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何でもかんでも詰め込みすぎなんだよ!と思ったあのころ

「米がないよ!」
と、娘からのLINEのメッセージ。
「もうちょっとで送るから、待ってて!」
と、返す私。

待ちに待った岡山からの米。ふるさと納税で申し込んでいた米が届いた。
岡山に縁はないが、地震で被害があったことがきっかけで、岡山にふるさと納税を申し込んでいる。一度食べたら美味しくて。この米と、野菜と……。娘宛ての段ボールにどんどん詰めていく。

あれは、昔私が会社員だったころ。
母から野菜や果物などの詰まった宅配便がよく送られてきた。
確実に届くように、ときには会社宛てにも届いた。会社の近くで一人暮らしをしていた私には好都合だった。会社の車を使って、ちゃっかり段ボールを家に運んだこともある。

段ボールを開くと、食べきれない量の果物やお菓子。
物を詰めすぎて、下にあったトマトが潰れていたときには、びっくりした。
なんで、こんなに詰め込むの!
隙間なく、ときには食べかけのお菓子の袋が、輪ゴムで止めて入っていたこともある。

会社に荷物が届いたときは、私はその場でナシやリンゴを剥き、みんなに食べてもらった。
せんべいが、一斗缶でドンと送られたことも。それも会社に置きっぱなしでみんなに分けると、「おいしい」「おいしい」という声が。
あの当時は、何でもかんでも量を多く送ってきて……と、思った。
しかし、思い出してみると、ああして母は、会社の人に感謝の心を伝えていたんだと思う。いたらない私がお世話になっている、せめてものお返しに。
私も、アットホームな会社で、みんなと和やかな時を過ごせた。

今、私は娘の荷物を用意している。
去年の春から一人暮らしをしている娘に向けて。
この「こたつソックス」は冷え性の娘にもいいんじゃないか。あと、この野菜を入れて、ちょっとでも栄養を付けてもらいたい。あとは何があるだろう。食品ストック置き場や冷蔵庫をごそごそ探す。隙間にあれもこれも押し込んじゃえ。こんなに詰め込んだら、娘に迷惑がられないかな。

できあがった段ボールの箱は、パンパンに膨らんでどう見ても不格好だ。

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