見出し画像

他人のプライベートとかほっとけよ(レビュー:『この動画は再生できません シーズン2』)

オススメ度:★★☆☆☆

> 相変わらず「本当にあったガチ恐投稿映像」新作の〆切に追われる編集マンの江尻(加賀翔)と、ちょっかいを出すオカルトライター鬼頭(賀屋壮也)。編集マンとしての知識や持ち前の洞察力で動画の裏にある秘密を解いていく江尻の元に、謎に包まれたある取材VTRが持ち込まれる。

 うっかり星3を付けそうになるが、心を鬼にして星2にした。

 本作はちょっとした謎を含む動画を見ることになった編集マンが、動画から得られる情報だけから推理を行い、その謎を解き明かすという安楽椅子探偵の一種である。特筆すべき点としては、ここで提出される「ミステリー」が概ね日常的なものであることだ。同様の作品として『氷菓』がある。

「日常の謎」と呼ばれるジャンルだが、個人的にはあまり好きなジャンルではない。ミステリー(謎)が身近であるため、殺人事件などに比べてより親近感がある、リアリティを抱かせる……といった意見があるのは分かる。しかし、私はどうしても「わざわざ騒ぐほどのことか?」「それを解き明かしたことに何の意味が?」といった感覚を抱いてしまうのだ。

 市井の一個人が抱えるちょっとした謎や不思議が明かされて論理的な解答がもたらされたところで、「で、なに?」と思わずにいられない。これは私が恋愛まんがや恋愛映画に基本的に興味がないのと同じだろう。他人のプライベートにあまり関心が持てないのだ。特に本作では、主人公二人と全く縁もゆかりもない人たちのプライベートの話なのだから、そんなものに興味など持てる方が不思議なくらいだ。

 本作シーズン2もやはり同様の感覚を覚えながら進んでいく。しかし、4話だけは面白かった。これは今まで書いてきたことをむしろ裏書きしているのだが、というのは、4話だけは殺人事件なのだ。しかも、主人公二人の人生に関わる問題であり、危機が間近に迫っている。

 3話までは星2どころか星1程度のつまらなさなのだが、4話だけ面白かったので「終わりよければ全て良し」で星3にしそうになった。「心を鬼にして星2にした」と書いたのはそういう意味だ。

 以下は、各話の感想。ネタバレ注意。

■1話 AFFAIR

> 心霊ホラーDVDシリーズ「ガチ恐」新作の編集を行っている編集マンの江尻(加賀翔)と、鬼頭(賀屋壮也)の元にカップルのビデオ通話中に超常現象が起きる動画が送られてくる。

 まあまあ面白い。作品のネタが、というよりは、前シーズンで死んだ鬼頭さんをどのように扱って進めるか、という、ある種の創作論的な面白さが強いが。

ここから先は

1,521字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?