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人生最大の危機に陥った話2

療養の為に長期休暇に入った

やっぱり毎日頭は痛いし
起き上がることが出来ない
何もしていなくても息苦しい

仕事に行くという目標がなくなったので
ほとんどをベッドの上で過ごす毎日
本当に息をするのが精いっぱい
眠れない日々が続いた

朝になっても歯磨き・洗顔が出来ない
お風呂にだって殆ど入れない
何も食べられず体重が一週間で5キロ落ちた
みるみる痩せて生理も止まった

“廃人”とはこういう状態なのだろうなと
頭だけは変に冷静な事を考えていた

明日は心療内科の診察という日の夜
何もかもがおっくうだったが
仕方ないので頑張って風呂に入る事にした
フラッ…あれ?まともに歩けない

病院まで自分で車を運転していくなんて
到底無理な状態の自分に驚いた
とはいえ母は運転免許を持っていないし
妹は離婚後で生活に必死だったから
仕事を休んでくれとは言えなかった

申し訳ないとは思いながら
友達に「明日病院へ連れて行って欲しい」
と連絡を入れると
「明日は仕事休みだからいいよ」
という返事 ありがたかった

さて当日

頑張って身だしなみを整え着替えると
ピッタリしていたはずのジーンズには
よれよれと皺が寄り
中で痩せ細った足が泳いでいた
うっわ何これ…気持ち悪い
その様子に我ながら引いた

友達からアパートに着いたと連絡が入った
部屋が二階だった為よろよろと玄関を出て
階段から落ちないよう壁伝いに進む

そんな様子の私に気づいた友達が
運転席を飛び出して来て支えてくれた

「ちょっと!どうしたの!?」
「まともに歩けてないじゃん!」
「何があった!?」
「こんなに痩せて!」
「食べてないの?」

そんな事を矢継ぎ早に
聞かれたような気がする

頭もボーッとしていたが
それよりなにより息苦しくて
私は「無理行ってごめん。ありがと」
と言うのが精一杯だった

病院へ向かう車の中
肩で息をしながらポツリポツリと
自分の状況を説明すると
友人は目を丸くしていた

診察を終えた帰り道
「明日から出勤ついでに玄関前に
ご飯置いとくから食べなよ」と友達

その言葉通り翌朝から
玄関前に食事が届けられた
トーストだったりおにぎりだったり…

出勤前の慌ただしい時間に
血のつながりもない私の為に
用意してくれるのだ
世界一ありがたく贅沢なご飯だった

親や親戚に酷い目にあった私には
こんなに嬉しい事はなかった

それから少しづつ朝は何かしら
お腹に入れる事が出来るようになっていった

▶人生最大の危機に陥った話3 に続く


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