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介護業界で1on1面談を導入することで離職率が下がる理由

株式会社カチカです。弊社は、介護業界の1on1面談の導入支援や定着支援をさせて頂いております。

今回は離職と1on1面談の関係についてです。
まず、そもそもなぜ離職が起きるのかについて記載します。2つ目に、介護業界で1on1面談が離職率を下げる3つの理由について記載します。そして、最後は、実際に介護業界で1on1面談を取り入れて離職率が21%から16%に下がった事例をご紹介します。

1.なぜ、離職は起きるのか

なぜ離職は起きるのかについて記述しています。離職の中で注目するべきは、早期離職です。もう一つ、中堅層の離職も課題になっているケースが多いのですが、今回は早期離職について考えていきます。
早期離職が起こる理由ですが、エン・ジャパンが、Gap・Relation・Capacityの3つの要因で起ると提唱しています。エン・ジャパンではその頭文字を取ってGRCと呼んでいます。
まず、Gapについてですが、Gapというのは、入社前のイメージと入社後のイメージのギャップのことを指します。
例えば、会社の雰囲気や社員同士の関係性についてGapを感じるケースがあります。
求人サイトには、自由な社風ですという風に書かれていたにも関わらず、実際は様々なルールがあり自由さを感じられない。こういった場合に、新入社員は、ネガティブなGapを感じてしまいます。
また、求人サイトには、社員同士が仲良く助け合って働いていますと書かれていたにも関わらず、一人ひとりが、自分の仕事で精一杯で、他の人をサポートする余裕がない、そんなネガティブGapを感じるケースもあります。
また、仕事の面でもGapを感じるケースがあります。
例えば入社して、すぐに責任のある仕事を任されるという風に思っていたにもかかわらず、実際は簡単な仕事しか任されていない。実は、会社側は新入社員が仕事に慣れるまでは大きな仕事を渡さない配慮をしていたにも関わらず、本人とすり合わせができていないばかりに、本人は自分は期待をされていないんじゃないかという風に感じ、Gapが生まれるケースがあります。

続いてRelationについてお話しします。
これは直属の上司との関係性を指します。と言っても、入社して間もない状況ですから、深い信頼関係というわけではなく、上司に気軽に相談ができるか、困った時にすぐに相談ができる状態かというお話です。
例えば、上司がいつも忙しそうに働いている場合、ちょっと話をしたいなとか、ちょっと相談したいなと、新入社員が思っても、忙しそうだからと躊躇してしまいがちです。
新入社員は職場では孤独です。
転職経験がある方はご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、新入社員が入ってくると、周りのスタッフは、静観する期間があります。
新入社員は、どれぐらい仕事ができる人なのか、自分たちにとってプラスになる人材なのかということを厳しく見極めてきます。当然、そうでない職場もあるかもしれませんが、往々にして、中途入社された方というのは、職場で孤独に陥りがちです。
そうなった時に、直属の上司に気軽に相談ができるということが早期離職を防ぐうえでは大切になってきます。

3つ目はCapacityです。Capacityとは業務量の過多、過少のことです。
入社したばりにも関わらず、残業が続き、タスクが次から次へと降ってくる。自分の能力以上のことを任される。
こんな状態が続くと、業務量が過多になり、続けるのが難しくなるというケースがあります。
実は、逆のパターンもあります。本人的には、仕事にも慣れ、もう少したくさんの仕事を担当できるのに、会社や上司からは仕事を任せてもらえないとなると、自分は会社や上司から期待されていないのかもしれないというふうに思ってしまいます。
結果的に、これも早期離職につながる可能性が あります。

Gap・Relation・Capacity。これが、早期離職を引き起こしてしまう3つの要因と言われています。

2.介護業界で1on1面談を導入することが離職率を下げる3つの理由

続いて、介護業界で1on1面談を導入することが離職率を下げる3つの理由についてお話しさせていただきます。
先ほど、早期離職が起こる理由についてお話をさせていただきました。
1つ目のGap。このGapを埋めるにはどうしたらいいでしょうか。まず、新入社員が、どのように思っているのかを知る必要があります。例えば、もっと自由に働けると思っていたのか、もっと早く責任のある仕事に就けると思っていたのか、それ以外のGapを感じているのか。どのような期待をして入社してきているかを把握し、現時点で、どのようなGapが生まれているのかということを聞く必要があります。
このGapがあるかないかを確認する場というのは、どういった場が適切でしょうか。
立ち話でいいのでしょうか?
これが1on1面談です。1on1面談は、上司と部下との定期的に行われる面談を指します。この面談の中で、上司が部下に対して、入社して1週間経ったけれど、入社前に思っていた部分とどんな点でイメージの違いを感じていますか?という質問をすることで、Gapを把握することができます。
ここでGapを把握することで、早期にGapを埋めることができるようになります。

早期離職が起る2つ目の理由は、Relationでした。これは、直属の上司との関係性という話をしました。上司がいつも忙しそうで、なかなか話しかけられない。相談ができない。
職場で、孤独に陥りがちな新入社員が、上司にもサポートを得られないということで、早期離職に繋がる可能性が高まります。
上司が忙しいこと自体は変えられないと思いますが、その中で、いかに、新入社員が話しかけやすい環境を作るかが問われます。
そこで役立つのが1on1面談です。新入社員とは、週に1回は必ず1on1面談の時間を確保するようにして下さい。1回の1on1面談の時間は30分が理想ですが、30分取れない場合は15分でも構いません。
前回の1on1面談からの1週間の様子を聞き、できるようになったことについては承認・賞賛する。逆に、困っていることも聞き出して、解決方法や支援できることを伝える。こうした時間を取ってもらえるだけでも、Relationが改善され、上司は新入社員の自分のことも見てくれているんだ、認めてくれている部分もあるんだという安心感に繋がり、孤独を和らげることに繋がり、早期離職を防ぐことにも繋がります。

早期離職が起る3つ目の理由は、Capacityでした。Capacityとは、仕事の業務量の過多・過少のことを指します。今の自分にとって、業務が多すぎるのか、少なすぎるのかは、本人に聞いてみないとわからないです。本人に聞いてみるということは、1on1面談の出番です。面談の中で、色々と仕事をお願いしてしまっていますが、●●さんにとって業務が多すぎませんか?もし、業務量と勤務時間が合わないのであれば、少し調整しますので、相談しましょう、という話をして調整して下さい。
逆に、今、やることが少ないので、もっと仕事を振ってもらって大丈夫です、という方もいらっしゃるかもしれません。
先に出たように、業務が少なすぎても、自分は会社から期待されていないんじゃないか、という風に思ってしまい、モチベーションの低下に繋がるケースもあります。
定期的に1on1面談を実施することで、今の仕事量が、●●さんにとって適切ですか、多すぎませんか?少なすぎませんか?ということを上司が把握して、対処する。これも、1on1面談を実施することによって実現できることですので、早期離職の理由Capacityも1on1面談を実施することによって改善することができます。


早期離職が引き起こされてしまう3つの要因に対し、1on1面談が効果的な手法ということを理解していただけたと思います。
新入社員だけではないのですが、新入社員に対しても、非常に効果を発揮する面談手法になりますので、頻度としては、入社して3ヶ月から半年程度、定着するかしないかというところまで、月に1回だとちょっと少ないかなと思いますので、最低2週間に一度、週に一度15分でもいいと思います。1on1面談の時間をとるということが、離職率を下げることに繋がります。

3.1on1面談が介護業界で離職率を下げた事例


最後に、介護業界で1on1面談を導入し、離職率が下がった事例についてお話します。
静岡県にある従業員400名ほどの介護の会社様になりますが、2019年の離職率が21%だったのですが、2020年の離職率が16%まで下がりました。
この理由の一つが1on1面談を定着させることができたことであると考えています。
この会社さんでは、2019年は、1人の部下と月に2回の1on1面談を実施するようにリーダー以上の方にお願いしました。
その結果、現場からは、かなり多くの不満をいただくことになりました。
その理由の多くが、月に2回も、部下と時間を合わせることができないというものでした。ただし、月に2回の1on1面談を実施することで、メリットを感じるリーダーも出てきました。普段の立ち話や事務所の中では話しづらいような話、例えば、相談であったり不満であったりを、相談室で2人きりで行う1on1面談で早い段階で把握することで、対処や対応することができることにメリットを感じるリーダー・管理者が出てきました。
職員の中には、声が大きい方と、そうでない方がいらっしゃいます。
実は、気をつけるべきは、声が大きくない方なんです。
と言いますのは、声が大きい人は、不満や不平を外部に掃き出すことができます。
一方、声が大きく無い方は、ストレスを外部に掃き出すことなく、溜め続けてしまいます。
ストレス自体がなくなるわけではないので、突然、辞めさせてもらいます、ということになりかねないのです。
1on1面談は、会社からの指示で実施するオフィシャルな面談になりますので、全部下が同じ回数受けることになりますので、声の大きい小さいに関わらず、話を聞き出すチャンスがあるわけです。
これによって、今までは不満を溜め込まざるを得なかった方へのケアもできるようになった。これも、1on1面談によって、離職率が下がった要因の一つだと考えています。
その結果、離職率を、2019年の21%から2020年の16%に下げることに成功しました。
ただし、月に2回の1on1面談というのは、負担が大きすぎる、シフト的に無理という声も出ましたので、今は、月に2回ではなく月に1回の実施というルールにしています。介護業界の場合、リーダーや管理者は日勤が中心で、夜勤専従者と会うのが月に1回とか2回しかないということが起りえます。
そこで、リーダーが5人の部下を抱えているとなると、そもそも、シフト的に難しいという状況が起きてしまいますので、現在は、月1回の1on1面談に変更しています。


今回は、下記の3つのテーマで書かせていただきました。
1.なぜ、離職は起きるのか
2.1on1面談が離職率を下げる理由3つ
3.1on1面談が介護業界で離職率を下げた事例

介護業界で1on1面談を導入することで離職率が下がる理由について、皆様のお役に立てれば幸いです。


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