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"Fill your boots!"

"Fill your boots!" 意味ご存知ですか


今回は
こちらのフレーズ
"Fill your boots!"
です。

"Fill your boots"の意味


意味: 好きなだけ〜しなさい

他の表現: Help yourself! Be my guest!

小説スタイル"Fill your boots" 



ホームスティファミリーの方が
本当のファミリーみたい
と思ってしまう程
エイデン家は
愛情とあたたかさに満ちていた。

有菜の家庭環境が
決して悪かったわけではないが
有菜が成長するにつれて
家族旅行の回数は減り
家族みんなで
食卓を囲むことや
会話をする機会さえ
減ってしまったような気がする。

対照的に
エイデン家は
驚くぐらい
家族全員仲が良い。

アレックスは
高校生らしいが
反抗期は終わったのか
両親とも
とても仲良く
会話を楽しんでいる。

姉のレイシーは
遠方に住んでいるにも関わらず
毎週末
車を飛ばして
意気揚々と
実家に帰省する。

海外の方って
やっぱり
家族仲がいいのかなぁ。
と思ったが
国籍関係なく
家族の在り方は
家庭によって
様々なのだから
一概に
ひとくくりには
できない
ような気もする。

エイデン家にお世話になってから
約3ヶ月が過ぎた。

ホームステイは半年間の契約だから
ここにいられるのも
後1ケ月弱ということになる。

ホストマザーのケリーは
「契約期間後も、
有菜が良ければ個人的に契約できるし、
好きなだけここにいてもいいのよ。
有菜は私たちにとって
娘同然なんだから。」
としきりに声をかけてくれる。

嬉しさの反面
どうしてここまで
よくしてくれるんだろう。
と疑問の方が強かった。

そんなある日
夕食の席で
有菜はついに
自分の疑問を
ぶつけてみた。

「あの、なんでそんなに家族仲がいいんですか。」

食卓が静まりかえった。
やっぱり唐突すぎたかな
と思ったが
一度出した質問を
ひっこめることはできない。

突然
ホストファザーのケビンが
"well, Fill your boots!"
と笑顔で
出来立ての料理を
運んできた。

bootsなんて持ってきてないけどな…。
有菜が戸惑っていると
"Please eat as much as you can!"
と笑顔で
勧めてくれた。

あぁ
"Help yourself!"
ってことか。

と思いながら
各々
熱々の料理を
お皿に取り分ける。

やっぱり
私の感覚が可笑しかったのかな。

食べながら
思っていたら
"Arina, the question you asked us earlier..."

声をかけてくれた。

その後
話してくれた内容は
アレックスが
中学生の頃に
反抗期に入って
家庭内が
少しずつ
ギスギスしはじめたらしい。

みかねた
ケビンが
毎日とは言わないから
せめて週一回だけは
家族揃って食卓を囲みたい。
家族が永遠に
一緒にいられるわけではないし
いつかみんな巣立っていく。
だから
一緒に過ごす時間を
大切にしたい。
といったことを
家族全員で
話あったそうだ。

失礼ながら
あの時
有菜は
すごく陳腐な発想。
と思っていたけど
家族の元を離れて
一人暮らしを始めた
有菜は
時々
ケビンの話しを
懐かしく思い出し
今なら少しだけ
ケビンの気持ちがわかる気がする。
と思うのだった。

今夜は
久しぶりに
友人がご飯を食べに来てくれる。
"Fill your boots!"
と言って
笑顔でもてなそう。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。




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