CahierSonore〜音の手帖〜

釜村僚一 作家。沖縄県立芸術大学にて作曲と音楽理論を専攻し、大学院修了時に山本正男賞を…

CahierSonore〜音の手帖〜

釜村僚一 作家。沖縄県立芸術大学にて作曲と音楽理論を専攻し、大学院修了時に山本正男賞を受賞。その後ドイツのライプツィヒに留学。官能的な美しさと伝統的な形式性が調和された「ただ美しい作品」を作ることを目指している。ホームページ:https://cahier-sonore.com

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野球ボールを投げられたのに、サッカーボールで返したら、コミュニケーションが成立したこと

ドイツに住んでいた時、観光客に道を聞かれることがよくあった。 よりによって東洋人に道を聞かなくても、、、 と思いつつ、昔から「お人好し」だと半ば呆れられてきた私は相手を無下にすることができず、ひとまず話を聞くようにしてきた。 とはいえ、日本で道を案内するのとは訳が違う。 日本は私にとっての「ホーム」だ。 しかし、ドイツはまだ「ホーム」には成りきっていない。 そして、目の前にいる観光客と思われる外国人にとってもおそらく、この土地は「ホーム」ではない。 つまり、お互いにとってこ

    • どうしてラインは素敵なの?

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      • ベルリンで頭を抱えた話

        ベルリンに数週間滞在していたことがあります。昼間は語学学校に行って、その後は美術館やコンサートに行ったり、ウンター・デン・リンデンを散策したりしていました。 基本的に楽しげな日々を送ることができましたが、上手くいかなかったのは住む場所を見つけることでした。最初は語学学校の寮に滞在していましたが、さまざまな事情で別の家を探さなくてはいけなくなりました。しかし外国人の私がすぐに家を見つけることができるわけもなく、結局は安いホテルに滞在することになったのです。 このホテルは本当

        • 一つの演奏とさまざまな思い出と

          先日知り合いの方から紹介を受けて演奏会に行ってきました。行ってきたのはアマチュアのオーケストラの演奏会。思えば、アマチュアの演奏会に来たのは久しぶりのことです。 アマチュアとは言っても侮ってはいけない。フランスもので揃ったレパートリーは十分に楽しめるものでした。 ただ、なんとなくアマチュアの演奏会の雰囲気のようなものはあります。 引き合いに出す話として適当なのかどうかわかりませんが、かつてライプツィヒに住んでいた頃に、これまた友達に誘われて、ライプツィヒ大学のオーケストラを

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          自己紹介

          はじめまして。釜村僚一と申します。 作曲や編曲、文章の執筆などを行っています。肩書きは何なのか悩むことがありますが、最近は作家を名乗っています。 noteでは制作の記録や日常の中で感じたことを書いていけたらと考えています。まずは、はじめましての皆さまに簡単な自己紹介を。 生い立ちやこれまでの経験 私は大学で作曲と音楽理論を勉強し、修士課程まで修了しました。大学で音楽を勉強したと言うと、幼い頃から厳しい、スパルタな音楽教育を受けてきたと思われることもありますが、のびのびと