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求人詐欺にあった話

はじめに

このことについて、書くかどうか悩みました。
なるべくポジティブな内容を投稿したいなと思っているのと、過ぎたことについてとやかく言う時間ももったいなく、あえて口外するのも…という複雑な思いからです。
しかし、感じた違和感や悲しさ、情けなさや怒りなどはどこかで残り、法に触れるような行為をそのままにするのはやっぱりおかしい。
だまされる方が悪いのかな、いや、だます方が悪いはず。
けれど、事を騒ぎ立てても時間と労力を使い、争ってもきっとそれに見合わない。
友人や家族には話を聞いてもらいましたが、行き場のない思い(泣
いろいろと考えましたが、自己消化のためとこの記事がこれから就職・転職する方の一助になればと思い、綴ることにしました。

違和感① 選考時

某求人サイトからとあるスタートアップに応募しました。
応募条件には、フラットな職場、兼業可、フルリモート(正社員は週1出社)、男女比率も6∶4で女性活躍中、など魅力的な条件が記載されています。(条件を細かく記載すると会社を特定してしまうのでここでは記載しません。ほんとは言いたい(泣))
選考はプロジェクトマネージャーと代表とそれぞれ面談を行いました。
面談では、時間は自由に働いてOK、正社員でもパートでもOK、兼業OK、週4からでも代表に相談してみるといいよ、自己管理できる人で選んでいます、と話しており、温和な雰囲気で選考が進みました。
そして、雇用契約書を締結する段階に入り、ここからだんだん違和感を感じはじめます。
雇用契約書は人事担当とのやりとりでした。
元々、雇用形態はパートを希望しており、資格取得の勉強と両立しつつ、状況を見ながら兼業も視野に入れていました。
しかし、人事担当からは、今回は正社員の募集しかしていないと。。え??
そして、正社員は兼業は不可とのこと。。え??兼業可って記載あったよね?
パートの場合と正社員の場合では、面談時に伝えていた諸条件も変わってきます。
人事担当は面談した2人と話してないのかな?
「求人票には記載があったのですが…」と伝えると「申し訳ありません」と。変わりにパートの場合の条件として、週5勤務を提示されました。あれ?週4でもいいという話はどこへ?
メールでのやりとりなので細かく話す場もなく、面談の時と話が全く違うことに猜疑心を持ちつつも、面談まで終了してしまったし、とりあえず職を…と思っていた私は、内心焦りもあり、承諾してしまいました。

違和感② 出社時

そして初出社日を迎えます。
あれ?女性がいない?どゆこと?
何日か勤務したけれど時間も固定です。それに雰囲気も全くスタートアップらしくなく、ずっと緊張感が漂っています。
また、入社早々に、「今後はオフィスの移転とコーポレート系の拡充に伴い、出社してもらうことも多くなるかも。」との話がありました。
求人票が最新の情報に更新されてなかったり、男女比の内訳は出さずに記載されていました。
私より1ヶ月先に入った社員さんにこの疑問を話してみると、同じように入社後に気づく社員の方も多いようでした。

違和感③ 業務・内情

仕事内容も日が経つにつれて記載してあった内容と違う仕事が増えていきました。
それに内部事情を知っていくと、正社員の勤怠は勝手にシステムで切られる設定になっていたり、残業・深夜・休日の割増はつかなかったり、なんともブラックな会社だということがわかってきました。
また、契約書のリーガルチェックなども、弁護士事務所へ依頼せず、社員が杜撰なチェックを行っていました。
会社が行っている事業自体はとても素敵なものなのにと残念に思いました。

数々の不信感を早期に持ってしまった私は、スタートアップでまだ成長段階だし、これからいい方向へ会社が変わっていくのかも?と自分に言い聞かせました。しかし、改善する気配も見られず、会社の方針もよくわからない。タイミング、給与、組織体制、キャリアデザインなどその他の事情も踏まえたうえで退職することにしました。

求人詐欺

いろいろと調べてみると、人材不足による求人詐欺は増えているようです。求人票や面談で虚偽の内容を記載して魅力的に見せ、雇用契約書で違う内容にするようです。面談で徐々に内容をぼやかしていくケースもあるそうです。
人材不足に困る会社側の立場もわかりますが、求人詐欺はいけないことですし、社員の定着率や会社への信頼度が下がり、ミスマッチが増えても会社にとってマイナスになるのではないでしょうか?

求人詐欺について、関連法令を調べてみました。

公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

職業安定法 第5条の3

厚生労働大臣は、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者又は労働者供給事業者が、その業務に関しこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、これらの者に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

職業安定法 第48条の3第1項

次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
八 第四十八条の三第一項の規定による命令に違反したとき。

職業安定法 第65条第8号

ほかにも労働基準法などでは、以下のように定められています。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

労働基準法 第15条1項2項

これらの法令はあるものの、実際に適用されるケースは少ないようです。

また、これは私の反省点でもありますが、抱いた疑問や違和感は流さないことだと思いました。転職の時は、決断を焦りがちになってしまいますが、事前に違和感を感じたことや不明な点は一つ一つ会社に確認することをおすすめします。
そもそも労働組合やハラスメント等の相談窓口がない環境だったり、違和感を感じても言い出しにくい、相談先がない、分からない状況も多々あります。
悩まれている方は、弁護士さんや労働基準監督署、法テラスなどへ相談するのも一つの手段だと思いました。
※今回の件は、念のため求人サイト側にも報告させていただきました。どこまで反映されるかはわかりませんが、同じ轍を踏む方が出ませんように。

おわりに

今回のことで、悲しい思いをしたり、怒りを感じたり、情けなさも感じたり…なかなか割り切れない気持ちを抱えました。けれど、きっとこういう思いを抱えているのは私だけではないんだろうなと思います。
いろいろな思いは抱えましたが、会社とはいたって円満に退職しています。先述したとおり、事業は素晴らしいものだと思っていますし、学んだことも多く、優秀な社員の方ともたくさん出会えました。「罪を憎んで人を憎まず」これから成長や改善を重ねて、ご活躍されていくことを願っています。

長くなってしまいましたが、この経験とこの記事が同じ境遇にいる方、これから就職・転職する方のご参考になれば幸いです。

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