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【全文和訳】米カールソン氏による露プーチン大統領のインタビュー 2/2(後半71分以降、ロシア語からの手動翻訳)


写真:ロシア大統領公式サイトより
見出し参照:タッカー・カールソン氏HP


【ノルドストリーム爆破は誰の仕業か?】

<本文表記>
プ:プーチン大統領
カ:カールソン記者

カ: 誰が「ノルドストリーム」を爆破したのでしょうか?

プ: あなた方ですよ、もちろん(笑)

カ: 私はその日は別用で忙しくしておりまして。私は爆破していませんよ。

プ: 貴方ご自身には、おそらくアリバイがあるのでしょう。しかしCIAにはそのようなアリバイはありません。

カ: NATOもしくはCIAが行ったことを示す証拠が、貴方にはあるのでしょうか?

プ: 私は詳細を語るつもりはありませんが、このような場合には常に「利害関係のある者を探せ」と言われます。更に今回のケースでは、利害関係のある者だけでなく、それを成し得る者を探さなくてはなりません。利害関係のある者は多くいても、全員がバルト海底に潜って爆破を仕掛けることができるわけではありませんから。つまり、誰に利害関係があり、誰が成し得るのかという、この2つの要素を重ね合わせる必要があるのです。

カ: わたしにはよくわかりません。あれは史上最大の産業テロであり、しかもCO2排出量も最大のものとなりました。しかし貴方がたの特殊諜報機関で証拠が手元にあるのなら、これを提出してプロパガンダ戦争で勝利を収めようとしないのは何故ですか?

プ: プロパガンダ戦争で米国に勝つのは極めて困難です。米国は、世界中のメディアや非常に多くの欧州メディアを牛耳っていますから。欧州メディアの最終受益者が米国のファンドであることを、貴方はご存知ですか?だからこのような事に関与したとしても、自身にとっては高い代償となります。我々ができるのは自分たちの情報源に光を当てているだけで、成果は達成していません。(ですが、)何が起こったのかについては世界中の知るところとなっていて、米国のアナリストたちでさえそのことを明確に述べています。本当です。

カ: ええ。ですがお聞きしたいのは、貴方はドイツでの勤務経験があります。そのドイツ人たちは、NATOのパートナー国が仕出かし、その結果ドイツ経済が打撃を受けたことを理解していながら、何故彼らは黙っているのでしょうか?何故この点についてドイツ人が何も言わないのか、私には理解できないのです。

プ: 私も驚いていますよ。しかし、今日のドイツ政府指導者は国益に基づいて動いているわけではありません。集団的西側諸国の利益に基づいているのです。そうとでも考えないと、彼らの行動と無行動のロジックが説明できません。問題となっているのは、爆破された「ノルド・ストリーム1」だけではなく、損傷を受けた「ノルド・ストリーム2」も同様です。後者の管の1本は無事で、これを使ってガスを欧州に供給することはできるのに、ドイツはこれを開通させていません。我々としては(供給の)用意があるのに。
これとは別に、ポーランド経由のルートがあります。ヤマル−ヨーロッパと呼ばれるもので、同じく大量の資源を送ることができます。ポーランドはこれを閉鎖したものの、ドイツからおこぼれをもらっています。ポーランドが金銭を得ているヨーロッパ各基金のドナーはドイツであり、このようにドイツはポーランドを養っているのですが、ポーランドはドイツ向けのルートを閉鎖したわけです。何故なのか?理解できません。
ドイツはウクライナにも資金と兵器を供給しています。財政支援規模で見れば、米国に次ぐ2番目のスポンサーはドイツになります。ウクライナ領土を経由する2つのガス供給ラインがありますが、このうちの1本をウクライナ人は抑えて閉鎖してしまいました。ならば2本目を開通してロシアからガスを受け取ればよいのに。しかし彼らは開通させないのです。
何だってドイツはこう言わないのか:「いいかい、我々は君たちにカネも武器もやる。その代わりバルブを開けてくれ。そしてロシアからのガスをこちらに通してくれ。我々は欧州でLNGを3倍もの高価格で購入しているんだ。そのせいで自国の競争力は落ち、経済も落ち込んでしまう。我々にカネを払ってほしいのか?ならば普通の生活をさせてほしい、そして自国経済で普通に稼がせてほしい。そこから君たちにカネをやろう」と。しかしそのようなことはしないのです。何故なのか?彼らに聞いてください。彼らの頭の中には何が詰まっているのか?同じことです。能力に欠けた人々です。

カ: もしかすると世界は今、安いエネルギーを持つ一方と、そうでない他方で、二極化しているのでは。
私がお聞きしたいのは、今日の多極化世界において、どの国がどこのアライアンスや陣営に属しているのかご自身の見解でお話してもらえますか?

プ: 世界が二極に分かれていると仰いました。頭脳も二つに分かれています。一方は行動を、もう一方は創造性などをそれぞれ担っています。だが、一つの脳であることには変わりありません。同様に、世界もまた一つであるべきです。「富裕層」を当てにせず、共通の安全保障を持つべきです。そうすれば、いや、その場合に限り、世界は安定し、維持も見通しも可能なものとなるのです。頭が2つの部分に分かれているうちは、重大な病を抱えている状態です。世界は今、この重病を経験しているのです。
しかし私が思うに、誠実なジャーナリズムなどのおかげで(彼らジャーナリストは医師として機能してくれるので)、もしかすると、これらを全て一緒に統合できるかもしれません。

カ: 一つの例を挙げます。米ドルは多くにおいて世界全体を統合しました。基軸通貨としてのドルは消滅していくとお考えですか?制裁によって、世界におけるドルの地位はどのように変わったのでしょうか?

プ: 米政府指導部が犯した最も酷い戦略的間違いの一つが、外交的闘争手段としてドルを利用したことです。ドルは強大な米国を支える重要な基盤です。いくらでも刷っては、世界中にばら撒かれるというのは、皆が理解していることでしょう。米国のインフレは最低限にとどまっています。確か3%だったか、3.4%だったか、米国には許容できるインフレ率です。しかし際限なく印刷している。33兆の債務が何を意味するのは?これは、発行です。
しかしながらドルは、世界で米国の権威を保持するための主要兵器なのです。ただ、米政府指導者がこのドルを外交的闘争の手段として利用する決定を下したことで、強大な米国の権威に傷をつけたのです。乱暴な言葉遣いはしたくありませんが、全く愚かで、酷い過ちです。
世界で何が起きているか、ご覧ください。米国の同盟国でさえ、ドル建ての準備高を減らしています。皆が現状を見て、自国を安全に保てる方策を探し始めています。米国がどこかの国に対し、決済制限や海外預金凍結などといった制限措置を課すたびに、これは世界全体に向けた甚大な警告とアラームになるのです。
一方の我が国では何が起きていたのか?2022年までは、貿易決済の約8割がドル建てもしくはユーロ建てでした。しかも第三国との取引通貨の約5割はドル決済でした。それが今では確か僅か13%となっています。
しかし、我々がドルの使用を禁止したのではありません。我々がそのような結果を求めたわけではありません。米国がロシアに対し、ドル決済を制限する決定を下したのです。米国の国益とその納税にとっても、まったく馬鹿げたことだと思いませんか?これによって米国経済への打撃となり、世界における米国の権威を損なうのですから。
ちなみに中国人民元での決済は僅か約3%でした。今では34%をルーブルで取引しており、元での決済もほぼ同じ割合となっています。
米国は何故あんなことをしたのか?自国の思い上がりによるものとしか説明できません。全てを崩壊させようとしたのかもしませんが、壊れたものは何もありませんでした。しかも産油国など他の国を見れば、人民元を用いる原油取引の交渉を始め、実際にもうそのような決済を行うようになっています。何が起きているのか、わかっていますか?そのことを米国で理解している人はいるのでしょうか?あなた方は何をしているのですか?自分で自分の首を絞めているかのような・・・米国の専門家や賢明な人々に、米国にとってのドルとは一体何なのか、聞いてみてください。自分で我が身を滅ぼしているのですよ。

カ: 仰っていることは、確かに公平な評価だと思います。
では次の質問を。もしかすると貴方は、一つの植民大国を別の、より慈悲深い植民地大国に置き換えたのでは?今日のBRICsは、より善良な植民地大国である中国が支配するようになるのでは?これは主権の観点では良いことなのでしょうか?貴方はどうお考えなのか、懸念はありませんか?

プ: この手の脅し文句のことはよく知られていますよ。中国は我が国の隣国です。隣人や近しい親類といったものは、選ぶことはできません。中国との国境は数千kmに及んでいます。これが1点目です。
2点目。我々は数世紀にわたり共存に馴染んできました。
3点目。中国の外交姿勢とは、攻撃的ではなく、妥協を模索していることにあると、我々は理解しています。
次の点について。あなた方はこの脅しを柔らかい形で用いようとしていたと、常に言われてきました。いずれにせよ脅しには変わりありません。中国との協力規模は拡大しています。欧州による中国との協力は、ロシア・中国間の協力よりも加速しています。欧州の人々に、彼らが中国を恐れているのか尋ねてごらんなさい。もしかすると恐れているのかもしれませんが、たとえ何があっても、しかも今のように経済問題があっても、中国市場への進出を目指しています。一方の中国企業も欧州市場を開拓しつつあります。
それでは、米国における中国企業・ビジネスの存在とは小さいものなのでしょうか?確かに、政治的判断の内容から見れば、中国との協力を制限しようとしています。タッカーさん、これはあなた方自身に不利益をもたらしているのですよ。中国との協力制限は、自国に不利益となりますよ。ドル問題と同様、これはデリケートな問題であり、シンプルで直球的な解決策はありません。
ですから、非合法的な(国連憲章の観点で「非合法」な)制裁を課す前に、然るべく十分に考える必要があるのです。思うに、これは意思決定者の問題でしょう。

【米国とのコミュニケーション再構築】

カ: 先ほど貴方は、2つの競合するアライアンス(同盟)がなくなれば、世界はもっと良いものになると仰いました。現在の米政権は、貴方のお考え通り、貴国に敵対しているかもしれません。しかし、ジョー・バイデン氏の次の政権は貴国との関係改善を望むようになるかもしれません。貴方もそれを望みますか?それとも、このようなことは何の意味も成さないのでしょうか?

プ: この後でお答えします。
ですがまずは、先のご質問への回答を終わらせましょう。私は、中国の同僚である友人である習近平主席と、今年の二国間貿易高で2000億ドルを達成するという目的を設定し、その目標値を超えました。確か2300億ドルになっているかと思います。中国側の統計では、ドル換算で2400億ドルです。
非常に重要なことですが、この二国間貿易は均衡が取れていて、ハイテク、エネルギー、科学開発などの分野で互いを補完し合うようなものとなっています。バランスが取れています。
BRICsに関しては、ロシアは今年から議長国となりました。BRICs各国の成長は加速しています。
私の記憶が正しければ、1992年当時、G7が世界経済に占める割合は47%でした。これが2022年には30%強まで低下しました。対して、BRICsの割合は92年には僅か16%だったのが、今ではG7のレベルを超えています。
この現象は、昨今のウクライナ情勢とは関係ありません。世界経済の傾向は、今私が述べた通りであり、これは不可避なのです。この傾向は今後も続くことでしょう。太陽が昇ってしまったら、これを阻害することは不可能であり、それに適応するしか策はないのです。
では米国はどのように適応しているのかと言うと、制裁や圧力、爆撃、軍事力の行使といった「力」によって対応しているのです。
これも、自国の思い上がりによるものなのでしょう。貴国の政治的エリート層は、世界が客観的状況でも変わってきていることを理解していません。
タイミング良く、賢明で正しい判断を行う必要があるのです。たとえ、(こんなことを言って恐縮ですが)支配を強めようとしていても。対ロシア政策も含めた他国に対するこれらの粗暴な行動は、却って逆効果となります。これは明白な事実で、今日では既に明らかになっています。
貴方は先ほど、別の(政治)指導者が就任して何かを変えると仰いましたね?問題を左右するのは、指導者でもなく、具体的な個人によるでもありません。例えば、私とブッシュ氏の関係は非常に良いものでした。米国内では彼は物分かりの悪い田舎者のようなイメージで描かれていたことは自分も把握していますが、決してそんな人間ではありませんでした。彼は対ロシア政策でも多くの間違いを犯しました。例えば2008年のこと、ウクライナにNATOの門戸を開くブカレスト決定などのことです。これらは彼の在任期間中に起きたことであり、彼が欧州各国に圧力を掛けていました。
けれども、人間性という面で見れば、全体として我々非常に善良で良い関係を築いていました。米国やロシア、欧州の他の政治家に劣るものではありませんでした。彼が他の政治家と同様、自分のしていることを認識していたのは確かです。また私は、トランプ氏とも同じような個人的関係を築いていました。
問題を左右するのは、エリート層の全体的気分や雰囲気なのです。米国社会において、あらゆる代償を払ってでも、しかも力を行使してでも支配をするという考えが優勢になってしまうと、もう何も変えられなくなるのです。事態は悪化の一途を辿るばかりです。
逆に、世界が客観的状況において変化していることにようやく気づき、それに対し、米国が今なお保持している利点を用いて時宜を逃さず適応していくべきだということを理解するのであれば、まだ何かを変えることは出来るでしょう。
いいですか、中国経済は今や購買力平価では世界最大となり、米国をとうの昔に追い抜きました。2位は15億の人口を抱えるインドで、その次は日本、ロシアは5位につけています。ロシアは昨年、欧州最大の経済国となりました。諸々の制裁措置を受けているにもかかわらず、ですよ。貴方の感覚で、これは正常だと思いますか?ロシアに対しては、制裁や制限、ドル決済の禁止、石油輸送船や航空機への制裁など、あらゆるものに課されています。世界で最も多く制裁を課されている国が、我が国です。それにもかかわらず、欧州最大の経済国となりました。
米国が適用する手段は、機能していません。何をすべきか考えるべきでしょう。この点を米政権エリート層が認識できるようになれば、その国家指導者もまた、有権者や様々なレベルで決定権を持つ人々の期待に応える行動をするようになるでしょう。そうすれば、何かが変わるかもしれません。

カ: 貴方は2つの異なるシステムについて述べています。すなわち、指導者が有権者の利益のために行動している一方で、何らかの決定は支配者層によって下されている、と。長年にわたる国家統治の経験がある貴方から見て、米国では誰が決定権を握っているのでしょうか?

プ: わかりません。米国は保守的でありながら、目まぐるしく変化も遂げているような、複雑な国ですから。我々にとっても、理解するのは容易ではありません。
選挙においては誰が決定を下しているのか?各州が独自の法律で自治を行なっており、州レベルで候補者を排除できるような状況で、この点を理解できますようか?これは2段階の選挙制度で、我々にはとても理解しにくいものです。もちろん(国内には)共和党と民主党という2つの二大政党が存在しています。この政党制の中で、決定内容を作成しそれを下す中枢があるのでしょう。
ところでソ連崩壊後のロシアに対しては何故、(私の見解では)誤った、粗暴な、そして何の根拠もない圧力政治が行われてきたのか?何と言っても、これは圧力政治に他なりません。NATOの拡大、コーカサスの分離主義派への支援、対ミサイル防衛システムの設置など、これらは全て圧力的な要素です。どこを見ても、圧力だらけです。その後は、ウクライナをNATOに引き込もうとする動きも。全てが圧力です。何のために?
その理由の一つには、過剰な生産能力が設けられたためでもあると、私は考えています。ソ連との(冷)戦時代、ソ連に関する機関がつくられ、専門家が育成されました。ソ連以外のことでは何もできないような専門集団です。彼らは政治指導部に対し、「ロシアを潰して、崩壊させるべきだ。そしてその領土内に複数の擬似国家を作り、その分裂状態の中でそれぞれを自分達に服従させ、中国との将来的な戦いに向けた全体的な潜在的能力として利用すべきだ」と説得し続けてきました。
これは間違いでした。ソ連と敵対するために活動してきた人々の過剰能力との関連も含めて。これらからはもう解放されなくてはなりません。世界で今起きていることを認識し、将来を見据えられる新しい人々が必要なのです。
例えば、インドネシアの発展ぶりはどうでしょうか?人口は6億人の国からは、逃れようがありません。インドネシアが経済大国の仲間入りをしていることを前提とすべきです。この状況の良し悪しをどう考える人がいようとも。
米国内では、様々な経済問題を抱えつつも、それでもGDP成長率が確か2.5%と着実な経済成長を続け、正常な状態を維持していることは、我々も理解しているし、認めています。
しかし、将来の保障という点では、変化に対するアプローチを変えるべきです。既に述べた通り、ウクライナ情勢の結末如何にかかわらず、世界はいずれにしても変わっていきます。世界は変化しているのです。米国内の専門家たち自らも、米国は世界における地位を徐々に変えつつある点を指摘しています。貴国の専門家たち自身がそのように述べていて、私はそれを読んでいるだけです。
問題はただ、それがどのように起きるか?という点です。痛みを伴う急激なやり方か、それとも漸次的なソフトランディングとなるのか?これは、特に反米志向でもない人々が、ただ世界の事象傾向を見守りながら指摘していることです。それらを評価するには、政策を変えなくてはなりません。先を見越して、(状況を)分析し、政治指導者レベルで解決策を提案できるような人々が必要です。

カ: どうしてもお聞きしたいことがあります。NATOの拡大は約束違反であり、貴国の安全を脅かすと貴方は仰いました。しかし貴方がウクライナに軍隊を派遣する前、安全保障会議の席で米副大統領はNATO入りを目指すウクライナ大統領を支持していました。これもまた軍事活動へと駆り立てた挑発だったと貴方はお考えですか?

プ: もう一度繰り返しますが、2014年のマイダン国家政変後にウクライナで起きた数々の問題に対して、平和的方法による解決策を見出すよう、我々は何度も、本当に何度も提案をしてきました。しかし誰も聞く耳を持ちませんでした。それどころか、米国の完全な管理下にあったウクライナ政府指導部は、突如としてミンスク合意を履行しないと宣言したのです。彼らにはミンスク合意は何もかも気に入らないとし、対象地域内での軍事活動を続けたのです。これと並行して、この地域でのNATO軍事機構の拡大も行われました。それは、人材育成施設の設置や人員再配置といった形で実施されていきました。実質的な基地が造られ始めたのです。それだけのことです。
一方のウクライナでは、ロシア人は基幹民族ではないという法律を採択しました。そして、この非基幹民族の権利を制限する多くの法律を採択しました。ウクライナで、ですよ。かつてロシア民族から現在の宇南東部地域を贈り物として貰い受けたウクライナが、突如として、これらの領土に居住するロシア人は基幹民族でないと宣言したのです。果たして正常なことでしょうか?
これら全てのことが重なり、ネオナチが2014年に始めていた戦争を軍事的方法で終わらせるための決定へと結びついたのです。

【ゼレンスキーの権限は?】

カ: ゼレンスキー氏には、この紛争解決のため交渉する自由があると、貴方はお考えですか?

プ: 私にはわかりません。詳細は把握しづらいものですから。 ですが、(自由は)あると思います。少なくとも(過去には)あった筈です。彼の父親は第二次世界大戦時にファシストやナチスと戦っていました。そのことでいつだったか、彼(=ゼレンスキー氏)と話したことがあります。私は彼に尋ねたことがあります。「ヴォロージャ(※ヴォロディミル/ウラジーミルの愛称)、君は何をしてるんだ?君の父親はかつて出征軍人としてファシズムと戦っていたのに、どうして今の君はウクライナのネオナチを支持してるんだ?」と。それに対する彼の回答を明かすつもりはありません。話のテーマが異なりますし、このような内容を明かすのは不適切だと思いますから。
しかし、選択の自由に関しては、ない筈はありません。彼は、ウクライナに平和をもたらしてくれると考える国民の期待を受けて大統領になりました。彼は(選挙前に)そのことを述べ、これが理由で圧倒的支持を集めて選挙戦で勝利しました。
けれども、彼は権力の座に就いた後、私の見解では、2つのことを理解したのだと思います。1つは、ネオナチや民族主義者たちとは争わない方が良いということ。彼らは攻撃的で、非常に活動的で、何を仕出かすか分かりませんからね。2つ目は、米国を筆頭とする西側諸国は、ロシアと敵対する自分達を常に支持し続けるということ。その方が自分の儲けになるし、安全でもあるということ。その結果、彼はそれに適したポジションに立つようになったのです。ウクライナの停戦実現を(公約で)自国民に約束したにもかかわらず。そうして有権者を騙したのです。

カ: 2024年2月の今日において彼には、貴国政府と話して何とか自国を救済しようと試みる自由はあるのでしょうか?そもそもそういったことを彼には出来るのでしょうか?

プ: 出来ないわけはないでしょう。彼は選挙戦で勝利し、自身を国家元首とみなしているのですから。まあ我が国ロシアでは、2014年以降に起きたことは全てあの国家政変に直接的な原因があると我々は考えており、その意味では現政権にも欠陥があると考えていますが。しかし彼は自らを大統領とみなし、その立場は米国からも欧州からも、他のほぼ世界中の国々からも認められています。出来ないわけがありません。出来ますよ。
我々はイスタンブールでウクライナ側と交渉していました。しかも合意に達していたことは、彼にもわかっていました。更には、あちらの交渉団の団長であるアラハミヤ氏が、(確か未だにその名前を国会ラーダの大統領与党派閥の長に掲げ、その議席に座っている人ですが、)私が今お話している例の仮文書に署名さえしていました。しかし彼は後になり、世界に向けて次の内容を公言しました。「我々はこの文書に署名する準備があった。だがジョンソン英首相がやって来て、それをしないように説得され、ロシアと戦う方が良いと言われた。彼らは、ロシアとの軍事衝突で我々が失ったものを取り戻すため、全てを与えてくれる、と。だから、我々はその提案に同意したのだ」。この彼の公式声明を確認してみてください。公に発言したのですよ。
あの時点まで戻ることができるかどうか?それは、彼らがそれを望むかどうかの問題です。あの後、ウクライナ大統領は我が国との交渉を禁止する命令を公布しました。彼がその公布を廃止すればいいだけのことです。我々としては交渉を拒否したことは一度もありませんから。我々が常に耳にするのは、「ロシアには交渉の準備があるのか?その意志はあるのか?」ということですが、我々は一度も(交渉を)拒んだことはないのですよ!逆に、彼らの方が公に拒否したのです。だから、例の公布を廃止し、対話の場に着けばいいのです。我々からは拒んだことがないのですから。
彼らがジョンソン前首相の要求やら説得に屈したのは、私に言わせれば、愚かで非常に遺憾なことです。アラハミヤ氏が述べた通り、「我々は1年半前にはこの軍事活動を停止させ、停戦させることが出来ていた。だが、英国人が我々を説得し、(それに従って)拒んだ」のですから。で、当のジョンソン氏はいま何処に?戦争はまだ続いているのに。

カ: それは良いご質問ですね。彼はなぜあんなことをしたのでしょうか?

プ: 誰が知ったことか。私にもわかりませんよ。全体的な設定とは、次のようなものです。皆の頭の中にはどういうわけか、ロシアには戦場で勝てるという幻想があるのです。思い上がりから来るものなのか、純粋な想いなのでしょうが、狭量から来るものなのでしょう。

カ: 貴方はロシアとウクライナの繋がりや、正教国としてロシアについてお話されました。これらは貴方にとってどのような意味を持つものなのでしょうか?貴方はご自身でも仰る通り、キリスト教国の元首でもあります。それはご自身にとってどのような影響があるのでしょうか?

プ: 既に述べた通り、988年にウラジーミル公は祖母のオリガ公に倣い、洗礼を受けました。その後は親兵を洗礼し、数年間をかけて徐々にルーシ全体を洗礼していきました。それまでの異教からキリスト教への移行は長い過程を経ましたが、最終的には東方教会のこの正教がロシア民族の意識に深い根を下ろすこととなりました。
ロシアの領土が拡張し、イスラム教徒や仏教徒、ユダヤ教徒などの他の民族が吸収されていったとき、常にロシアは異宗教者に対して敬意をもって接していました。ここにロシアの強みがあるのは、明白なことです。
世界の宗教、つまり今私が述べた諸々の宗教で、ロシアの伝統的宗教とされるものは、本質的にはその考えや価値観が、同じとは言えないまでにも、非常に似通っています。そしてロシアの政権は常に、その帝国内に組み込まれた民族の文化や信教に対し、非常に配慮してきました。これは、ロシアという国家体制の安全と堅牢性の根幹を成すものだと私は考えています。
ロシアに定住した民族はみな、ロシアを自らの祖国とみなしているからです。
例えば、ラテンアメリカから貴国に移住した人々や、もっと分かりやすい例を挙げれば、ヨーロッパへの移住者に関して言えば、彼らは自身の歴史的な故郷から貴国やヨーロッパにやって来ます。一方で、ロシアでそれぞれ異なる宗教を信仰している人々は基本的に、ロシアを祖国だとみなしています。彼らの祖国は他にはありません。我々は、一つの大きな同じ家族を共にしているのです。伝統的価値観も非常に似ています。私が「(ロシアは)一つの大家族」と言うとき、各人には自分の家族があり、それが我々の社会の基盤となっています。我々は「祖国と家族は密接に結びついている」と話しますが、実際にその通りなのです。自分達の国つまり祖国に正常で堅実な将来を保証できなければ、自分達の子供や家族にも将来は保証できませんから。ロシアで愛国主義が発達している理由は、ここにあるのです。

カ: すみません、宗教が異なるということですね。ですが、キリスト教は非暴力の宗教です。キリストの言葉にも、「もう一方の頬を差し出せ」、「殺すなかれ」などというものがあります。国の指導者が誰かを殺さざるを得ないのに、どうしてその指導者がキリスト教徒たり得るのでしょうか?どのように自分を納得させているのですか?

プ: 非常に簡単なことです。自分自身と自分の家族、自分の祖国を守る(必要があるためです)。我々は誰も攻撃していません。ウクライナ情勢は、何から始まったのか?国家政変、そしてドンバスでの軍事行動から始まったのですよ。だから我々は自分と同じ人々、自分自身、自分の祖国と将来を守っているのです。
宗教全体に関して言えば、これは表面上に現れるようなものではありません。毎日教会で礼拝をしたり、額を床に打ち付けて祈るようなことではありません。我々の文化は、人間そのものを主体としたものです。ロシアの文化・文学の鬼才として西側諸国でも非常に有名なドストエフスキーがこの点について、すなわちロシアの精神について多くを語っています。
一方で、欧米の西側社会は、より実用的なものなのでしょう。ロシア人、ロシアの人間は、永遠や道徳的価値観に重きを置いています。貴方が同意されるかわかりませんが、やはり西側諸国の文化はより実用的です。それが悪いと言っているわけではありません。だってこれが、「富裕エリート層」に製造業や科学分野などでの成功をもたらしてくれるのですから。悪いことは何一つありませんよ。ただ言いたいのは、我々は同じような見た目であっても、内面の意識は少し異なっているということです。

カ: つまり、超自然的な何かが働いているとお考えですか?世界で起きていることに、神の介入を意識されていますか?超自然的な力が働いていると思いますか?

プ: いいえ。正直に言って、そうは考えていません。私の考えでは、国際社会はその内部規則に従って進化しており、それが今の姿なのです。どうにも仕方のないことです。人類の歴史とは常にこのようなものでしたから。ある民族または国が発生し、繁殖し、強国となり、やがて国際舞台から消えていく。例を挙げるまでもないと思いますが、例えばチンギス汗から始まった汗国の征服者たちや、ローマ帝国などです。ローマ帝国は、人類史上ほかに例を見ないケースだと思いますが。
それでも蛮族たちの力が徐々に強くなっていき、最終的にはその攻撃を受けてローマ帝国は崩壊しました。蛮族の勢力は次第に増し、今日の我々の言葉で言えば経済的にも発展し、強大化していったからです。その結果、世界中に敷かれていたローマ帝制が崩壊しました。ただその滅亡には500年もの長い年月を要しました。ローマ帝国が崩壊するプロセスに500年がかかりました。今日の我々の状況との違いは、ローマ帝国時代よりもその過程が加速しているという点にあります。

【イーロン・マスクとAI】

カ: それでは、人工知能(AI)帝国は、いつ始まるのでしょうか?

プ:貴方の質問はますます複雑になっていきますね(笑)お答えするのは、ビックデータやAIの専門家でないと難しいところですが。
人類は多くの脅威と直面しています。超人を作り出せる遺伝子研究も然りです。兵士や科学者、スポーツアスリートといった超人などです。
いま米国では、イーロン・マスク氏が人間の脳にチップを埋め込んだと言われています。

カ: そのことについてどう思われます。

プ: マスク氏を止めることはできないでしょう。いずれにせよ彼は、必要だと思うことをやっていくことでしょう。しかし彼とは話し合って、説得する方法を探す必要があります。彼は賢い人間だと思いますから、よく話し合って、何らかの規範を作っていき、規則に従うようにする必要があります。
このような遺伝子工学やAIなどの技術発展に伴い、人類にとってどのようなことが起きるのかについて、人類は考えなければなりません。大体の予測を立てることは可能でしょう。だから、人類が核兵器の存在という脅威に直面した時、全ての保有国が協議が行うようになったのです。この核兵器を不適切に使用すれば、それが全滅をもたらすことになると理解したからです。
AIや遺伝子工学などの現代技術が管理されず無制限に発展していくことは…それらの研究を止めることはできず、研究はいずれにしても続けられるでしょう。火薬使用を止められないのと同様で、これらの研究は続けられます。しかし、その脅威に人類全体が気づいたとき、これを規制する方法について国家間での話し合いが行われる時期が到来するのではと考えています。

【身柄拘束中の米国人ジャーナリスト・ゲルシュコヴィッチについて】

カ: 本日は時間を割いてくださり、どうもありがとうございます。もう一つ質問をさせてください。
エヴァン・ゲルシュコヴィッチという32歳の米国人ジャーナリストが1年以上も身柄を拘束されていて、米国内では大きな話題になっています。彼に関する質問です。貴方には、善良なる意志の現れとして、彼を釈放する意志がありますか?我々は彼を米国に連れ戻すことができますか?

プ: 我々はあまりにも多くの善良なる意志を表明してきたため、今はその源泉がもう枯渇してしまったようです。我々が示してきた善良なる意志に、誰も一度も応えてくれたことはありませんでした。ですが原則として我々は、相手側から相応の動きがある場合には、そのような可能性を排除はしません。
この「相手側」と私が言うとき、まず念頭に置いているのは、特殊機関の代表者のことです。彼らは互いに連絡を取り合っていて、このテーマについて協議をしています。我々には、この問題を解決してはならないといったタブーはありませんし。我々はこれを解決する準備があります。が、現在相手側の特殊機関のチャンネルを通じて協議される一定の条件に基づいて、ということになります。これについては合意が可能だと私は考えています。

カ: ある国でスパイを捕まえて拘束し、その後誰かと身柄交換するといったことは、数世紀もの間行われてきたことです。もちろん私が口を挟むことではないのですが、今回の状況が特殊なのは、彼は明らかにスパイではないという点です。彼はまだ子ども(に等しいもの)です。もしかすると貴国の法律を犯したのかもしれませんが、それでもスパイ活動をしていなかったのは確かです。ひょっとすると彼は別のカテゴリーに属する人間かもしれません。ですので、他の誰かと身柄交換を行うのは、公平性に欠けるのでは?

プ: スパイかどうかについてはお好きなように語ってもらって構いませんが、他方、法律で規定されている事柄というものがあるのです。機密情報を陰謀的に受け取ることは、スパイ(諜報)活動とみなされます。彼はまさにその活動に従事していました。彼は非公開の機密情報を受け取っていたのです。それも陰謀に基づいて。彼はもしかすると、誰かからこの件に巻き込まれたのかもしれませんし、軽率な自らの意志による行動だったのかもしれません。しかし、これがスパイ活動だとされるのは事実です。証拠は揃っています。このような情報を受け取っていた時に現行犯で逮捕されたのですから。もしこれがでっち上げの事件だったのであれば、話は異なっていたのでしょうが。
彼の場合は、陰謀的に機密情報を入手していた時の現行犯逮捕でしたから、他に何と言えましょうか?

カ: 貴方がおっしゃっているのは、彼が米国政府やNATOのために活動していたと?それとも彼は単なるジャーナリストだが、入手してはならない情報を受け取ったと?この2つにはやはり違いがあるように思えるのです。

プ: 彼が誰のために活動していたのかはわかりません。しかし繰り返しますが、機密情報の陰謀的入手をスパイ活動というのです。彼は米特殊機関または他の組織を利するために活動していました。まさかモナコの利益のために動いていたとは思いませんがね。モナコがこのような情報を欲しがるとは考えにくいですから。この件では、特殊機関同士で協議して合意することなのです。おわかりいただけますか?あちらにはそういった作業があるのです。特殊機関に関与していないと考えられる人々もいます。
いいですか、こういうことがありました。米国のある同盟国において、欧州のある首都で、愛国心に駆られて悪党を殺した罪で服役中の人がいます。ですが、この悪党がコーカサス事変の時に何をしてきたか、ご存じですか?口にしたくはありませんが、言いましょう。彼は捕虜にした我が国の兵士たちを路上に並べ、彼らの頭を車で轢いたのです。これは人間のすることですか?ですが、ある愛国者が、彼を欧州のある首都で彼を見つけ出して殺しました。その人が自らの意志で殺したのかどうかは、別の問題です。

カ: エヴァン・ゲルシュコヴィッチはそのようなことはしていません。これは全く別の話です。

プ: ですが、彼は別のことをやっていました。

カ: 彼はただのジャーナリストに過ぎません。

プ: 彼はただのジャーナリストではありません。もう一度繰り返します。彼は、陰謀に基づき機密情報を入手していたジャーナリストなのです。ええ、確かにそれは別の話ですが。
私が話しているのは、どこの刑務所にいようとも実質的に米政府の管理下にある人々のことです。ただ、特殊機関の間では対話が行われています。このような問題は、プロ同士の間で、静かに穏便に解決されるべきです。互いにコンタクトは取り合っているのですから、それぞれの仕事に任せるだけのことです。
貴方が仰る人物、つまりゲルシュコヴィッチ氏が、帰国できる可能性は排除しません。そうならない訳もありません。ロシア国内の刑務所に留め置く意味もないですから。ですが、我が国の職員のカウンターパートナーである米国特殊機関の方でも、この問題の解決方法を考えさせればよいのです。我々は交渉を閉ざしていません。それどころか、交渉はいま行われています。これまでにも多くのケースを合意で解決してきました。今回も交渉して合意さえすれば、それは可能でしょう。

カ: 彼を釈放してくださることを期待しています。大統領閣下、どうもありがとうございます。

プ: 私としても、彼が最終的に帰国できることを願っています。本気でそう思っています。しかし、繰り返しになりますが、今は対話が行われている最中です。この手の内容を我々が公にすればするほど、解決は遠のいてしまいます。全て穏便に対処すべきです。

カ: 率直に言って、戦争についても同様なのかどうか、私にはわかりません。よろしければ、もう一つだけ質問をさせてください。戦略的な理由でお答えになりたくないかもしれませんが、ウクライナで現在起きていることが、もっと大規模で恐ろしいことを引き起こすかもしれないという懸念を感じていますか?また、たとえば米国などに電話をかけて「話し合いをしよう」と呼びかける意向は如何程ありますか?

プ: いいですか、既に述べた通り、我々は交渉を拒否したことはありません。我々が拒んでいるのではなく、西側やウクライナ、今や米国の衛星国がそれを拒んでいるのです。これは明らかなことです。誰かを罵ったり侮辱したくはありませんが、何が起きているのか我々は理解しています。720億ドルもの財政支援が行われ、次位がドイツ、他の欧州諸国がこれに続き、数百億ドルがウクライナに流れています。大量の武器も供給されています。
ウクライナ現政権の指導者にこう言えばよいのです:「さあテーブルに着いて交渉しましょう。貴方のその馬鹿げた命令文書を廃止して交渉を始めてくださいよ」と。我々は拒否していないのだから。

カ: ええ、そのことを貴方は既にお話されました。罵りではないことは、もちろんよくわかっています。米政府の命を受けた英前首相の指示により、ウクライナ側が署名させてもらえなかったことも確かに報道されていましたし。だからお聞きしたいのです。なぜ貴方は、ウクライナのゼレンスキー政権をコントロールしているバイデン政府と、問題解決を直接行わないのですか?

プ: ウクライナのゼレンスキー政権が交渉を拒否したのであれば、それは米政府の命令によるものと私は捉えています。米政府側でこれが誤った決定だったと理解するのであれば、そのような決定を取り下げればいい。そして何らかの繊細で誰も傷つけないような口実を探し出して解決策を見つけさせればいいのです。我々がそのような決断を下したのではなく、あちら側が決めたことなのですから。彼らにそれを取り下げさせればいい、それだけのことです。
彼らが誤った決断をしても、我々がその脱出策を見出さないといけないのですか?胡麻を擦って、彼らの間違いを正してあげないといけないのですか?彼らが間違いを犯したのだから、自分達で修正させればいいのです。我々は、それを支持しますから。

カ: 貴方の言葉を正しく理解できているか、確認させてください。つまり貴方は、今のウクライナ情勢について、交渉によって解決することを望んでいるのですね?

プ: その通りです。だが、その解決を、我々は既に達成していたのです。イスタンブールで大量の文書を作成し、それにウクライナ交渉団の団長も仮調印した時点で。合意文書の抜粋部分−全文書ではなく抜粋部ですが−そこに彼の署名もされていました。彼は署名を行い、その後でこう言ったのです:「我々には署名する準備があった。そうすれば戦争はとうの昔、一年半前には終わっていたことだろう。しかしジョンソン氏がやって来て、署名をしないように説得したので、我々はその機会を逃したのだ」と。機会を逃した、つまり過ちを犯したということです。ではその時点まで彼らが戻ればいい。それだけのことです。なぜ我々があくせくして誰かの過ちの尻拭いをしないといけないのですか?
2014年にドンバスで始まったこの戦争を終わらせるために武力を行使したのは、我々の過ちだったと言うことも確かにできるでしょう。それならば、本日ここで既にお話した内容に話を戻していきましょう。NATOが拡大しないと我々に約束した、1991年のことに戻りましょう。NATOへの扉が開かれた2008年に戻りましょう。ウクライナの中立性が明記された同国の独立宣言に戻りましょう。NATOや米英軍の基地がウクライナ領内に出現し我が国に脅威を与え始めた時期に戻りましょう。ウクライナで国家政変が起きた2014年にも。全く無意味ですよね?ボールを際限なく転がし往復させることになります。ですが、交渉を止めたのは彼らの方なのです。間違いだった?そうでしょう。ならば、それを修正してください。我々には心構えができているのだから。それ以上何を求めるのですか?

カ: NATOにとって、2年前までウクライナ領だった地域が今ではロシアの支配下にあると認めるのは、あまりにも屈辱的だとお考えになりませんか?

プ: 既にお話したことですが、これを堂々と見えるように彼らが考えればいいだけです。その意向さえあれば、選択肢はいくつかあるのですから。
やれロシアの戦略的敗北を達成すべきとか、戦場でロシアを打ち負かすべきとか、未だにやかましく騒がれてきました。しかしこれが、仮に可能だとしても、そう簡単には実現できないことが認識されつつあるようです。もっとも私の考えでは、これは全く不可能ですし、今後も決してあり得ないことです。このことを、今や西側諸国の政権指導者も認識しつつあるようです。だがそれが本当なら、つまり本当にそのことを理解したのであれば、今後どうすればよいのか考えればいい。我々には、そのための対話に応じる準備がありますので。

カ: たとえばNATOに対し、「あなた方は勝利した、おめでとう。現状の維持で話をつけよう」と伝える意向はありますか?

プ: それは交渉のテーマになります。ただ、その交渉を我々と誰もしたがらないのです。いや正確に言えば、我々との交渉を望んでも、どのように進めればよいのかわかっていないのです。彼らが望んでいることは、私にはきちんとわかっていますが、そのやり方を彼らは理解していないのです。いろいろと考えついた結果、今日我々がいる状況にまで進展してしまったわけです。でもこの状況を引き起こしたのは、我々ではなく、我々の「パートナー」である反対者たちなのです。それならば、現状を方向転換する方法も彼らが考えればいい。我々はそれを拒みませんから。
悲しいものでなければ、笑い話で済ませられるのでしょうがね。ウクライナで起きている終わりのない動員、ヒステリー状態、内政問題などの全ては…でも遅かれ早かれ、我々は合意に達するでしょう。わかりますか?今日では妙に思われるかもしれませんが、民族間の関係はいずれにせよ修復されるのです。長い年月が必要ですが、関係は回復します。
珍しい例を挙げましょう。軍事衝突が起きている戦場における、具体的な一例です。実際にあったことです。ウクライナ兵を包囲した際、我が軍兵士が彼らに「チャンスはもう無い。だから降伏しろ!こっちに出て来れば生き残れるから、降伏しろ!」と呼び掛けました。すると、あちら側からは正確な純ロシア語の叫び声で「ロシア人は降伏などしない!」との返答がありました。そうして、全滅してしまいました。彼らは今も自分たちをロシア人だとみなしているのですよ。
この意味で考えれば、今起きていることは国内戦的な要素を抱えているのです。西側諸国では皆、この軍事行動がロシア民族の一部を永久に分裂させたと考えています。それは違います。再統合は起きるでしょう。それは何処にも行きようのないものですから。
何故ウクライナ政府はロシア正教会を解体しようとしているのか?それは、ロシア正教会が領土の統合ではなく、魂を結束させるものだからです。それは誰にも分裂させられないものです。
(インタビューを)終えましょうか?それともまだ何か?

カ: 私からはもうありません。大統領閣下、どうもありがとうございました。

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