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Dylanの「Hurricane」をBLMな時代に蘇らせたスカーレット・リヴェラ

Scarlet Rivera and Nine Mile Station

今から1年ほど前の2021年初夏、ひっそりデジタルリリースされた Scarlet Rivera and Nine Mile Station の「Hurricane」というシングル。

Hurricaneという曲名、Scarlet Rivera(スカーレット・リヴェラ)という見覚えがある名前。
そうHurricaneはBob Dylanの1975年のアルバム「Desire(欲望)」冒頭のあの曲。そしてスカーレット・リヴェラはそのHurricaneで僕たちの心を掻き毟るようなジプシー・バイオリンを聴かせ、その後ローリング・サンダー・レビューにも参加していたあの女性である。

ローリング・サンダー・レビュー以降の数十年間、スカーレット・リヴェラが何をしていたかは知らない。いちおう音楽業界にいてソロアルバムも出しているようだが、レコードを見かけたことも、聴いたこともない。

そんな彼女がバックバンドを従え、シングルリリース。しかもディランでロックだ。

Hurricaneという曲は殺人の容疑をかけられたアフロ・アメリカンのボクサー ”ルービン・ハリケーン・カーター” 救出のためのプロテストソング。

黒人であることで容疑をかけらた事件だが、彼をテーマにした曲をBLM運動の真っ只中で再演することの意義はこのMVを観れば明らかである。

Nine Mile StationというのはLAベースのハードロックバンドぽいが、ボーカルの人のぶっきら棒ながら熱のこもった歌い方はかなり好感が持てる。
で、スカーレット・ヴィエラの変わらぬヴァイオリン。

このままアルバムも出れば大きな話題になるだろうと思ってずっと1年待っていたが、どうもこれ1曲で終わりらしい。ちょっともったいない。

ディランが歌う「Hurricane」。

彼が2021年なり2022年にこの曲を歌えば、それはそれで意味があったと思うのだが、そういうことは格好悪いと感じるのがディランのセンスなんだろうなぁ。

ディランとスカーレット・リヴェラがどう出会ったかは、スカーレットがあちこちでその話を披露しているので探して欲しい。そんな百万に一つの出逢いがあるのかと思う。

でも、当時のスカーレットの写真を見ると、いかにもニューヨークのボヘミアンなルックスで、そんな女性がヴァイオリン抱えて歩いていればディランでなくても目を留めるだろうなぁ。

とにかく、久しぶりにスカーレット・リヴェラのヴァイオリンが聴け、元気に活動していることも分かって喜ばしい限りである。


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