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ワイン1本 4億円 !? 〜 子供たちの命を救う 〜

皆さんとぜひ共有させていただきたいトピックがありましたので、久しぶりに記事を書いております。

先月、5月14日、たった1本のアメリカワインが約4億円 (3億9千万円; $1=130円換算) の価値にかわりました。

そのワインは、シネ クア ノン (Sine Qua Non) のシラー、2003年ヴィンテージ。名前はイノーギュラル (The Inaugural) です
ロバート パーカーが2005年、2006年、2007年のテイスティングで100点 (暫定含む)と評価したものです。

この度、St. Jude Children's Research Hospital's 60th Anniversaryのチャリティーイベントのために、パーカーが自身が有するボトルを寄附しました

サイズはなんと27Lボトル。こんなボトルが存在していたことも驚きです。ボトルサイズを考慮しなければ、おそらく今回、世界一高いワインを更新したように思います。

通常のボトル36本分に相当するので、その1本では1,083万円の換算になります。料理なども考えると厳密にはワインだけの価値ではありませんが、すごいことは確かです。ちなみにThe Inauguralのリリース価格は、18,000円 ($150; 1$=120円換算) でした。
わたしがnoteの初めての記事でご紹介したもっとも高いアメリカワインは、同じくシネクアノン(1995年のロゼ) でしたが、それに匹敵します。

通常のボトルの生産量はわずか364ケース (4,368本)

この会の主催者であるThe Legacy Cellar Foundationからの言葉が印象的でしたので、引用いたします。

We knew this 27-liter bottle of 2003 Sine Qua Non The Inaugural Syrah was a staggering wine but transforming it into a record-breaking lifesaving gift for children has made it truly priceless. 

「子供たちの命を救う贈り物になったことで、本当に値段がつけられないほど高価なものになった」ということになりますでしょうか。

パーカーは、当初お子さんの結婚式でこのワインを提供しようと考えていたそうですが、コロナ禍で想定より小規模となり開けるに至らなかったようです。
一方でこの度のイベントもそれほど大きな規模ではなかったことがうかがえます。正確な人数は定かではありませんが、60〜100名程度のようで、ディナー1シートにつきなんと400万円 ($30,000) 相当が必要だったようです。

またおもしろいことは、支払いは仮想通貨 (イーサ ETH) であったという点。
同時期に“Club dVIN”というthe world’s premier NFT wine clubが立ち上がり、このディナーに参加できるトークンを販売しましたが直ぐに売り切れになったようでした。
なぜ、一点物のデジタルデータであるNFTというトークンを用いているかというと、自動的に契約が締結できることが大きいようです。確かに、NFTの発行に要する (仮想通貨の) ブロックチェーンの技術は革新的であると感じています。ただし、仮想通貨の価値変動は大き過ぎますが…。

これまでもっとも多くお伝えしてきたシネクアノン。ここにきてまたすごい歴史の1ページをつくりあげました。

なお、この度のイベントは、パーカーにとって2019年にThe Wine Advocateを退いてからはじめての公のイベントだったようです。

当日の写真は、購入するのに少なくとも1枚1万円するようなので掲載できず残念ですが、こちらでご覧いただくことが可能です。27Lボトルもしっかりおさめられています。
パーカーもマンフレッドもすてきに年を重ね、お元気そうな姿が何よりです。

ちなみに、 The Inauguralに対する当時のパーカーのコメント (抜粋) は以下のとおりです。

This stunning Syrah boasts a magnificent bouquet of spring flowers, blueberries, blackberries, charcoal, licorice, and roasted meats. It hits the palate with remarkable intensity, purity, and full-bodied power, but it somehow manages to dance across the taste buds with the gracefulness of a ballerina. Awesomely long, I still tasted this wine 60 seconds after I had spit it out – no easy task, even for a professional. 
……
In short, it is talent and incredibly meticulous hard work. No one works as hard or is as maniacal about a vineyard’s viticulture and winemaking as Manfred Krankl. Take that, add in exceptional talent, humility, top-notch vineyards, and I believe I understand the fundamentals of why these wines are so special.

最後に… 
先週、最新のWine AdvocateでErin Brooksがシネクアノンのシラー、2018年ヴィンテージに100点をつけました。これにより、100点取得のもっとも多いアメリカワイナリーとしてシネクアノンはまた単独1位となりました。ちなみにErin Brooksが100点をつけたアメリカワインはわずか6本 (7,825本中)です。

またトピックスがありましたら、記事を更新いたします!

Cheers !!

(Photo by Chang Duong on Unsplash)

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