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2023年1月 ドライバルク市況滑り出しと今後の展望

年明けからドライバルク市況も冴えない展開が続いております。

2023年の市況を占う上で、限定的な新造船供給量を背景に、先ずはゼロコロナ政策からの脱却を図る中国の今後の経済活動再開に期待が持たれるところ。本格的な経済活動再始動からのインフラ整備/不動産投資とスムーズに事が運べばベストですが、同時に各国のインフレ抑制関連の政策動向も絡んできますので相変わらず流動的な状況が続きそうです。 

また、今年から施工(しこう)開始の環境規制(CII, EEXI)を受けての減速航海増加。これによる船腹供給の引締め効果にもある程度期待が持てるかと思います。 

このように、市況にポジティブに作用するであろう材料は存在しながらも、世界景気の行方/コロナ関連/ウクライナ情勢、と不確定要素も多数存在しております。

この内の一つでも正常化し軌道に乗れば、市況も跳ねて、Capeであれば2022年の最高値USD 38,000レベルをも突き抜けるポテンシャルは有ると考えております。

それではCape sizeからHandy sizeまで各船型の現在をもう少し掘り下げてみていきたいと思います。

 CAPE:

12月中旬からクリスマス休暇前の駆け込み需要が発生し、瞬間的な盛り上がりを見せましたがその駆け込み需要も12/21でストップとなり、それ以降は、蓄えた貯金を切り崩す格好で年末/年始から現在に至るまで下降トレンド継続中となります。

1/11(水)時点のBCI 5TC averageは$12,188となり、年末の最終営業日(12/23) から現在までに30% overの下落率となっております。

 世界的にリセッションへの警戒感/インフレ懸念を抱えております現在の軟弱な地合いの中、季節的にも現在は例年 各regionでの荷動きが停滞する閑散期ですので日々の下落は致し方なしかと思いますが、昨年の今頃と比較すれば足元の下落幅は穏やかにも感じられます。

昨年同時期の最安値は 2022/1/26につけた USD 6,000となっておりますので早めに旧正月入りする今年はどうなるのか?

 今現在、既に旧正月突入前の駆け込み的な需要が始まっていると見てよいのか、足元ではDampier出し, Itaguai出しの他、Mauritaniaから中国向けの鉄鉱石輸送にある程度動きが有り、来週の半ば頃まではある程度の需要が見込まれております。

///Panamax & Kamsarmax///

昨年12/16より下降トレンド入りし、現在(1/11)迄に13営業日続落のBPI 5TC average $10,137. とかろうじて$10,000台に乗っておりますが、日々の値幅推移から近々の下げ止まりは見えてこず$10,000を割り込みそうです。

しかしながら、足元のFFAは反転の兆しが見えてきており、旧正突入前のミニ駆け込み需要と共に来週は短期的な反転を迎えそうな気配です。

Physical面では、Atlantic, Pacificに差異は無く、両域共に主要ルートで需要低迷 船余りの状況。昨年末より先ずPacificが需要減少し、南米東岸へ向けてのバラスターが増加、その結果 現在は南米東岸トレードの大半はAPSベースでの成約となっております。

 このような状況下で今後の好材料を強いてピックアップすれば、
今後も輸入量の伸びが期待されるギニアからのボーキサイト輸出の一定需要の存在がございます。

 今後の注目ポイントの一つ、///中国の豪州炭輸入について///
2020年に非公式に禁輸措置が取られてきた豪州炭について、
先週 中国政府は国内電力会社3社と鉄鋼メーカー1社に対し再開を許可した模様です。

中国はエネルギー安全保障確保の必要性が高まる中、豪州炭の輸入を徐々に再開し、国内鉱山会社に増産を促していく方針。対ロシア制裁の影響による価格高騰に加え、中国の石炭需要は2023年に前年比で2%増加すると見込まれており、中国国内電力の約6割は石炭火力となりますので燃料炭確保に注力しております。 

しかしながら、今のところは豪州炭中国向け輸送量に目立った増加は無く、中国としては引き続き安価なロシア炭の購入、ネシア炭という選択肢を持っている為、急いで値の張る豪州の高品位炭を購入する必要は無いようです。

今後中国の経済活動再開が進むにつれ徐々に豪州炭輸送も増加していくといったところでしょうか。

///Supramax & Handy///

BSI 10TC average は1/11現在で13営業日続落の$8,387.
週明けにやや下げ幅を縮める瞬間が有り$9,000付近での抵抗を期待しましたが未だ下げ止まりは見えず。

クリスマス休暇から年末年始、その後旧正月突入とシーズン的には全体的に需要/物流が停滞する時期にて、現在のシナリオは想定内ですがやきもきする展開が続いております。

 AtlanticではUSG発に一定量の荷動きがございますが、North AtlanticからのTonnage流入により下向きの圧力増加。Pacificではネシア炭の中国/インド/台湾等 各direction向けの輸送が散見されますが、域内のTonnage積み上がりを消化しきれず。旧正月突入前に瞬間的な需要増加があるのか、注目です。

BHSI 7TC averageは 昨年12/8以降19営業日続落のBHSI 7TC average $9,380.
兄弟船型Supraと比較すれば日々の下げ幅は縮小傾向ながら、Atlantic/Pacific両域共に需要少なく反転の兆しはまだ見えてこず。

Atlanticで南米東岸出しのTransAtlantic tradeが踏ん張っているようですが抵抗虚しくという状況。来週中頃までの需要増加に期待です。

FFAが先に反発してからのSpotレートの追従、旧正突入前に若干の抵抗ありながらもトレンドに変化は無く、旧正明け以降 どう動いてくるか?といったところかと思われます。

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