見出し画像

取材日記 精神科医の苦悩

 精神科医のインタビューをするときは、普通の医師より時間を倍も取らなければなりません。というのも、彼らは仕事で常に患者の話ばかりを聞いているので、たまには自分の話を聞いてもらいたくなるみたいです。

 だから、予定時間が1時間だとすると、倍の2時間以上も一方的に話して止まらないことが多かったです。医師たちも、心に不安や葛藤を抱えているんです。

 精神科医は患者から恨みを買う職業らしく、みんなその部分を恐れていました。たいていは、「病状がよくならないのは、薬の処方が悪いからだ。先生を恨むからね」と言われるそうです。それに加えて、男女関係なく患者から恋愛感情を持たれてストーカーされる医師も多かったです。やはり真剣に話を聞いてもらうと、人はその相手に好意を持つものなのでしょう。
 
 また、春先になると決まって「宇宙から電波が来た」と言う患者が来て、それを真面目に聞くのが辛いと打ち明けた医師もいました。本当はもっと患者に向き合ってカウンセリングに時間をかけたいけど、それだと儲からない診療報酬システムになっているので、結局は薬漬けになるのが今の精神医療だとか。

 「眠れない」と言われて、何カ月も求められるまま睡眠薬を処方するのは日本だけ。海外ではよほどのことがないと薬は出さないし、出しても2週間でやめるようにアドバイスするみたいです。

 少し気分が落ち込んだだけでも、「うつ病」と診断して薬をたくさん出し、儲けている精神科医もいます。精神医療にもさまざまな闇があるんだと感じました。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?