲しみの中にいるとその補正で感動が増幅することってあるよね。

個人的に、門司と千佳ちゃんのキャスティングが桐島の宏樹と沙奈なのもとてもグッとくる。あんな虚無カップルやった後に問レスみたいな関係性の役が回ってくるって役者って面白い仕事だなあと思う。
2人でフライパン盗みにいくとこもときめいたし、その後千佳ちゃんが周太郎にかけた言葉を門司が聞いていたのも良かった。

雨木社長もあっくんで、そうやって縺れたまま続いていく連鎖の中に組み込まれてしまった周太郎のこと考えるとやるせない。千佳ちゃんのあの言葉だけでまだ小さい周太郎の今後を救えるとは思えないけど、漠然とでもいいから周太郎が千佳ちゃんの言ったことを覚えてくれてるといいなと思う。

現実の世界でひどい犯罪を犯した人に同情を誘うような過去があるとわりと「そういうことがあっても人を傷つけずに真っ当に生きてる人間もいるから過去は関係ない」的な主張をする人いるけど、私は自分がもしその犯人と同じ境遇だったとしたら犯罪を犯さなかった自信はないし、自分は幸せな人生を歩んできた方なんだろうなと思う。ひどい過去を持っててなお人を傷つけない人間は尋常じゃない聖人なのでそこと比べちゃあかん。健全な前提を持ってる人が持たない人に対して「過去を言い訳にするな」は言ったらいけない言葉なんじゃないかな。
そんな感じで、ついその人に憑依するレベルで寄り添った想像をして同情しがちなので門司の「どこから解いていったらいいかわからない」には禿しく同意した。
だけど、そんな巻き込まれ事故で傷つけられた方はたまったもんじゃないよね。たとえ加害者が可哀想だったとしても被害者が尊厳を踏みにじられたことはちゃんと主張してくい止めていかなきゃいけないところだと思う。もし五月が泣き寝入りをしたら、雨木社長によって同じような目に遭う被害者がまた生まれるかもしれないし。

五月が脱いだの、なんか、いくら社長の指示でも普通そんなことするか?と思ってたんだけど、ちょっとヤケクソみたいな部分もあったりしたのかな〜と思った。それまでにも散々女という性別のせいで嫌な思いをしてたみたいから。でもやった後になってうまく開き直れなくなってきて苦しかったという感じかね。なんとなく気持ちわかる気がする。

あと、最後の営業日の夜のたま子の夢が切なくていい。私も関係がうまくいかなくなってしまった人と談笑してる夢を結構な頻度で見るから。多分その人たちとはこのまま一生関係を修復できずに終わるけど、その夢をIFワールドの出来事として大事に生きていこうと思う。ただそういう人たちとの間には確執があるのでやっぱり普段生きてると定期的に憎しみが湧くのであった。憎しみと悟りを繰り返してる。

ラストの海も最高なんだよな。愉快なシーンなのにあの終わり方が愛おしすぎて最後のもんだいガールで涙が込み上げてくる。坂元裕二作品の特に大好きなラスト、それ生きと問レスと花束かもしれん。
最後色々すっ飛ばしてたけど本当に好きなドラマだ…

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