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二次障害に隠された四つの目的

授業中に立ち歩く子
友達を叩く子
隣の答えを見る子

、、、不思議に思いませんか。
なぜ子どもは怒られると分かっているのに不適応行動をとるのか?

後先考えず「衝動的だから」の一言では答えになりません。
何か不適応行動を取らざるを得ない理由
つまり「目的」があるのです。

前回「A環境→B行動→C結果」、3つの枠組みで問題行動を捉える応用行動分析を紹介しました。

今日はさらに問題行動の「目的」にアプローチをします。

環境、 行動、 結果、 そして目的。
これらをアセスメントすることでエビデンスある支援を行うことができます。
今日はABA(応用行動分析)の「目的」について一緒に学びたいと思います。



ABAでは、子供の不適応行動には4つの目的があると言われています。

4つの目的とは
①回避行動
②要求行動
③注意喚起行動
④自己刺激行動

不適応行動は、これら「目的」があって生じている現象なのです。


①【回避行動】回避しすぎる!?

・授業がわからない
 →回避するため教室を飛び出す。
・聴覚過敏で嫌な音がする
 →回避するため大声を出す。
・嫌いな食べ物がある
 →回避するためお皿を投げる

これらはすべて自身が嫌なことを「回避」するための行動が結果的に不適応行動になったものです。
本人にとって怒られようと何だろうが回避できればよいのです。

そのため、不適応行動を修正したいのなら、本人の「目的」を考慮してアセスメントをしなければいけません。

A(原因)嫌いな食べ物が目の前にある

【目的】食べ物を回避したい

B(行動)お皿を投げる😡

C(結果)怒られても食べることを免れる

回避行動への対処方法として、「A 環境調整」と「B代替行動」のアプローチをします。

・Aの嫌いな食べ物に対して
 ☑︎食べやすく小さくする
 ☑︎味を変えるなどの工夫をするなど

・Bのお皿を投げるに対して
 ☑︎口頭で少なくしてもらうお願いをする
 ☑︎飲み物と一緒に食べるなど

・C怒られるに対して
 ☑︎少しでも食べたら褒める

具体的な対応方法を一緒に考えることで、パニック・不安が強くなる二次的障害を防ぎます。

パニックになっては遅いのです。
落ち着いているときに、事前に話し合うことが大切です。


②【要求行動】要求しすぎる!?

ご飯が食べたい おもちゃが欲しい 一緒に遊んで欲しい。
これら、要求行動は幼い頃には誰にでも見られます。
しかし要求が強すぎて周りが困る程だと不適応行動とみなされます。

要求行動が認められるとその行動は強化してしまいます。

「もっと遊びたい!遊びたい!」泣き叫ぶ
↓  
自分の願いが叶う
  ↓(強化)
また同じように泣き叫ぶ方法が再現される

いわゆる「誤学習」です。
早期の対応が必要です。

要求行動への対処は「A原因」へのアプローチです。
例えば、お迎えの時間、子どもの『もっと遊びたい!」という要求行動。

☑︎帰る前の細かな事前の声掛け
☑︎時計の視覚化
☑︎気分が落ち着く活動
 
など見通しをつけて不適切な欲求、行動の発生を予防します。

☑︎帰ったら、ハンバーグを食べよう
など 遊びたいと言う欲求以上に期待感のある「C結果」を用意すると切り替えもしやすくなります。


③【注意喚起】見てほしすぎる!?

いわゆる「かまって欲しい。」
それが注意喚起行動です。
子供が幼い間は、信頼できる大人に注目を発します。
かまって欲しいという思いは不適切ではありません。

しかし、年齢が上がると、周囲の状況に合わせて動くことが求められます。
社会の許容範囲を超えると不適応行動となります。

A(原因)先生が他の子を褒める

【目的】先生に見てほしい!

B(行動)わざとふざける😜

C(結果)怒られても先生がかまってくれる

注意喚起行動は、性格的に不安が強い子、ASDのように過敏な子はより強くなります。

「B行動」には適切な代替行動を一緒に考える。
「C結果」には、スルーと適切な行動だけ強く反応する。

などの本人の心理面を考慮して対応するアプローチが考えられます。
スルーをすると一時的に不適応行動が強まります。
Aの環境調整、Bの代替行動とセットで対応しましょう。


④【自己刺激】感覚欲求が強すぎる!?

無意識に感覚刺激を求める行動を自己刺激行動と呼びます。

幼いうちは走ったり、木登りが大好きだったりします。
体を発達させるために、感覚器官を動かし感覚刺激で発達を促そうとするからです。

自己刺激行動は発達過程で必ず起こります。
乳幼児期を過ぎれば動きたい欲求があっても、ある程度は我慢できるようになります。

しかし、体の発達が遅い子、 ASDで感覚鈍磨を持っている子、ADHDで多動性が強い子などは感覚刺激への欲求が強くなります。

A(原因)多動性

(目的)発散したい!

B(行動)立ち歩く😡

C(結果)怒られる、、二次障害

大人から見ると、不適応行動とみなされます。

本人もやめようと思っても止められず、注意を繰り返し受けるので、二次障害につながる原因となります。

自己刺激行動への対策としての「A原因」の環境アプローチが有効です。

☑︎最初から危険なものは移動撤去する
☑︎飛び降り可能なマットや簡単に握れるものなど用意する

自己刺激行動を安全に行える環境を用意します。

感覚の欲求は、体の発達から来る現象です。
適切な時間に十分に運動感覚遊びを積み、発達を促し自己刺激行動を減少させます。

行動は年齢が上がると本人も自己理解する子が増えます。
☑︎「廊下を1周してきていいですか?」
 など大体行動を考え、援助要求スキルを身に付けさせます。



以上、不適応行動の「4つの目的」を紹介しました。
目的を把握すること含めてが「アセスメント」です。
ABCの分析、 さらに目的の把握。
ここまでアセスメントして、適切な対応支援ができます。

不幸になりたくて、不幸になる子はいません。
その子が社会で適切に認められるよう一緒に生き方を考える。

応用行動分析によって支援者も子どもも不適応行動に納得し対応策を練ることができます。

精神論ではない、アセスメントによって二次障害を防ぎましょう。


【参考】


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