022: 初めて風魔忍者の早九字護身法を使った(回想)

今回の記事は約2,000文字の文章です。

  僕の妄想の知識に影響を与えているのではないかという経験の中には高校生時代に呪術の本を読んだことがあります。それは「風魔忍者の呪術」で、「早九字護身法」というものでした。

 記憶の中での祖母は8歳の頃にの高校生の僕について話をしています。そこでは、高校生の僕は祖母に未来のことを教えられていたのをすっかり忘れて、或る同級生にいじめられていて強いストレスを受けていました。たまたま超能力や呪い(まじない)・オカルトなど神秘的な事に興味を持っていた僕は呪術の本を購入して読んでいました。個人的な復讐の為に安易に呪術を使うことを躊躇っていたのですが、同級生からのいじめのストレスが強くて、ついに呪術を使うことを決心しました。呪術の本にはカタルシスを爆発させて呪術を使うと効果は抜群になると記載されていました。当時の僕は「カタルシス」という言葉の意味が解からなかったので辞書で調べて、日ごろ心の中に鬱積しているもの解放し、それにより快感を得ることで心が浄化されることを知りました。僕は自分の部屋で丑三つ時に、いじめられて悔しくて悲しい気持ちを爆発させて号泣した後に「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」と九字の呪文を唱えて不動明王に「死なない程度に痛めつけてくれ」とお願いしました。

 僕をいじめていた同級生は人とすれ違う時にいつも肩をわざとぶつけてくる人でした。クラスの何人かは迷惑をしていましたが、相手にはしていませんでした。しかし、僕が早九字を切ってから2週間程したところ、ちょっとした騒動が起きます。教室の入り口で、ちょうど訪れていた別のクラスの男子と僕をいじめていた同級生の肩がぶつかって喧嘩が始まります。別のクラスの男子は同級生より体が大きく身長は190センチ近くあります。いつものように、わざと肩をぶつけた同級生は相手の機嫌を損ねました。同級生は襟首を鷲掴みにされて顔面を数発殴られます。そのうえ、襟首を掴まれたまま教室の外の廊下の壁に何度も叩き付けられる始末です。同級生は全く抵抗できず別のクラスの男子に蹂躙されるままでした。僕が騒ぎに気が付いたのは同級生が壁に叩き付けられて学校中に大きな音が鳴り響いた時でした。

 「ケンカだー!」の叫び声の元に周りから野次馬が100人近く集まります。近くの教室の男子はほとんど集まります。「ぶちのめせ!」「殺せ!」「殺してしまえ!」野次馬の無責任なヤジが飛び交います。同級生は鳩尾(みぞおち)に蹴りを入れられて、何度も壁に打ち付けられます。僕をいじめていた同級生が殴られていることを知り、すぐに呪いの効果が出たと思って、始めは達成感と驚きを感じていましたが、何度も叩き付けられる爆音を聞いているうちに、だんだん怖くなってきました。

 もう、この辺でいいんじゃないかなと思っても中々喧嘩が収まりません。僕は不動明王に充分であることを伝えて教室で再び早九字を切ることにしました。教室の中の同級生のみんなは喧嘩に夢中で後ろを向いている人はいません。僕は教室の壁越しに裏から喧嘩をしている二人に向かって、一度早九字を切りました。しかし、喧嘩はしばらく収まりませんでした。慌てていて集中していなかったのでしょうか。同級生の一人に早九字を切っている所を見られて、何かしているのだろうかという顔をされていたような気がしました。だんだん僕は焦り始めます。緊張をある程度、解くために呼吸を落ち着けて集中力を上げて、もう一度早九字を切りました。

 早九字を切った後で、一呼吸をした時でした。「えー?」と野次馬が一斉に叫び声を上げます。同級生を殴っていた別のクラスの男子が「突然、アホらしくなった」と言って去って行ってしまったのです。喧嘩は呆気なく終わりを迎えたのですが、二人の喧嘩の間に割って入って止めていたもう一人の同級生が「胸が苦しい」と体調不良を訴えて保健室に行く羽目になりました。一度目の早九字で同級生が喧嘩を止めに入るように突き動かされて、二度目の早九字で怒気が浄化されたのでしょうか、二人の間にいた喧嘩を止めていた同級生は二度目の早九字に当たって胸が苦しくなったのでしょうか、それは分かりません。でも、今考えると全て辻褄があってくるのです。それから数日後、僕は学校の帰りに砂利道で乗っていた自転車が転倒した時に手を付いた際に両手を砂利で皮が剥けてしまいました。ちょうど、両手の神秘十字がある所の皮が剥けて膿んでしまいました。高校生の時に、祖母がお不動様(不動明王)のチカラを勝手に使ったから罰が当たって呪術の印が結べなくなったと言われても意味が解からなかったのです。

 このエピソードを切っ掛けに呪術の本に書いてあった通りに呪術は効果がある。早九字は壁越しでも効果がある。落ち着いて集中力を高めてやる必要がある。そういったことが僕の十代の忘れられない出来事になって、トラウマとして残ったのかもしれないです。

 でも、この話は全て僕の幻覚妄想の症状で実在しない出来事かもしれません。

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