「番狂わせが起きるときは必ず……」ドーハの歓喜で思い出した”あの日”の言葉

2018年7月2日。
この日付を見るだけで、「あの試合」の記憶が呼び起される…というサッカー通の方も結構いたりするんでしょうか(厳密に言えば3日未明かもです)。私はぶっちゃけこの記事書くために何月何日だったかがっつり検索しましたが…。

ロシアW杯 決勝トーナメント1回戦 日本VSベルギー。
決して高くなかった前評判(大会前の国内の期待の薄さをなんとなく覚えている)……を見事に覆し、グループリーグを突破した日本代表が、優勝候補の一角と謳われたベルギーと激突し、ギリギリ……ホントにギリギリまで追い詰めるも、2-3で敗れた試合。

「あの日」から4年半。
ロシア大会のベルギーと同等、いや過去大会の成績からすればそれ以上の「超強豪」ドイツと相まみえ、最高の結果で日本中を沸かせてくれた試合の興奮……から一夜明けた私はふと、「あの日」の中継で印象に残っていたある言葉を思い出していた。

当時住んでいた1Kのアパートで一人、試合の行方を見守っていた深夜。
0-0で前半が終わり、後半開始早々に原口と乾のゴラッソで2点をもぎとる激アツ展開に胸躍らせるも、その期待をじわじわ削り取られるようにラスト20分あたりから1点、2点と着実に奪い返され「あっ、えっ……ちょ…」と気持ちの整理が追い付かなった。

とめどなく続くベルギーの猛攻。
正直、どれだけ耐えしのげるか…90分まで3点目をやらずにいられるか…という感覚で見ていた、そんなときだった。

後半40分あたり。
右サイドからベルギーがクロスをあげる。
ファーサイドにいたシャドリがそれに頭で合わせる。強烈なヘッドでボールがゴールに向かう、が、ゴールラインを割ることはなかった。

防いだのは、川島永嗣。
横っ飛びでシャドリのヘディングをはじき出す。

それでもまだボールは生きていて、ヘディングを防がれたシャドリがもう一度ゴール前にクロスを上げる。待ち構えていたのは、ルカク。
この時点で得点王争いに絡んでいた屈強なFWが、体をそらせてヘディング。
さっきのシャドリよりも威力とスピードがあるボールだった。
だがこれも、防がれた。

川島が、高い打点のまま飛んできたシュートを間一髪で両手でセーブ。

立て続けにおとずれた2度の決定機を、日本のGK・川島が見事に守り抜いた。

このとき、試合の解説をしていた山本昌邦さんが興奮気味に言っていたのが、この言葉だった。
「サッカーで番狂わせが起きるときというのはは必ず、キーパーのスーパーセーブがある」
(原文正確には覚えておらず…)

いや、もうまさにそうだな、と。心から頷いたことを覚えている。
格上の相手が「負けるわけにはいかない」と容赦なく仕掛けてくる猛攻を
食い止めない限り、”格下”に勝ち目はないのだ。
どんなにDFが体を張っても、試合中何度か放たれる決定的なシュートを
得点にさせない。GKの踏ん張りなくして、ジャイアントキリングなし。
まあベルギー戦は結局ジャイキリは為せなかったじゃん、と言われればそれまでなのだけど……。格上と「互角の戦い」を演じる時点で、やはりGKのチームを救うセーブは不可欠といえるのではないだろうか。

いかんせん「ベルギー戦の川島」というと、どうしても1失点目の、左サイドからのやまなりのヘディングが川島の頭上を越えて、そのままゴールに吸い込まれてしまった映像の方が世間的には印象に残ってしまいがちだが……
この終盤のナイスセーブのことももうちょっとクローズアップされてもいいんじゃないかと個人的には思う。

なんだかやや話がそれてしまった気がするけれど、
「番狂わせが起きるときは必ずスーパーセーブがある」---。
この言葉を思い出したのは言うまでもなく、まさに先日行われた
ドイツ戦がそれにぴしゃりと当てはまるような試合だったからだ。

海外のTwitterでも「Japan」がトレンド入りするほどに世界をわかせたジャイキリは、川島永嗣の跡を継いで(?)、W杯の舞台で日本のゴールマウスを守る権田修一の後半の4連続セーブがなければなしえなかったのは間違いない。あそこで0-1のままで耐えることができたからこそ、ドイツに余裕をあたえず、三苫→南野→堂安の同点ゴール、板倉→浅野の逆転ゴールという最高の試合展開となったのだと思う。事実、FIFA公式のMOM(マンオブザマッチ)に選ばれたのは権田だった。

日本代表が目指すのは過去6大会一度もたどり着いたことのない「ベスト8」以上。その道のりには、「ドイツ」と同じクラスのまぎれもない”格上”の国が待ち構えているのは間違いない。
日本が道を切り開いていくために、もう何度か「スーパーセーブ」が必要になってくる。

もちろん何より見たいのは勝利を呼び寄せる「ゴール」だけれど、
今後の試合では、相手に押し込まれる中でのGKのビッグセーブの場面にでくわしたときは、「あっぶね~~」でも「ナーイス権ちゃん!」でもなく、
「あ、これは、番狂わせの確定演出やな」くらいに思えるような観戦スタイルでありたいな、と思う。

まあなによりもまずは日曜日のコスタリカ戦だ。
ドイツ・スペインというビッグネームにはさまれて錯覚的に「小さく」見えてしまうけれど、各局の情報番組で解説者の皆さんが釘をさしているように、まったく侮ることのできない相手。
できれば「スーパーセーブ」が必要ないような試合運びで勝利をものにしてほしいなとも思いつつ、そんな慢心も危ないよなと思いつつ。









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