日詩20240418『不思議な橋』

富士の客先の工場で
事務所の入り口の
手前の幅5メートルほどの小川に
不思議な橋がかかっている
鉄製だが踏板は金網
幅は80センチない位の狭さで
荷物を持った時に通りにくいと思ったのか
手摺りは川上側だけ
近くに水源があるのか
水はとても綺麗で
緑の水草が茂り
川岸にはそれこそ
絵に描いたような桜の木があって
いま花びらを散らしながら
葉桜に変わろうとしている
夕暮れ花びらに包まれながら
いま唐突に終わりを思った
何も変わらないように何度も
過ごしてきた春だが
じきに娘は巣立ち
じきに母も旅立つ
ここを無事に渡れるのも
あと10年ほどだ

2024/4/18 大村浩一

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