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スタートアップの実験基地「天王洲」。倉庫空間のインキュベーション施設で一期生を募集します

創る人が集まる、カルチャーの街で

水辺とアートの街、天王洲アイル。
船が行き来する運河沿いのボードウォーク、歴史を感じる倉庫街、ダイナミックな壁画など、天王洲は東京でありながら、どこか異国の空気を感じる風景があります。

アーティスト、クリエイター、ベンチャーなど「創る人」が集まり、独特のカルチャーを醸成しているのも天王洲の魅力の一つです。

そして、2024年春。
寺田倉庫はスタートアップ、ベンチャーを対象にしたプロジェクト「Isle of Creation TENNOZ」を天王洲で始動します。その第一弾として、倉庫空間をリノベーションしたインキュベーション施設「Creation Camp TENNOZ」の1期生を募集します。ここからは略して"Camp"と呼んでいきます。

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寺田倉庫がスタートアップ支援をする理由

天王洲を本拠地とする寺田倉庫は、従来の倉庫業の枠組みを超え、お預かりしたモノの価値を高めて後世に引き継ぐための保存や修復、及び空間活用のノウハウを活かして、文化発信の拠点となる事業を積極的に進めています。

文化を創る上で大切にしているのは、「余白」という概念。
この余白という考え方はまちづくりにも活かされ、運河と倉庫街にアートを融合させたロケーションは、ラグジュアリーブランドのイベントや、芸術文化の発表の場としても活用されています。

リノベーションした運河沿いの倉庫
イベントスペースやレストラン、ショップとしても活用されている
植栽や案内サインに至るまでトータルプロデュース

また最近では、アート思考、デザイン思考など、クリエイティブな発想がビジネスの世界で重要視されています。ゼロイチで新しい価値を創出 するスタートアップでも、余白を大切にするクリエイティブな発想は大切です。

天王洲はまだ誰もみたことがない価値を創造し、それを誰よりも先におもしろがる人たちが集まるような場所。「起業するならこんなところでやりたい!」と、ここ天王洲の世界観に共感し集まる人たちと共に、未来を描いていきたいと考えています。

「事業づくり」に心底没頭できる、場と時間を提供したい

ここからはIsle of Creation TENNOZの責任者であり、Campで実際に起業家支援にあたる月森 正憲さんに話を聴いていきます。

ー天王洲でどんなスタートアップ支援をしていきたいですか。

月森:私は寺田倉庫で「minikura」という新規事業を立ち上げ、協業するベンチャー企業と一緒に成長してきました。また、エアークローゼットをはじめスタートアップ各社への投資、メンターも経験してきました。

スタートアップ支援の世界では、名だたるVC、大企業の投資部門、大都市のアクセラやインキュベーションが多いので、非上場の倉庫会社で事業創造とスタートアップ投資をしてきた私のキャリアは少し異色かもしれません。

寺田倉庫 ミライ創造室 月森 正憲

しかし、地域や出身大学、所属企業にかかわらず、本来事業はどこでも興せるし、むしろメインストリームじゃない方がユニークな視点を育てやすいはず。辺境の街が起業の聖地となる例は今に始まったことではなく、シリコンバレーをはじめ多くの都市が証明しています。

若い頃は倉庫でフォークリフトを走らせてた私ですが、事業会社だからこそできる事業づくり、スタートアップ支援をしたくて、このプロジェクトを始めました。と言っても、Campで募集するスタートアップのテーマは倉庫、保管、アートには限らず、すべての産業・技術分野が対象となります。人々の暮らしを明るく照らすような、素敵なアイデアが集まることを期待しています。

単なるスタートアップ支援ではなく、天王洲という街を使ったスタートアップシーンを、起業家や参画企業と一緒に創っていきたいです。

ーCampにはどんな起業家に集まってほしいですか。

月森:アイデアの種子を持っていて、事業とものづくりに没頭したい人たちに集まってほしいです。スケールとスピード前提のスタートアップですが、プレシード、シード期はカオスなものづくり期間。ロジックがまだ繋がりきらないアイデアの破片を、ああでもないこうでもないと揉むための場と時間が必要です。

私たちが始めるCreation Camp TENNOZは2年間です。2年間のインキュベーションは少し長い、もしくは遅いと感じる人がいるかもしれません。

ですが、プロダクトの施策、事業計画こそ、楽しく迷いながら進んで欲しいです。若い頃、特にはじめての起業では、事業づくりと自分探しがシンクロしながら進むこともあると思います。自分らしい、個性を踏まえた起業をするなら、寄り道、回り道も大事な栄養。

起業に没頭できる2年間を、Campで思い切り楽しんでほしいです。

インキュベーション施設の利用料は2年間無償
詰め込み型のカリキュラムではなく、起業家の自走的な行動を促す勉強会、イベントを設計
Camp内にはVCも同居。投資家の視点からのアドバイスを受けることができる
ファイナンス勉強会、追加出資の相談にも対応

ー 数ある地域発インキュベーションの中で、どんな特徴がありますか。

月森:最近は東京、大阪、京都、札幌、福岡など日本各地にインキュベーション施設が増えていますが、その多くは大都市圏にあることが多いです。もしくは、自然豊かな里山や島のワーケーションが、起業家をサポートする受け皿になっていることもあります。しかしこれからは、大都市か大自然かの極端な二択ではなく、起業する場の選択肢がもっと多様化していくはずです。

天王洲もその一つ。都心部への交通アクセスが良いのに、運河や広い空、緑もあって、クリエイティブな企業が集まる街です。地域発インキュベーションが増えている中、この天王洲という場所を選ぶスタートアップとは面白いことができそうでワクワクしています。

また、地域発インキュベーションと言っても、出身地など元の地縁に限定しない、ビジョンや価値観のつながりを大事にした縁を育てていきたいです。

ー 天王洲のスタートアップシーンでは、どんな価値を創りたいですか。

月森:寺田倉庫は天王洲を国際的なアートシティにするため、アート関連施設の運営やアーティスト支援に取り組んでいます。そうしたアートの取り組みと今回のスタートアップの取り組みは、一見遠そうに見えるかもしれませんが実は相性がいいと思っています。

世の中の複雑性を複雑なまま見つめる胆力、直観や欲求で本質を突く力、その本質を価値に変えていく努力と技術。アーティストと起業家には共通点が多いですし、相互に刺激や影響を与え合うこともあります。

アートとビジネスの二つが揃う天王洲だからこそできる、事業もプロセスもクリエイティブなスタートアップシーンを描いていきたいです。

水辺でビジネスイノベーションを起こしたい

ここからは、月森さんと二人三脚でプロジェクトに取り組む閑野 高広さんに話を聴いていきます。

ー 「水辺のまち」の可能性と面白さに気づいたのは、いつ頃からですか。

閑野:私は大学時代、建築を専攻していましたが、自分の将来について悶々とした日々を過ごしていました。そんな時、バンクーバーでの短期留学で、今後の人生を大きく左右する街並みに出会いました。

バンクーバーは水辺と緑地、道路がなだらかに接続し、新旧の建物が共存する美しい街です。そのまちづくりが「ウォーターフロント開発」であることを後で知り、自分がやりたいことはまさに「水辺のまちづくり」だと強く自覚しました。

寺田倉庫 ミライ創造室 閑野 高広

大学卒業後、大手デベロッパーではなく、運河の近くで事業を営む寺田倉庫に入社したのも、そういう理由からです。現在はT.Y.HARBORの一部となっている、水上施設「T.Y.HARBOR River Lounge」など、水辺のまちづくりに関わってきました。

天王洲をぐるりと回遊するように敷設されているボードウォークのウッドデッキ上には、様々な種類のハーブや植物が楽しめ、四季を感じながら、くつろげる空間になっています。ボードウォークがあることで、水面との距離が近く、水辺を身近に感じることができるのも天王洲ならではです。

天王洲運河に浮かぶイベントスペース「T-LOTUS M」、水上アートホテル「PETALS TOKYO」

ー 「水辺のビジネスイノベーション」の原体験は、どこにありますか。

閑野:実は私は一度、寺田倉庫を退職しています。
もっとまちづくりに参画したいという強い思いが沸き立ち、30代で一度寺田倉庫を退職し、地元である熊谷市議会議員を10年務めました。

その後、2021年に寺田倉庫に戻ってからは行政での経験を活かし、天王洲の官民連携プロジェクトとして運河沿いのボードウォーク・水辺広場など公共空間利活用の実証実験を行っています。

私のキャリアもそうですが、寺田倉庫は挑戦をする若手を応援してきました。創業当時の倉庫をT.Y.HARBORというクラフトビールが味わえるレストランに変え、当時の若手社員自らがビールづくりの道に挑んでしまうなど、その発想と手法はまさに痛快。予定調和ではない、寺田倉庫の事業づくりのカルチャーを、次はスタートアップ支援に活かしたいと考えています。

天王洲にオフィスを構えるスタートアップLOMBYの走行実験

ー 「水辺のビジネスイノベーション」で参考にしている地域はありますか。

閑野:実は世界では、水辺でビジネスイノベーション拠点ができる例がいくつもあります。たとえば、米国ブルックリンには築200年を超える海軍造船所をリノベーションして生まれ変わった「Newlab」があります。この施設は起業家、アーティスト、デザイナーが集うクリエイションワークスペースです。

また、2017年にはフランス・パリ、セーヌ川沿いの旧駅舎を利活用して、世界最大級のスタートアップキャンパス「STATION F」が誕生しました。水辺、アート、ビジネスが融合するイノベーション施設として、注目を集めています。

天王洲もまさに水辺、アート、ビジネスの融合する場所。集まる人の個性や熱量を大切にする、自由を追い求める気配があります。この空気感が好きだと、アンテナに引っかかる起業家が集まる場所をつくりたいです。

ー Creation Camp TENNOZに集まる人に、どんな価値を提供していきたいですか。

閑野:Campに集まる方には、Campのコミュニティだけでなく、地域コミュニティも楽しんでほしいです。

天王洲では働く人、住む人が一緒にたのしめる運河とアートのイベント「天王洲キャナルフェス」や「TENNOZ PLACE」、スタートアップ関連のイベントも展開されています。地方に移住しなくても、地域ローカルのまちづくりに参加しやすいのが、天王洲の魅力です。また、天王洲で実証実験をしたい、という人の相談にも積極的に乗っていきたいです。

水とみどりの天王洲エリアプラットフォームと日本大学理工学部海洋建築・建築デザイン研究室が実証実験している「水辺テーブル」

Campを卒業した後も、低コストで良質なオフィスを活用できる「Creation Hub TENNOZ」も用意しています。地方で起業した人が、東京のホームベースとして天王洲を使ってもらうこともウェルカムです。

今後は住居の提供も視野に入れて、検討をしていきたいです。

募集するのは最大10社。持ち物はアイデアと情熱

倉庫をリノベーションした「部室」のようなCampのインキュベーション施設は、仲間たちと「創る」ことに夢中になれる場所。

参加企業の事業資産を活かしたプロダクト開発支援や、リアリティのある仮説検証ができるのもCreation Camp TENNOZの強みです。

募集するのは、1年に最大10社。
持ち物は、アイデアと情熱。
あなたの応募を、Creation Camp TENNOZでお待ちしています。


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