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カンボジアに移住してよかったこと&気になること【メリットとデメリット】

私たちは2023年5月にカンボジアのシェムリアップという街に移住してきました。

その前はシンガポール、ジャカルタに住んでいたので、海外生活はこれが3カ国目です。それぞれの土地に魅力があるので、一概に比較することはできませんが、今のところシェムリアップでの生活に2人とも大満足しています!


近年では「海外移住」というキーワードがより身近なものになり、具体的に検討する人も増えてきたように感じています。直接の知り合いでも、最近海外に移住した人が何組かいました。

東南アジア圏でいうと、タイやマレーシアが日本人に人気のようですね。特にバンコクはもともと日本人が多い都市なので、暮らしやすい環境が整っているのだと思います。


一方で、カンボジアの場合は上記の国々と比較すると、日本人の数はまだまだ少なめです。

「旅行先」としてのイメージはあっても、「移住先」として候補に挙げる方は少数派なのだと思います。一般的なイメージとして、「開発途上国」「貧しい国」「内戦があった国」などマイナスの要素が一部先行しているのかもしれませんね。


ただ、実際に現地で生活してみると、そういった暗い影を感じることはほぼありません。もちろん現実的に多くの課題や負の歴史を抱えている国であることは確かなのですが、それらを上回るほどの魅力があると個人的には感じています。


まだあまり移住先としてメジャーな選択肢ではありませんが、人によってはメリットも多いです。そこで今回は自分たちの経験をベースに、カンボジア移住の良いところ(メリット)、そして気になる点(デメリット)をまとめてみました。


「カンボジアに移住してみようかな?ちょっと気になるな」という方の参考になれば幸いです。なお、記載している内容はシェムリアップでの生活が基準となっている点をご了承ください(もちろんカンボジア全般に共通する部分も多々あります)。


【1】カンボジア移住の良かったこと

(1)年間を通して安定した気候

実際にカンボジアで暮らし始めてから特に実感しているのは「天気の良さ」です。もちろん雨季になれば土砂降り(スコール)もあるのですが、基本的に晴れているときはカラッとした綺麗な青空が広がるので、とても快いです。

日照率が高いだけで気分が明るくなりますね。ちょっと話が逸れますが、大気汚染が深刻なジャカルタに住んでいた頃は、日々青空が恋しくて仕方ありませんでした。花粉も無いので、洗濯物が日干しできるだけでもありがたいです。


カンボジアの気候区分は、常夏の熱帯モンスーン。一年を通して気温は30℃前後です(3月・4月には40℃になることも……)。四季が無い代わりに、雨季と乾季が存在します。暑そうだな……と思われるかもしれませんが、日中は扇風機があれば室内で十分過ごせるレベルなので、日本の真夏の方が厳しいかもしれませんね。

私たちは二人とも冬が得意ではないので、カンボジアの気候はちょうどいいくらいです。「夏の方が好きだ!」という方には合っていると思います。


また、カンボジアは地震などの自然災害のリスクが低いです。もちろんゼロという訳ではなく、洪水や旱魃、落雷など被害も出ているのですが、地震のリスクが少ないだけでも多少の安心感はあるなぁと感じています(もしも地震のある地域だったら、石造大伽藍のアンコール・ワットは現代に残っていなかったかもしれませんね……)。


(2)自然が多い

シェムリアップは、いわゆる「街」ですが、トゥクトゥクで10分も走ればすぐに自然豊かな光景が広がります。田畑や森が続き、とても長閑な雰囲気です。伝統的なスタイルの家々も並んでいます。


街中であっても、鶏の放し飼いを見かけますし、大きな牛がのっそり散歩をしていることもあります。「のんびり」という言葉がふさわしい環境です。
もちろんシェムリアップは観光地でもあるので、賑わっている繁華街エリアもありますが、「大都会!」という印象はほぼ皆無。


近年では開発によるカンボジアの森林減少が問題になっているようですが、それでもまだまだ自然豊かな環境だなと個人的には感じています。


(3)外国人率が高い

シェムリアップは世界的にも人気の観光地であるので、在住者だけでなく旅行者も含めると外国人率はかなり高いです。


コロナの影響で旅行者の数はだいぶ減ってしまいましたが、カンボジアの観光省によると2022年にカンボジアを訪れた外国人の数は228万人だそうです。おそらくそれらの多くがシェムリアップを訪れているのではないでしょうか。シェムリアップの人口が約25万人であることを踏まえると、ものすごい割合になりますね。


エリアにもよりますが、街を歩けば外国人に出会わない日はありません。個人的な肌感覚ですが、どちらかというと欧米系のお客さんが多い気がします。コロナ前は中国語や韓国語がどどーんと書かれた大型バスをよく見かけましたが、最近は以前のようにたくさん見かけません。


外国人率が高いことのメリットは、環境に溶け込みやすい点ではないかと思います。街を歩いていて必要以上に目立たない、というのは地味に重要です。


かつてインドネシアに住んでいた頃、住んでいた場所にはあまり外国人がいなかったため、近所を歩くとそこそこ目立ちました笑。具体的な実害はなくとも、日々生活するとなるとちょっと気になります。


その点、シェムリアップでは外国人が街を歩いているのが「日常」の風景であり、地元の人たちも外国人とのコミュニケーションに慣れている人が多いです。カンボジアの公用語はクメール語ですが、シェムリアップであればそこそこ英語が通じます。結構インターナショナルな街なんです。


(4)ビザが取得しやすい

くわしい手続きについては、別途ご紹介しますが、カンボジアは比較的ビザの取得条件が緩いです。

たとえば「E-Visa(業務ビザ)」は、収入や学歴による審査はありません。今後、要件が変更になる可能性もゼロではありませんが、毎年ビザを更新していけば長期で滞在することが可能です。


ビザ取得の費用(ワークパーミット等も含む)は、かなりざっくり計算して、年間1人あたり600USD程度。近年日本人に人気のタイのビザと比較してみると、だいぶ安いです。仮にタイランドエリートのGold(5年間)を取得するとなると、900,000バーツ(約24,500USD/365万円)となり、1年あたり4800USDほどになります。タイランドエリートに含まれる特典等を差し引いたとしても、だいぶ差がありますよね。

「海外移住したいけど何百万円も初期投資できないよ……」という方には、カンボジアのビザは手が届きやすいと思います。


(5)物価が比較的安い

「カンボジアの生活費はどれくらい?」という質問に対しては、個人差もありますし、住む都市によっても変動するので、明確な基準はありません。


ただ、私たち(2人暮らし)の例でお伝えすると、1ヶ月あたり1000〜1200ドル程度で生活しています。家賃や光熱費、食費、交通費、遺跡観光などのレジャー代などを含んだ金額です。


特に食費が占める割合が多いですね。私たちの場合だと、半分が外食&デリバリーで、半分が自炊です。自炊メインにしたり、もっと安い場所で食事を済ませたりすれば食費はもう少し抑えられるような気がしますが、「食」が楽しみの一つなので、今のところは現状維持の予定です。


家賃(300ドル程度)に関しても、もっと安く済ませようと思えば十分可能です。

ただ、私たちは基本的に在宅での仕事で、2人同時にZoomを繋ぐこともあるので、部屋が分かれているタイプの家を選びました。広めのバルコニーがあって、共有スペースには綺麗なプールと簡易ジムがついているので、シェムリアップの中では割と充実したタイプの賃貸だと思います。


(6)仏教国であること

これをメリットと感じるかどうかは個人差があると思いますが、改めてインドネシア(イスラム教多数派の国)と比較してみると、「しっくりくるなぁ」という感覚がします。

特にインドネシアで生活していて窮屈だと感じたことはありませんでしたが、強いて言えば「外でお酒が飲みにくい」というのが悩みどころでした。特にラマダン(断食)の期間は、飲食店でお酒が飲みにくくなります。外国人が多数利用するようなお店では、湯呑みやティーカップにビールを入れて提供していました笑。お酒が好きな方にとっては少し厳しい環境かもしれませんね。

カンボジアの仏教は上座部仏教、日本は大乗仏教がメインなので、異なる部分も多々あるのですが、根本的な感覚には通じる部分が多いです。

そんなに信心深い人間ではなくとも、街中で朝托鉢をしている光景を見ると、なんだか心が穏やかになる感じがします。


(7)おいしいカンボジア料理

「カンボジア料理」と聞いても、あまり具体的なイメージが浮かばないかもしれませんが、実は美味しい料理がたくさんあります!


観光ガイドブックなどにもよく「日本人の舌に合う味付けです」と書かれていますが、確かにその通りだなと自分でも感じます。


まずアジア圏なので、米がメインです。麺類も米粉を使ったものが多く、とにかく米をたくさん食べます笑。肉料理もありますが、それと同じくらい魚の消費も多いです。シェムリアップにはトンレサップ湖と呼ばれる大きな淡水湖があり、そこで獲れる魚はカンボジアの人々にとって重要なタンパク源になっています。


隣国タイ料理と比べると、辛さが控えめなのも個人的には嬉しい点です。また、香草を苦手とする方も多いかと思いますが、カンボジア料理ではあまり気になりません(個人差はあり)。


また、カンボジアはかつてフランスの植民地だったこともあり、フランス料理の名残もところどころにあります。カンボジアではバゲットをよく見かけますが、基本的にサクサクふわふわしていて、ハズレがありません。


前述の通り、外国人率が高いので、色々な国のレストランが軒を連ねていて、食のバリエーションが豊富なのも嬉しいところです。フランス、イタリア、メキシコ、インド、中華、韓国などなど……色々楽しめます。日本人経営の飲食店もいくつかあるので、日本食が恋しくなっても大丈夫。


外国人向けのレストランは相場より高めですが、概ねリーズナブルな価格で「食」が楽しめるのもカンボジア生活の良い点だと思います。


【2】カンボジア移住の気になること

ここまでカンボジア移住の良い部分をご紹介してきましたが、もちろんそればかりではありません。日本や近隣諸国と比べると不便な点もいくつかあります。

(1)医療体制が不十分であること

カンボジア移住の最大の懸念点は、医療体制です。

ふだん健康なときには気にならないのですが、いざという時にどうしたらいいのだろう……と考えるとやはり不安になります。


シェムリアップには日本人通訳が常駐している病院がありますが、大きな病気や怪我の場合には対応できないため、別の病院に移る必要があります。首都プノンペンで対応できればまだ良いのですが、大きな手術等が必要な場合には隣国タイ(バンコク)に緊急輸送されることが多いそうです。

ケースバイケースになりますが、持病があって通院が必要な方だと、ちょっと厳しいかもしれませんね。私たちは現在30代で、大きな病気も無いので、それほど大きなデメリットになっていませんが、高齢になった場合には色々考えないといけません。

このデメリットに対する策としては、まず保険に加入しておくこと。万が一、海外への緊急輸送が必要になった際に個人の資金ではとても対応できなくなります。保険代は決して安くありませんが、万が一の備えを準備しておくことはとても大切です。


もう一つは、健康診断・歯科健診を定期的に受けておくこと。カンボジアの医療体制ではすぐに治療できない可能性もあるので、早めの発見・予防をしておくことも大切です。私たちの場合には、日本に一時帰国をした際、積極的に健康診断や人間ドックを受けるようにしています。


(2)日本への直行便がないこと

カンボジアで生活していて、ちょっと不便だなと思うのは、日本への直行便がないことです。

距離的にはそれほど遠くないのですが、現状では乗り継ぎが必要なため、時間がだいぶかかります。バンコクから東京なら6-7時間なのに対して、カンボジアからだと最短でも10時間です。

とは言え、私たちが日本に行くのは年に1回程度なので、あまり大きなデメリットにはならないかなと思います。

また、2023年10月にシェムリアップは新空港に移転したので、もしかすると日本からの直行便が実現するかもしれませんね。今後に期待します!


(3)未発達なインフラ

おそらくカンボジア移住を検討する方の多くが気にされるポイントかと思います。日本と比べるとインフラ面ではまだまだ課題が多く、人によっては多少の不便を感じるかもしれませんね。

▶️電気について
ときどき停電することがあります。ただ、今のところは短時間で済んでいるので、それほど困ったことはありません。夜中にクーラーが使えなかったり、洗濯の途中で止まってしまったりすると「あちゃー」と思いますが、その程度です。

▶️水道について
日本のように水道水を飲むことはできません。料理などに使う水はすべてミネラルウォーターです。ただ、歯磨きは普通に水道水を使っていますし、野菜を洗うのも水道水で問題ないです。

▶️交通について
シェムリアップには、いわゆる公共交通機関は無いので、私たちはトゥクトゥクを利用しています。最近はアプリで簡単に呼べるので便利です。在住外国人の中には、自分でバイクを購入して運転している人もいますね。自転車という選択肢もあります。街自体がコンパクトなので歩いて移動することも十分可能です。


(4)政治体制と治安

これも生活していて直接的に影響がある部分ではありませんが、カンボジアの政治体制はやや不安定です。一党独裁が長年続いており、政治に関しては自由に発言できる環境ではありません。

ただ、自らデモなどに加わらない限り、直接的に被害を受ける可能性はかなり低いと思います。大使館等から発出される最新情報などに注意しながら、リスクのある場所には近づかないことが大切です。


また、治安に関しては、実際にシェムリアップで生活していて危険を感じたことはありません。夜遅くに一人で歩かない、大金を持って歩かない等の基本的な対策を守っていれば、大半のリスクは回避できるのではないでしょうか。

主に旅行客を狙ったひったくり等の軽犯罪はあるので、その点は注意が必要です。


(5)教育機関の選択肢

私たちの場合には直接関係はないのですが、もしもお子さんがいらっしゃる場合には、「学校をどう選ぶか?」というのが悩みの点になるかと思います。

首都プノンペンには小規模ながら日本人学校がありますし、インターナショナルスクールという選択も可能です。シェムリアップの場合、補習校はありますが日本人学校は無いので、インターナショナルスクール一択です。

ここ数年でカンボジアのインターナショナルスクールも増えましたが、実際候補に上がるのは数える程。「教育移住」を目的としている方の場合だと、まだまだカンボジアは条件的に難しいかもしれません。特に高学年のお子さんの場合、進学や受験をどうするのか具体的に考えておかなければいけませんね。


【3】カンボジア移住が向いている人

(1)こまかいことは気にしない人

個人的な経験を踏まえてお伝えすると、カンボジア生活は「こまかいことは気にしない」という人の方が合っている気がします(海外移住全般に言えることかもしれませんが)

上記のデメリットの項目でお伝えした通り、日本の生活と比べると多少不便な点が多く、それらを気にしているとキリがありません。カンボジアの人々は総じて「大らかな」タイプが多く、悪く言えば時に「いい加減」です笑。

また、衛生感覚も日本とは異なるので、いわゆる「潔癖症」という方にも厳しいかもしれませんね。

ただ、あまり細かいことは気にしない、大らかにゆったりと過ごしたいというタイプの方にはぴったりな環境かと思います。


(2)外国語でのコミュニケーションに抵抗感がない人

まれに日本語が通じる場合もありますが、カンボジアで生活する場合には基本的に英語またはクメール語を使うことになります。先で述べた通り、外国人率が高い環境なので、英語で対応できる人はかなり多いです。


ローカルの市場や郊外になると、クメール語でなければ通じないケースがほとんどになります。

日本人が多いシンガポールやバンコクであれば、日本語で利用できるサービスがいくつもありますが、カンボジアだとそうはいきません。自分で外国語(英語やクメール語)を使って、コミュニケーションを取ることが求められます。

生活するだけならそれほど高い語学力を求められることはないので、あまり心配はいりません。純粋な語学力よりも、コミュニケーション能力の方が重要かもしれませんね。


(3)あまり物欲・買い物欲が強くない人

カンボジアは日本と比べれば、圧倒的にモノ・サービスの選択肢は限られているので、「お買い物が大好き!」「新しいもの手に入れたい!」というタイプの方には向かない気がします。

一方で、ミニマルに暮らしたい方にはぴったりです。わたしもカンボジアで生活するようになって、だいぶモノの数が減りました。出勤しなくなったというのも大きな要因ですが、服は数着しか持っていません。

シェムリアップの街中を見ても、がっつりお洒落をしている人はほぼ見かけません。女性もノーメイクの人が多いような……。

カンボジアに移住してから、食料品・日用品以外で買い物をしたのは数えるほどしかありません。引越し当初はいろいろ入り用で買い揃えましたが、生活が落ち着いた最近ではほぼ買っていません。


とは言え、「何にもない」という状況でもなく、観光地なのでお土産系のバリエーションは豊富です。かわいい雑貨もたくさんあるので、そうした市場を巡るのは楽しいです。

ただ、日本ほど物欲を刺激する環境ではないので、あまり新しいものは買わなくなりました。買い物好きの人はちょっと退屈してしまうかもしれませんが、特にモノにこだわりが無い人にはぴったりな環境だと思います。


まとめ

2023年5月からカンボジアに実際に移住してみた感想を踏まえて、ここまでお伝えしてきました。

当然「カンボジア移住」と言っても人によってバラバラなので、今回ご紹介したものが全てではありませんし、異なる部分も多々あると思います。私たちが「メリット」だと感じている点でも、他の人からすれば「デメリット」に見えることもあるかもしれません。そのため、あくまで一つのケースとして参考にしていただければと思います。


ただ、冒頭でもお伝えした通り、私たち自身は今のシェムリアップでの生活に大満足です。約10年間でシンガポール、インドネシアと居を移してきましたが、総合的に考えると今の自分たちには一番合っている環境だと思っています。もちろん不便な点がゼロではありませんが、最もバランスが良いです。

気候や物価、食事といった生活に関わる要素に加えて、ビザなどの条件を加味した結果「カンボジア」という選択に至りました。

今回の記事では触れませんでしたが、遺跡が大好きだというのも大きな決め手です!首都のプノンペンではなく、シェムリアップを選んだ理由は、ずばり「アンコール・ワット」でした笑。利便性を考えるなら、プノンペンの郊外というのもアリだったと思います。


タイやマレーシアへの移住と比べると、まだまだ情報は少ないですが、実はカンボジアも移住先としての魅力は高いです。

もしも今回の記事をご覧になって、「自分に合っているかも?」と思われた方は、ぜひ具体的に検討してみてはいかがでしょうか?

いきなり移住ということではなく、まずは1ヶ月など短期で「試住」してみるのもオススメです。


noteでは引き続きカンボジア生活に関する内容を投稿していきますので、よろしければフォローしてお待ちください。



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