オープンポエトリ―の会第3回 レポート

 2024年3月24日(日)に同会を静岡駅西側近くのあざれあ第3会議室で開催しました。運営委員・窓口は私とさとう三千魚(みちお)さん。前回・今回とも私とさとうさんが居る、静岡県詩人会の理事会直後の開催となりました。内容は自作詩を作者本人が朗読後に、参加者相互でソフトな感想を述べ合うというものです。
 参加者は15名で私、さとうさん、金指安行会長、土屋智宏理事長、室 十四彦(としひこ)理事、堤腰和余理事、いいださちこ理事、県詩人会から中久喜輝夫前会長、菅沼美代子さん、たいいりょうさん。このほか「輝け九条!詩人のつどい」の説明で関東から来られた佐相憲一さんと洲 史(しま ふみひと)さん、一般からは古書店「猫に縁側」のオーナーさんと店長さんが加わり盛況でした。

 以下朗読順に、“”は詩の中からの引用。評文は発言から拾いました。
 私はSNS「Note」にも書いた『石礫』。
 たいいさんは『日は待たず』と『飛行機雲』。自分が生きている瞬間を捉え、その有限性に立って無限に向かう詩だと評されました。
 室さんは『くだりの道』。“くだりは気をつけろ”と始まる、体感豊かな山歩きの爽快感と人生後半の思いが巧みに交錯する作品です。
 土屋さんの『美味しい果実』は、楽園追放を退廃的な情熱に転換した詩。“魂のない羽。折られた翼。”本人が言われたようにコルトレーンをバックに聴いてみたい詩です。
 菅沼さんは『乳甕』。昨年出された詩集の表題作、乳=甕と置き換えてしまう凄さ。子供の命と向き合いつつ、のめり込まず、逆に子供から母としての存在を定義されるという逆照射へ行きつく。“ぼくだけのものだと/自信に満ちた顔をする”
 いいださんは『饂飩』。このうどんとは何者だろう、単に比喩や隠喩で仕立てた詩ではなく、鋭い観察眼が捉えた“湯の裂け目で放心した”りするような、人に迫る生き生きとしたもの。新しい発見のある詩です。
 堤腰さんは詩集「ゆれている」から『名探偵クワン』、だんご虫の騎士道を描く『騎士(ナイト)』、干乾びたみみずの『の』。いずれも同詩集の中ではユーモアのある作品で、ご本職の朗読の技量を発揮して凄かったです。
 さとうさんは『雨を受ける』。追悼を描いたが感情は書かない。映画や絵画の様な手法で、淡々と語ることで最後の“空にひらいていた”が響きます。詩の背後にある渇望感が良いと言われました。
 急遽参加の佐相さんは「詩人の輪通信57」に掲載された『世界に揺れる洗濯物』。日光湿疹をアイデアに、それを覆う洗濯物から世界へとイメージを広げて、個人にとどまらぬ平和への思いに至る。敢えて「愛」という文字を二度書いて、この世界へなおも希望を語ろうとします。

 今回は一般参加者が少なかったのが残念ですが、県詩人会自体の活性化を感じられ、次回が楽しみです。日程が決まり次第また告知します。会員の皆さん、ぜひ一度おいで下さい。

2024/3/31記 大村浩一

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