真実を知っている人

事件が起きた時、その事実を知っている人は加害者と被害者しかいない。

人前で犯罪をするお馬鹿さんならともかく
基本的に犯罪は夜とか人の気配がない場所で行われる。

だから事実を知っているひとはこの世で二人だけ。(複数犯は除く)

そして加害者は大抵嘘の証言をする。

私が被害者だ、と言ったり

あいつは病気だから嘘を言うんだ、と言ったり

自分を守るためならなんだって言う。 

つまり真実を語れるのは被害者ただ一人なのだ。

真実を自分ただ一人しか知らないということは

被害者をより孤独にさせる。


自分しか真実を知らないということは

被害者にとって背中に重く大きなものを背負っている気持ちになる。


それは重くて苦しいから早く下ろして楽になりたいのだが、

下ろし方なぞ知らない。


さらに血が出ているみたいに、黙っていても誰かが

「大丈夫ですか」と声をかけてくれるものではない。

自分で大丈夫じゃないです、と

どれだけ強がりでも自ら言わなくてはならないのである。

自分がまず話さないと、

声をあげないと

道は開けないのだ。

それがどれだけ大変なことか。

言ったらどうせ叩かれる。

言ったらどうせ嘘つき扱いされる。

そんなこと、わかっていても、言わなくてはいけないのである。

背中に背負ったもので潰されそうだからである。

そもそも被害にあって、心に負荷を負っているのに

そんなパワーどこにもないのである。


例えば世間の性加害のニュースを見ていても思うが、

被害者は孤独だったろうと思う。

真実を知っている人は世界でたった一人。

加害者はその存在を恐れる。

どうか負けないで。


つづく






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