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どうする団塊ジュニア世代(#19)<革命返し>


introduction

敗戦後の第一次ベビーブームにより誕生した世代は「団塊世代」と呼ばれ、戦後日本の復興に大きな影響を与えました。

私は戦後日本を早急に復興せさるため、何者かが恣意的に第一次ベビーブーマーを団塊化させたのではと推察します。

あくまで個人的な見解ですので、ホラ話と思って読んで下さい。

『大富豪』

『大富豪』というトランプゲームをご存知ですか?
我が家では正月に実家で『大富豪』大会が実施されます。
2回連続最下位になった人は罰ゲームとして庭に投げ込まれたミカン(現在はオレンジのピンポン玉)を取りに行くという超ローカルルールがあります。
この罰ゲームは20年以上続いており、自分達の子供世代にも継承されています(もちろん50歳前後の親世代にも適用されます)。

どうしてそれが罰ゲームなのか?
皆さん、当然そう思いますよね。
私が住んでいる地域は正月頃、軽く氷点下10度以下になります。
当たり前に庭には雪が積もっています。

しかも裸足で取りに行きます(ココがポイント)。
私も罰ゲームの経験が多数ありますが、氷点下の中、裸足で雪の中を20メートル程走ると二度と負けたく無いという断固たる意志が生まれます。
ちなみに今年の被害者は21歳と15歳の甥っ子でした。

雪中を裸足で走る15歳

革命返し

その『大富豪』で「革命」という迷惑なルールがあります。
同じ数字の札を4枚同時に出すと「革命」が成立します。
「革命」が成立するとカードの強さの序列が真逆になります。
そうなると「革命」を起こした者以外の手札はとっても不利になり、その後の戦局が大きく変わります。
それが迷惑なルールと言った所以です。

その「革命」をブロックするのが、「革命返し」です。
「革命」が成立した時点に、別の者が更に同じ数字の札を4枚出します。
そうなると「革命」の「革命」となり、カードの序列が元に戻ります。
これが「革命返し」です。

ココまで来ると当事者以外のプレーヤーは、何が起こっているのか訳がわからない状態になります。
多分、「革命返し」をした者も勢いでやってしまっただけで、特段深い意味が無いことがほとんでです。

それを戦略的にやって退けたのが徳川慶喜であると推察します。

大政奉還というギャンブル

徳川慶喜は「倒幕の密勅」が発せられるタイミングで、「大政奉還」を断行しました。
おそらく過激的な武力倒幕路線に対抗するため、薩長同盟あたりから密かに奥の手として構想があった感があります。

四侯会議で雄藩に上から目線で対応したのも、その後武力倒幕の方向に進むのも折込済みだったかもしれません。
事実、四侯会議後に西周という学者に大政奉還による政治のあり方について急ピッチで研究させたりしてます。

当然、「倒幕密勅」に連動しての倒幕軍出兵も把握しており、「大政奉還」は、そのタイミングで断行するのが、倒幕のコシを折る絶好のタイミングであると考えていてでしょう。

何しろ倒幕という最大の目標が、幕府側によって実行されてしまうのです。
戦意喪失は間違いありません。

「倒幕の密勅」を「大政奉還」で無力化する。
これが慶喜の考えた革命返しです。

しかしながらそれはロジックの話です。
石田三成は関ヶ原の合戦でロジックに固執してしくじってしまいます。
足し算自体は間違っていないのに、足し算のルールを変えられることもあるのです。

慶喜も間違ってなかった。
島津久光や毛利敬親が相手なら問題無かったかもしれません。
しかし既に相手方のプレイヤーが変わっていたのです。
しかも相手は関ヶ原以来、積年の恨みを持っています。
その恨みや辛さは下級武士ほど強かったはずであり、既に多くの同志が犠牲になっています。
そこには理屈では説明できない感情が存在します。

それは屍の上を歩き天下を取った神君には理解出来て、慶喜には理解出来なかった事です。
関ヶ原の合戦と逆の構図になったのも因果関係を感じます。

「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」という言葉をご存知でしょうか?
サンクコスト効果のことで、回収不可能と分かっていながら、更に投資を続ける心理現象のことを言います。
ギャンブルで負け込んで、もう勝てないと分かっていながらも一矢報いるまでは気が済まないという経験はありませんか?

慶喜はそんなことは損得勘定で無駄だと判断し、雄藩の志士達は幕府を武力で叩き潰さないと気が済まないとうサンクコスト効果が作用していました。

大政奉還は慶喜にとって負けることの無いギャンブルでした。
その損得勘定では測れない部分が、大政奉還という革命返しを無効化した原因であると推察されます。

次回、慶喜がどのように大政奉還という革命返しのカードを切ったのかという話をします。
いつまで大政奉還を引っ張るのか。こうなると、それも見どころです。
<続く>

次の話



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