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【句集紹介】青水草 鈴木光影句集を読んで

・紹介

 この度、俳人鈴木光影さんより第一句集『青水草』をご恵贈いただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 光影さんの句はどれも確固たる季語の上に成り立っています。句をデッサンしたとしたら、季語がキャンバスのど真ん中に大きく描かれるイメージです。そして、シンプルな言葉をシンプルに。ぽつりとつぶやくように素描しています。

 またもう一つの特徴として、俳句らしいというよりも抒情詩らしいという感想がどの句にもあります。勿論俳句は詩の1ジャンルなので抒情と殊更に言い切るのはなんだか変な感じもしますが、俳句らしいというよりは自由詩に近い印象なのです。季語以外は観念的で抽象的で、より心情的な言葉を好んで使われているからでしょう。人によってはより難解に思われる句が多いと思います。しかしだからこそ、読者の思想・心情とマッチングした時の破壊力は抜群です。

 タイトルにもあるように、青く若々しい、清涼な句集でした。そして年が小生とそう離れていないことを知って衝撃を受けました。数年後この境地に小生はたどり着けそうもなく、羨望と同時にちょっぴり嫉妬したのは秘密です(笑)

 是非ご一読いただけたらと思います。

・厳選10句

初明り東京は脈打つている

印刷工木犀の香に洗はるる

牛丼屋悴むひとを照らし出す

この機械何の機械か秋暑し

母と子にひとつの孤独春隣

少年の涙痕に生ふ青水草

少しづつみんなが変で金魚草

立葵彼の世の方へ傾きぬ

遊郭の墓石と化しぬ夏の月

イスラムの青の祈りや冬の月

・作者略歴

1986年 秋田県生まれ、千葉県育ち。2014年 「沖」入会。2016年 「花林花」入会。2017年 評論《「合掌部落」の時間・「吹田操車場」の時間 ―登四郎と六林男の交叉点》にて第4回俳人協会新鋭評論賞受賞。2020年 「沖」同人。
所属 俳誌「沖」「花林花」。俳人協会、現代俳句協会、日本詩歌句協会、全国俳誌協会、世界俳句協会、宗左近・蕊の会各会員。「コールサック句会」運営人。

(本書著者略歴より)


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