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私の失恋体験記②やばい女

はじめに

 はじめてのつきあいから1年たったときのことだ。まだ引きずりつつあるが、次の段階へ行こうと思えるほどにまでメンタルは回復した。「次の人に、こんな思いは絶対にさせない」という決意を新たにしたのである。しかし、出会いがなさすぎてどうしよう…となっていた頃の話である。失恋NO.2

バイト先で

 人と関わる仕事に興味を持っていた私は、そのころの年始から学童のようなところでアルバイトをすることになった。特別な配慮のいる子どもが多くいる中で、その子たちと遊んだり宿題をしたり、子どもが帰った後は今日の様子を記録するなどが主な仕事の内容だった。

 わたしは、子どもは好きで、細かい事務作業も嫌いではない。やりたい職種で給料がもらえるとともに、特別な配慮のいる人とのより良い関係性とはどのようなものかを改めて考えるきっかけとなり、有意義な時間をこの経験から得た。

 しかし、このバイト先では次の恋愛に進む気配がどうも0に近い。出会い目的で初めてないとはいえ、このバイト先には主婦の方や年配の方がほとんどで、お付き合いできる同世代の女性がいなかった。なんというか、(失礼だが)もう少し華のあるバイトをイメージしていた私にとって、やりがいはあるものの何か物足りない、そんな状態で半年が過ぎていった。

 月日は流れ、6月のある時、年下の子が新しく入ってきた。医療関係の学部の学生だったような気がする。先輩の立場の私は空いている時間などを通してある程度のことを教えながら、その日をいつもと変わらなく子どもと関わった。

 そのとき彼女は、私のその子どもと楽しく過ごす姿や教える姿などにひかれたらしい。初バイトが終わった後、率直に「もっと仲良くなりたいです」とラインで言ってくれた。出会いを求めていたこちら側にとってまたとないチャンスだった。少し連絡を取って場所や時間を決め、2週間後くらいに食事をした。

 実に、1年ぶりのデートであった。店への道や集合時間、その日に話すこと等で頭をいっぱいにしながら行った気がする。

 しかし、食事は心の底から楽しめたとは言えなかった。もちろん緊張もあっただろうがそれとは別の原因があった。

 1度目の食事から、好きなタイプや過去の恋愛、もし一緒になったら…などと話され、正直重すぎた。恋愛の話に少し興味はあって聞いていたが、さすがにしんどかった。

 ただ、これほど自分もいいように見てくれている人はその人だけだったし、話の内容と天秤にかけても、離れたいとは思わなかった。だから、ほどほどの距離で遊びに行く仲になろうと思った。その後の1週間まではラインのやり取りや通話、たまに一緒に働くというほどほどの距離間であった。

付き合ってる?

 その次の月のことだった。私がいないときの職場内恋バナが開催されたらしく、そこで事件は起こった。

 後日談で他の人から聞いたのだが、そのときに私と「付き合っている」と嘘を言っていたらしい。次の日から周囲の人の目、もじもじしている当人、居心地の悪い空気でのバイトだった。幸か不幸か、その時は何も知らなかった私はとても気持ち悪い環境に身を置いていたのだろう。

 本来であれば、それほど自分のことをいいように見てくれていると喜ぶのかもしれない。ただ、この時の私は驚きと奇妙な感情しか持たなかった。

 さらにバイト後のかかわりもさらにエスカレートした。数分ごとのラインや鬼電、しつこくくる遊びへの誘い…。しんどくなって1時間ほど放置していると「なんで返してくれないのか」と追いライン。シフト希望の曜日をずらすと、わざとかぶせてくる。とてもいい迷惑だった。

 関係を切りたいけどこのバイトはやめいたいと思わなかったから、バイトつながりでこの関係は切れない。しばらく返信時間を大幅に遅らせたりそっけない返事にしたりすると、「もういい…〇んでしまおう」的なメッセージが来る。

 自分の救える命が画面の向こうで終わってしまうのは胸糞悪いから急いで「大丈夫か」と電話に出る。こうした期間が実に数か月続いた。関係を切るのはすぐにできるが、向こうの命を救うことも終わらせてしまうかもしれない、そんな不安があった。

 こうして、次第にバイトに行くのが億劫になっていった。まずはこの関係を完全に断ち切らねば、いつしかそう考えはじめていた。

終止符

 何回目かの「もういい…〇んでしまいたい」が来た時、一方的に電話で話し、関係を切った。

 「もしかしたらこの子はこの後…」と頭によぎったが他の職場の人や向こうの家族がいると割り切った。もちろん、この子は命を落とすことなく「ひどい」「お願い、返事して」と言ってきたから、即ブロックした。

 バイトをやめるまでの数週間には、案の定日にちをかぶせてきたが、業務連絡以外は基本無視。何度も、「(個人的に)○○という精神的病で…」と言ってきたときには腹が立った。

 あるとき、不服ながらシフトが重なり2人でしぶしぶバイトに入っていた時、急に向こうが過呼吸になって倒れた。さすがにやばいと思った私は、必死で肩をたたき、何度も声をかけた。近くのバス停まで付き添ったのち、結局ふらつきながら帰宅した。

 その後日、「やった、介抱された!もしかして私のこと…(以下略)」とにやにやしながら言っていたらしい。ぞっとしたが、それよりも、自分の良心が痛めつけられたような気がして、とても悲しくなった。以降もバイト先やその人間関係で嫌な思いを重ねたが、その年の末で、やっとやめることができた。その子は、介抱の件以降姿をあまり見せなくなり、いつしかシフトに名前が載らなくなった。今は日本のどこかで元気に暮らしていると思う。

おわりに

 付き合う人間を選ぶ目が必要だと痛感した。自分をいいように見てくれていることはうれしかったことは認める。でも、そこでいい気分になってつながりを持つと厄介だ。見た目や行動、話すことなど細かな部分まで見ないと痛い目を見る、そう学んだ出来事だった。

最も、恋人が欲しいと思っている時、運命の人は現れにくい。

 こうしてまた一年、このトラウマ級の話を聞いてもらいながら、過去の恋愛を引きずるのであった。


この経験もやがては自分のいい出来事につながる、そう信じています。つらいことも一緒に乗り越えましょう。

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