血とゲロとゴアとチェーンソー(レビュー:『死霊のはらわた ライジング』)
オススメ度:★★★★☆
毎週日曜の「ホラー映画をみんなで見る会」では、Amazonプライムビデオで無料視聴できるものが多く選ばれている。というわけで、ネトフリや有料作品は個人的に一人で見ているのだが、今回はそういったホラーの感想だ。本作はアマプラでは有料レンタルだが、ネトフリで見れる。
さて、本作だが、皆さんご存知(?)の名作『死霊のはらわた』のリメイクである。今回の私の星4評価は、「元祖はらわたのニュアンスを継承して往年ファンの期待に応えつつ、新参者にも相応のエンターテイメントを提供している」という点にある。星5ではないのはそれ以上のものではないからだが、しかし、それ以上である必要もそんなにないとも思っている。
これを言うと怒られるのかもしれないが、元祖の『死霊のはらわた』からして、その評価は「最高傑作!」「ものすごく素晴らしい!」「感動!」という感じのものではない(と私は思う)。ポップコーンを食べながら部屋を暗くして見ると、「まさにホラー」というべきホラー演出がドコドコ連発し、特に話に筋はないが見てる間はワクワクとハラハラの楽しい90分を満喫できる……そういった「典型的B級ホラー」としての完成度の高さこそが『死霊のはらわた』だと(私は)思っている。
本作もそのニュアンスを継承している。オープニング後の序盤、家族関係をグダグダ描いている下りだけダルいが、そこさえ乗り越えれば後はジェットコースター的に過剰なゴア描写とやりすぎな出血描写、痛々しいグロ描写がなだれ込んでくる。
そもそも元祖『はらわた』もゴアや出血描写がやり過ぎで、そのあまりのやり過ぎっぷりが恐怖を通り過ぎて笑いに接近しており、やってること自体は明確にホラーのはずなのに何故かホラーコメディ―として認識されるという、そういう複雑な評価の作品である。その「やり過ぎ感」を本作も継承しており、ハイテンションな作品へと仕上げている。
(「やり過ぎてコメディに接近している」という作風をさらに強調したのがセリフリメイクの『死霊のはらわた2』であり、そこからさらにさらにコメディ要素を強めたのが『死霊のはらわた3 キャプテン・スーパーマーケット』だ。3はほとんどドリフであり、私は3が大好きだ)
後はゲロだ。『はらわた』はよくゲロを吐く。『コワすぎ』の白石監督も主に子供たちへのサービス精神からよくゲロシーンを入れるというが、本作にも無意味にゲロが出てくる。「血が怖い」のと同じように「ゲロは汚い」ので、視聴者の生理的嫌悪感をストレートに刺激しようというサービス精神によるものであろう。なので本作も大変に汚らしいし、妙に痛々しく、サービス精神満点なのである。
ただ、そういったホラーとコメディの境界線上にある『はらわた』だが、一点、明確に怖い点があって、それは主要登場人物の肉親などの、立ち位置的にかなり重要な人物が
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