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さいとういんこさんの新詩集

 さいとういんこさんの新詩集「ハンバーガー関係の詩数編と、その他の詩」がAmazonオンデマンドを使って製作・発売されました。奥付が3月21日だから本当に出来立てホヤホヤだ。pdfファイル作れれば誰でも思い立ってから数日で詩集が出来る、スバラシイ時代やなぁと思いますです。
 セットリストはこちら。(掲載順)
〔ハンバーガー関係の詩数編〕アンハッピーセット/マクドナルド神社/詩20140720/あい・ら~ぶ・まくだーなるず/HOT APPLE  PIE/終のマクドナルド
〔その他の詩〕自転車とガールズバー/風船/Happiness/だぐでん/光は讃えるだろう/パン屋さんと歌い屋さん/70歳以上徴兵制度/にんげん じゆう すき/とても、きれいだ

 読む前からこの人の詩がスゴい事は分かり切ってたケド、読んでみてやっぱり凄い。
 冒頭の「アンハッピーセット」から掴まれる。メジャーで無粋な存在の筈のマクドナルド、だけれど夜をさまよう人たちにとっては大切な場所。そんな夜中に売られるのがアンハッピーセットだ、というお話。

 僕は夜勤専門の ドナルド・マクドナルド ナイトクルーだ。
 僕にも理由が あることを どうか どうか 忘れないで
(「アンハッピーセット」最終連)

 「マクドナルド神社」の鳥居がアレなのは笑ったケド、その次の「詩20140720」は、マクドナルドのハッピーセットのオマケからWAR IS OVERが始まるという壮大な詩です。…でもこんな一節が。
   
 娘が青いボタンを押す数秒前に 息をひきとった最後の戦死者の家のまわりを 花束がおおっている
 けれど 家族は泣き続けている 忘れません、決して忘れませんよと 人々は約束する
(「詩20140720」25~26行)

 ハンバーガー関係の最後の詩「終のマクドナルド」も、ついに老境に達した自分にはクるものがある。「アドレナリンが、かかとから、じゅわっと上がってきて苦しい」(「終のマクドナルド」部分)とアタクシにも思えるのです。

〔その他の詩〕では「Happiness」の荒涼がもたらす幸福がすがすがしい。「だぐでん」は言葉遊びは面白い、だがもっともだと思いまじだ(謎)。
 清楚な感覚が欲しい人には「光は讃えるだろう」が良いと思います。
 あと「70歳以上徴兵制度」はもう年齢制限でヘータイにはとられないやと思ってた自分はドキッとしました。確か松本零士の漫画にこーいうネタあったなぁ。そういや福島第一原発の所長さんも震災の時「ジジイで決死隊作って炉内へ行く」とか言っていましたね。

 知らない方のために少し。さいとういんこさんは音楽ユニット「タンゴ・ヨーロッパ」の歌い手で解散後は作詞家として様々なアイドルやアニメ、バンドに作品を提供しました。
 詩や文学への造詣が深く、1998年からポエトリーリーディングのムーブメントを形作った一人です。ウエノ・ポエトリカンジャムや、詩人とラッパーのスラム「SSWS」の運営者でした。子ども向けの楽曲で一番有名なのは、NHKみんなのうた「6さいのばらーど」あたりかな。

 ちなみに作品名にある2014年7月の出来事をWikiで見てみると。17日にはマレーシア航空の旅客機がウクライナ東部で親ロシア勢力により撃墜されたもようで(ロシアによるクリミア併合は同年3月18日です)295名が死亡。18日にはミツバチの大量死が、水田で使うカメムシ駆除用の農薬が原因だと発表されていました。…余談はここまで。

詩集のご購入先はこちら。
https://amzn.asia/d/6wMAgNo

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