労働組合についての報告会

 前回のブログから大きく時間が経ってしまった。色々あったことを書き連ねていこう。

 先日、知人に誘われて、とある自治体職員の労働組合活動をやっている方の報告会に参加した。

 報告者は高井一聴さん。横浜市の自治体労働者で、現在は自治体労働組合の専従職員として働いている。当日は高井さんの取り組んできた労働組合運動や、朝鮮学校との関係構築について報告があった。
 高井さんは所属組合の歴史的経過を研究した。横浜市職労は結成当初から綱領を掲げており、積極的な運動を展開していたが、時代を経ることに官僚主義的で市民生活をおざなりにする傾向が出てきたこと、政府の労組への攻撃が強くなるにつれて組合活動の長期低迷が続いていたようだ。その中でも昨今はカジノ誘致に対する反対運動や、コロナ感染症拡大を受けての機関紙運動の強化など、突破口を見つけていった。

 とりわけ機関紙活動は、コロナ渦で組合員が集まりにくくなっている中、「労働者としての自覚」を確認し、連帯感を育む数少ない武器の一つとして、積極的に取り組んでいった。組合員の求めに応じて、外部の人の記事も取り入れたり、性的マイノリティの職場の権利や、コロナ化の学生の窮状など取材するようになり、支持を集めていったとのことだ。

 もう一つ、高井さんの活動で特徴的なのが、朝鮮学校との関係構築である。朝鮮学校の授業料無償化問題など、具体的に自治体が直面している問題にたいし、高井さんは積極的に朝鮮幼稚園に取材する、神奈川の朝鮮人青年団体と交流を深めるなど対応し、連携を深めていった。朝鮮バッシングが凄まじい日本社会において、自治体職員レベルでこうした活動を続けられるのは、単純にすごいことである。地道に機関紙活動で組合員との信頼関係を構築した上で、さらに地域住民の激励を受けたことで成し遂げたとのことである。

 高井さんは労働組合という場では珍しい、久しぶりに熱いパッションと知性を感じる人だ。労働組合、というとあまり縁がない人にはイメージがつきにくいかもしれない。ただ一ついえることは、今労働組合はどんどん衰退しているということだ。僕の所属する労働組合(略して労組)も役員のなりてがいなく、困ったという話題を繰り返しては解決策も見つけられず、少しずつ役員は減っている。
 また、労働組合は単なる職場の縁で繋がることもあり、他の市民運動と比べても、自覚的に加入して運動を盛り上げられる人は少ない傾向を感じる。職場の人間関係、信頼関係などで労組での活動がポジティブにうつるかどうかも大きい。たいてい、多くの職場では労働組合の存在は頼りになるというかは、「偏った考え」の人が集まる場所、というイメージが先行するのだ。

 そうした中で運動を盛り上げようと計画的、理性的に動ける人は少ない。もちろん僕もたいして動けていない一人だ。高井さんは現実的に突破口を見つけようとする数少ない人である。
 何より、労働組合が抱えている問題を正面からとらえ、具体的な道筋を見つけて実現する様は、聞いているこちらも小気味よく、あぁ、これなら自分もやってみたい、高井さんほどではないにしろ、労働組合を面白い場にしたい、という希望を感じるのだ。

 もちろん他人の話を聞いたところで、今の自分が抱えている問題と正面から向き合わなければ何も変わらない。僕は僕なりに、希望が持てるような楽しい労働組合を作っていけたらと考えている。

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